第37回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門招待作品として選出された、映画『 サンセット・サンライズ』(公開中)。この度、映画『サンセット・サンライズ』の舞台として撮影の大半を行った、宮城県仙台市での“凱旋舞台挨拶“を<MOVIX仙台>にて1月18日(土)に開催! 主演の菅田将暉、岸 善幸監督、宮藤官九郎が上映後の舞台挨拶に登した。
『サンセット・サンライズ』は、書いたドラマは必ず注目を集め期待と信頼を一身に浴びる宮藤官九郎が脚本を担当し、2023年の『正欲』で第36回東京国際映画祭最優秀監督賞と観客賞を受賞した岸 善幸が監督。ともに東北出身でもあるふたりの異色のコラボレーションから生まれた本作は、 『あゝ、荒野』(17)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞ほか数々の映画賞を受賞して以来7年ぶりに岸監督とタッグを組んだ菅田将暉を主演に迎え、都会から移住した釣り好きサラリーマン⻄尾晋作と、宮城県・南三陸で生きる住民との交流や、人々の力強さや温かさをユーモアたっぷりに描き、その背景にあるコロナ禍の日本、過疎化に悩む地方、震災などの社会問題と向き合いながら豊かなエンターテインメントに転化させたヒューマン・コメディ。
公開2日目の1月18日(土)、宮城県のMOVIX仙台にて、主演の菅田将暉、監督の岸 善幸、脚本の宮藤官九郎の3人が登壇し、公開記念舞台挨拶を行った。本作の舞台は、南三陸で、撮影の大部分を宮城県で行ったことからまさに“凱旋舞台挨拶”が実現した。映画を観終わった宮城県の観客から大きな拍手で迎えられ、舞台挨拶がスタート。
まずは映画の撮影をした、宮城県に約1年ぶりに戻ってきた気持ちを聞かれると、菅田は「一番観てほしかった皆さんに観てもらえたのが嬉しい」、岸監督は「被災地で被災された方の映画を観てもらうことに緊張していました。(温かい反応に)ほっとしています」と打ち明けた。そして、宮城県出身の宮藤は、「『あまちゃん』を書いた時に、みやぎ絆大使なのに、なぜ宮城の話じゃないのかと言われて……。今日これでやっと安心しました」と話し、会場を沸かせた。
晋作がお試し移住をした宇田濱町は、港をはじめ、魅力的な情景がたくさん登場。撮影現場の気仙沼市には、2023年秋に約1ヵ月滞在しながらの撮影だったという。菅田は、撮影の合間に、散歩や、買い物をして、町を巡っていたという。気仙沼のお土産店にはよく足を運び「氷の水族館」では「氷でできたほやボーヤと写真を撮ったんです」とうれしそうに話した。
また、作品内に登場する水彩画は、実際に菅田が描いたもの。岸監督は「作品の中で晋作のことを一番理解し、晋作が描く絵を描けるのは菅田君だった」と依頼。菅田は、撮休も使って、練習しながら書き上げたと話した。
東北ならではの個性的なキャラクターが登場し「東北あるある」も満載な本作品。印象的なシーンについて、宮藤は、撮影中に現場を訪れ立ち合っていたシーンをあげ「晋作が居酒屋でソーシャル・ディスタンスを気にして後ずさるシーンが面白かったです。ディスタンスの取り方がうまくて感心していたんです」と話し、岸監督は「方言の『け』や『こ』で会話するシーン。菅田くんの体のラインが……(笑)」とにこにこ。菅田から「ほんっとそこ好きですよね」とつっこまれながらも、岸監督は「面白かった。編集しながらも笑った」とお勧めシーンについて語った。
特に「芋煮会」のシーンについて聞かれると、宮藤は、「原作には出てこないけど、芋煮会って大人が腹を割って話せる機会なんじゃないかと気がついた。芋煮会のシーンで竹原ピストルさんの『ただ来て、おいしいものを食べて帰ればいいんじゃない』というセリフは、風化していく震災について、実際に石巻で取材したときに現地の人から聞いた言葉なんです」と明かし、岸監督は「あのシーンを読んだ時、宮藤さんのふるさとに込めた思いが伝わってきた。キャストの皆さんが方言で気持ちを吐露している。現場でも涙しました。あのシーンを撮るためにこの映画を撮った」と熱い想いを打ち明けた。菅田は、「あの場面は、自分もすごいセリフがあって……。役柄としてどう表現するか悩んだ、とても印象に残るシーンです」と感慨深く話した。
