トークセッション
日時:4月18日(金)
会場:神楽座
登壇:大森時生(テレビ東京プロデューサー)、山中瑶子(映画監督)
司会:野水伊織(声優)
デミ・ムーア完全復活! 第97回アカデミー賞®では主演女優賞含む5部門にノミネートされたほか、本年度賞レース主演女優賞を次々と受賞! 本作の公開を記念し、2024年7月に東京で開催、7万人の動員を突破した「行方不明展」やフェイク・ドキュメンタリー番組「TXQ FICTION(ティー・エックス・キュー・フィクション)」の「イシナガキクエを探しています」などのプロデュースを手掛けたテレビ東京の大森時生プロデューサーと、『サブスタンス』が脚本賞を受賞した同年に『ナミビアの砂漠』で第77回カンヌ国際映画祭にて国際批評家連盟賞を女性監督として史上最年少受賞を果たした山中瑶子監督が登壇、司会にホラー・ファンとして知られる声優の野水伊織を迎えたトークセッションイベントが4.18(金)に開催された。なぜ本作はこんなにも世界で熱狂を呼び続けているのか? フェイク・ドキュメンタリーでホラー・ファンから大注目を浴び、今最も次回作が待たれるプロデューサーのひとりである大森と、日本の映画賞レースを席巻する新進気鋭の映画監督の山中が、それぞれの視点で<ここだけでしか話せない『サブスタンス』トーク>を繰り広げた。
先んじて本編を鑑賞し、打ちのめされたという二人。「行方不明展」やフェイク・ドキュメンタリー番組『イシナガキクエを探しています』で知られる大森は「この映画はどうやって終わるのだろうか?と思わせながら、自分の想像を完全に超えたところに到達したのが素晴らしかった」と阿鼻叫喚のラスト30分に目が点状態だった。


ホラーである一方、さまざまなメッセージが込められてもいる本作。それだけに大森は「正直、ホラーという視点では観ることが出来なかった。ジャンルでカテゴライズするとしたら何だろうか……。そう迷ってしまうくらいエンタメしているとしか言いようがない」と頭を悩ませると、もともとホラー映画は苦手という山中監督は「私は怖いのも痛いのもビックリするのも苦手だけれど、それでも嫌ではなかった。最後の30分は、もっとちゃんと見たい!と思わせるのだから不思議。最後まで付き合うぞ!というスポコン感があった」と『サブスタンス』にしかない世界観にドはまり。
体当たり熱演した主演のデミ・ムーアについて大森は「(ある男性と)食事に行こうかどうか迷うシーンの演技が実は一番凄かったと思っている」と演技派としてのムーアの表現力に唸る一方で、山中監督は「この映画で何を描きたいのか、それを<理解していないと出来ない芝居>を全員がしている。滑稽さも理解したうえで、自ら滑稽になっている。この映画と同じことをやろうとするのは難しい。あそこまで曝せないと思うから。チーム全員がやるべきことを理解して映画作りに挑んでいたはず」とキャスト&スタッフを激賞していた。
そんな本作を一言で表すならば、山中監督は「ご自愛ください。自分をケアしよう」と評する。そして「まるで二日酔いの辛さを大きくしたようなところのある映画なので<先の事を考えて自分を大事にしよう>というようなメッセージを受け取りました」と解説。大森は「成長物語であり人生」と言う。つまり「ラストを見た時に、人生ってこんなものなのかな、と思ったので」と深みを味わっていた。
最後に山中監督は「大衆がこぞって観るジャンルではないかもしれないけれど、『サブスタンス』に関してはこぞって観に行ってほしい。それくらい良く出来ている映画で、このような映画をどこもかしこも皆が観ていたら嬉しいし、それこそ素晴らしいことです」と大ヒット祈願。大森も「こんなに変でこんなに面白い映画はあまり無い。いろいろな映画賞にノミネートされたりしたのも映画的に夢のある話。ここ日本でもヒットして欲しいです。僕も改めて映画館で二回目を観るつもり」と宣言した。

美への執着と、成功への渇望がせめぎ合い、やがて狂気が侵食していく――脳裏に焼きつくヤバすぎるラスト・シーンから、一度見たら逃れられない! 想像のはるか先で暴走する<狂気のエンタテインメント>は5月16日(金)に公開! ぜひご期待いただきたい。


『サブスタンス』作品情報
公開日 | 2025年5月16日公開予定 |
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キャスト | 監督:コラリー・ファルジャ 出演:デミ・ムーア マーガレット・クアリー デニス・クエイド |
配給 | ギャガ |
制作国 | アメリカ(2024) |
上映時間 | 142分 |
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