映画

第36回東京国際映画祭のラインナップ発表記者会見

開催までいよいよ1ヶ月を切った本日9月27日(水)に東京日比谷ミッドタウンBASE Q HALLにて第36回東京国際映画祭のラインナップ発表記者会見が開催。ゲストとして、フェスティバル・ナビゲーターとして安藤桃子監督とコンペティション作品より小辻陽平監督、富名哲也監督が登壇しました。

今年の映画祭は、10月23日から11月1日の10日間、昨年に引き続き日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催。また、昨年同様にオープニングのレッドカーペットを日比谷仲通りにて開催予定。また4年ぶりのフィジカル開催となる映画祭併設のマーケットTIFFCOMは、10月25日から27日の3日間の同時期開催。今年は、総勢約600人以上の海外ゲストが招へい予定であり、コロナ禍では積極的に実施が行えなかった「交流ラウンジ」などの映画人の交流の場を充実させ、世界中の映画人とファンとの交流が活性化していく年となる。

東京国際映画祭チェアマン安藤裕康による開催の挨拶で会見は始まり、本年度の映画祭の特色として今年の映画祭といたしましてはコロナ禍を乗り越えて、さらなる飛躍をしたいと目指しております。作品の質・量ともにグレードアップしていく必要があると考えており、作品数は219本(昨年は174本)と約25%増えております。国際交流を大いに強化したいと考えて、海外からもたくさんのゲスト(現時点で600人以上)に来ていただいき、日本の映画人や一般の方と交流していただくということを目指したいと思っております。さらに大いに祝祭感を盛り上げたく、関連イベントでは小津安二郎監督の誕生120周年ということで様々なイベントを実施し、小津監督のほぼ全作に近い35本を上映いたします。また今後の方向性として、アジアの国々との連携を強化してアジアの映画祭としての特色をより鮮明に出していきたいと思っております。今回上映する作品の6割以上がアジアの作品であり、お呼びするゲストの半分以上の方々がアジアからいらっしゃいます。昨年に比べ協賛会社が11社増え、例年以上に盛り沢山な企画を揃えることができました。以上を持って我々は映画祭を実施いたしますが、皆様方のご支援をよろしくお願いいたします。」と発表。

続けて、本年の審査委員長であり『パリ、テキサス』(84)『ベルリン・天使の詩(うた)』(87)など多くの映画祭受賞作を手がけ、最新作の『PERFECT DAYS』ではカンヌ国際映画祭にて主演の役所広司が最優秀男優賞を受賞、東京国際映画祭は第24回(2011年)以来4回目の参加となるヴィム・ヴェンダース監督より「東京国際映画祭にまた戻ってこられることを嬉しく思います。今年の東京国際映画祭は私が敬愛する巨匠・小津安二郎監督の死後60年、生誕120年の 記念すべき年に開催されるもので、そんな機会に参加できることは私にとっては特別なことです。」とコメントが紹介された。

また、昨年まで俳優・女優が歴任してきた「アンバサダー」を、
映画祭をより楽しんでもらうための案内人である「ナビゲーター」という肩書きに名を変え、同ナビゲーターに就任した安藤桃子監督が登場。安藤は「今年から「アンバサダー」から「ナビゲーター」という肩書きに変わったのが、すごく大きな東京国際映画祭の指針にも感じられました。これから先、私たちがどこに向かっていきたいかという道を示していくことが、“ナビゲーション“だと思っていますので、東京国際映画祭も意識そういったことを意識されたんじゃないかなと感じて、ぶっ飛ぶほどに光栄に感じました。」と任命された想いを語った。

その後、プログラミング・ディレクターの市山尚三より「コンペティション部門」15作品の紹介に続き、「コンペティション部門」に選ばれた日本映画3作品が発表し、曖昧な楽園』の小辻陽平監督 、 『わたくしどもは。』の富名哲也監督が登場。小辻監督はこの作品のきっかけになったのは、私の祖父が亡くなった時の最後の時間をもとにして映画を作りました。曖昧で漠然とした瞬間を写したいと考え、実際の人生に近いような複雑であったり、漠然とした感覚に近い映画になれたならと思って作りました。」富名監督は「今回の『わたくしどもは。』という作品は新潟県の佐渡島で撮ったのですが、1作目『Blue Wind Blows』(18)も佐渡島で撮っており、メイン舞台の佐渡金山という場所を初めて訪れた時、その場所から得たインスピレーションを受けたものを映画にしました。」と作品に込めた想いを語った。同部門には岸善幸監督作『正欲』も選出。

その後、石坂健治シニア・プログラマーより「アジアの未来」部門の作品の紹介。市山プログラミング・ディレクターによる「ガラ・セレクション部門」作品と今年生誕120年になる小津安二郎特集をはじめとした様々な特集を紹介。続けて、藤津亮太「アニメーション」部門プログラミング・アドバイザーより作品を紹介。「アニメーション」部門では今年からコンセプトを一新し国内だけにとどまらず海外の話題作からも作品が選出された。さらに司会より今年の新たな取り組みが発表され、国内外の独自で豊かな映画文化を紹介し、刺激や感動と出会い、交流する場である「第1回丸の内映画祭」と、ジェンダー平等、環境、貧困、多様性、差別といった現代の重要な社会テーマに向き合った作品が対象の「エシカル・フィルム賞」、また昨年復活した「黒澤明賞」や「Amazon Prime Videoテイクワン賞」「交流ラウンジ」などのその他の部門の紹介、カンヌ国際映画祭でも実施されている映画界やアート界の様々なポジションで活躍する女性達に光を当てるケリング「ウーマン・イン・モーション」のトークプログラム、ベネチア国際映画祭生涯功労賞受賞の俳優トニー・レオンによる主演作『2046』上映後のマスターマスタークラスなど例年以上の盛り上がりが予測される様々なイベントの紹介がされ、最後に質疑応答が行われ、会見は終了。

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