本作は「飯テロ映画(!?)」と別名があるほど、三陸の新鮮な魚を使った料理が魅力的に登場する。「間違いなく一番料理を食べた」という主演の菅田は、「もう一度食べたい料理」を聞かれると、「モウカノホシ(ネズミザメの心臓)」と即答! 「(今は食べられない)生レバーが大好きだった人間としては、ほぼ生レバーみたいで美味しかった。また食べたいです」と笑顔で話した。作品中の「モウカノホシ」「ハモニカ焼き」などの個性的な料理は、監督がロケハンで見つけたもので、脚本にはなかった料理。ほかにも「あざら」や「やきがぜ」などの名前も上がり、「美味しかった」「お土産でも買った」などとひとしきり盛り上がったが、岸監督から「ちょっと待って。(やきがぜ)は作品に出てきていない」とツッコミが。キャスト・スタッフが作品に出てくる以上のご当地グルメを楽しんでいた様子が伝わってくるほど盛り上がっていた。
最後にスペシャルゲストとして、撮影地の宮城県・気仙沼市の観光キャラクター「ホヤぼーや」が登場し、3人に花束を贈呈! 最後のあいさつでは、「宮城を舞台に、震災とコロナというシリアスな問題ながら、ハートフルなコメディに仕上げました。自分としては頑張った作品です」と宮藤が挨拶し、「宮城県生まれの父親が昨秋亡くなり、家族を失うことについて思いを込めて作りました。映画を観て良いと思ってくださったらSNSなどでたくさん拡散してください」と岸監督。菅田は、「舞台となったその土地のよさを広めることができるのも映画の良さだと思いました。ほやボーヤもこれから羽ばたいてください」と、気仙沼から駆け付けたほやボーヤへのエールも忘れなかった。3人のトークショーは、映画の余韻そのままに温かな雰囲気に包まれながら幕を閉じた。
なお、本作の公開を記念し、岸 善幸監督と脚本の宮藤官九郎が、二人を引き合わせた佐藤順子プロデューサーとともに、大ヒット公開記念スペシャルトークとして、オンラインスペシャルトーク番組の生配信に出演することが決定! 1/24(金)20:30~「映画『 サンセット・サンライズ』の隠された秘密スペシャル」と銘打ちライブ配信される。内容は<ほのぼの系映画かと思ってたら、実はそうじゃないんです>という副題の通り、初日を迎えた今だからこそ話せるトークを展開予定。初タッグ&コメディ初挑戦となった岸監督と宮藤との撮影中のエピソード、菅田将暉をはじめとする豪華キャストとの仕事について思ったことなど、おすすめの本編シーン映像なども交えながら展開します。公式SNSで事前に募集した質問に答えるコーナーも予定しているので、早めに映画を観てぜひ質問し参加するべし!
東京のサラリーマンが4LDK・家賃6万円の神物件に“お試し移住”してみたら、まさかの人生が待っていた!?
映画『サンセット・サンライズ』は、全国公開中!
物語新型コロナウイルスのパンデミックで世界中がロックダウンに追い込まれた2020年。リモートワークを機に東京の大企業に勤める釣り好きの晋作(菅田将暉)は、4LDK・家賃6万円の神物件に一目惚れ。何より海が近くて大好きな釣りが楽しめる三陸の町で気楽な“お試し移住”をスタート。仕事の合間には海へ通って釣り三昧の日々を過ごすが、東京から来た〈よそ者〉の晋作に、町の人たちは気が気でない。一癖も二癖もある地元民の距離感ゼロの交流にとまどいながらも、持ち前のポジティブな性格と行動力でいつしか溶け込んでいく晋作だったが、その先にはまさかの人生が待っていた—?! |
主演:菅田将暉
脚本:宮藤官九郎 監督:岸善幸『あゝ、荒野』
原作:楡周平「サンセット・サンライズ」(講談社)*文庫版は10月16日刊行予定
製作:石井紹良 神山健一郎 山田邦雄 竹澤 浩 角田真敏 渡邊万由美 小林敏之 渡辺章仁
企画・プロデュース:佐藤順子 エグゼクティブプロデューサー:中村優子 杉田浩光 プロデューサー:富田朋子
共同プロデューサー:谷戸豊 撮影:今村圭佑 照明:平山達弥 録音:原川慎平 音響効果:大塚智子
キャスティング:田端利江 山下葉子 美術:露木恵美子 装飾:松尾文子 福岡淳太郎 スタイリスト:伊賀大介 衣装:田口慧
ヘアメイク:新井はるか 助監督:山田卓司 制作担当:宮森隆介 田中智明 編集:岡下慶仁 ラインプロデューサー:塚村悦郎
製作幹事:murmur 制作プロダクション:テレビマンユニオン
配給:ワーナー・ブラザース映画
Ⓒ楡周平/講談社 Ⓒ2024「サンセット・サンライズ」製作委員会