映画

「シンペイ〜歌こそすべて」公開記念舞台挨拶

神山征二郎監督、志田未来、吉本実憂、真由子、土屋貴子、緒形直人が登壇しました。

歌舞伎俳優の中村橋之助(28)が映画初主演した『シンペイ~歌こそすべて』(神山征二郎監督)の公開記念舞台挨拶が行われ、メガホンを取った神山監督、志田未来、吉本実憂、真由子、土屋貴子、緒形直人が登壇した。
本作は、明治・大正・昭和という激動の時代を生き、『カチューシャの唄』『ゴンドラの唄』『東京行進曲』『東京音頭』『シャボン玉』などジャンルを超えた2000曲以上を手掛けた作曲家・中山晋平の人生を数々の名曲とともにつづる音楽伝記映画。

進行を務めた新田博邦プロデューサーから、本日会場にてエンディングテーマ「ゴンドラの唄」を歌唱予定だった上條恒彦氏が、誤嚥性肺炎のため現在リハビリ中であることが伝えられた。上條からの手紙を、晋平の師匠・島村抱月を演じた緒形直人が代読した。
また、現在浅草公会堂での新春浅草歌舞伎にて座頭を務めている橋之助は本日欠席となったが、苦楽を共にした共演者・そして観客へのメッセージが届いており、晋平の最大の理解者である母・ぞうを演じた土屋貴子が手紙を読み上げた。

橋之助との共演の思い出について聞かれた緒形は、一番最初の芝居となった目の前に座るシーンを振り返り、「僕が20歳くらいの時にお会いしてお話ししたことがあった(橋之助の父である)中村芝翫さんのお若い時の顔そのまま! テストの時だったんですが台詞が吹っ飛びました。それくらいそっくりで! あそこまで似なくてもいいんじゃないかな(笑)」と笑いながら語った。

晋平の妻・敏子を演じた志田は、「晋平さんに羽織をかけるシーンがあったんですが、今の時代男性の羽織をかけることをしたことがなくて。戸惑っていたら、『ここでこういうふうに手を離してくださったら大丈夫ですよ』と言ってくださって。すごく心強くて、常に支えていただいていたなと思います」とその心遣いに感謝を述べた。昨日には「明日僕は行けないですがよろしくお願いします」と連絡もあったそうで、橋之助の優しさや気遣いにキャスト一同感嘆していた。

長野県中野市の中山晋平記念館を訪れ、自分のルーツにつながる驚きのエピソードがあったと語るのは、晋平の弟子・佐藤千夜子を演じた真由子。「晋平さんのお孫さんとお話しした時に『あなた、中山晋平を初めて演じた俳優をご存知?』と聞かれて。『いえ、知らないです』と答えたら『あなたのお父様ですよ』と」父・津川雅彦がまさにその俳優であったことを聞かされ驚き「すごいご縁です」と語る。そこから、幼い頃津川がお風呂で「ゴンドラの唄」を歌っていた記憶とつながったと言い、「お風呂で2人で歌ってると母から「あんたたち、音痴ね」と言われていた」と朝丘雪路のモノマネを交えて語り、会場を盛り上げた。

今回、日本で初めての“歌う女優”松井須磨子を演じた吉本実憂は、劇中登場する「カチューシャの唄」と「ゴンドラの唄」の思い出を披露。「実際にいらした方なので、松井須磨子さんの時代のお声に寄せられるように練習してたら喉が潰れました……」と過酷な練習の日々を回顧。その風景を見ていた監督と新田プロデューサーは実際のレコーディングの際は「良くなったね」と言い合っていたと語り、吉本も笑顔を見せた。

母・ぞうと晋平のシーンについて土屋は「クランクインのシーンが母が危篤で晋平が実家に駆けつけるところからだったんですが、夏の暑い日で熱いお布団をかけられていたんです。テストが終わると橋之助さんがお布団をめくって涼しくしてくれて。本当になんていい息子なんだ!と。大好きになってしまいました」とエピソードを披露、本編さながらに思いやりのある“親子関係”を築いていたそうだ。

緒形直人は「神山監督は御年83歳。芸術家の言葉で、『60,70は鼻垂れ小僧、男盛りは100から』なんて言葉もありますけれど、まだまだ神山監督元気で撮り続けます。神山組、よろしくお願いします」とキャスト・スタッフのチームワークの良さを感じさせる言葉で締めくくった。

【上條恒彦 メッセージ】
本日は折角お越しくださいましたのに、皆様の前で歌えないことが、残念でありません。
この歌は、大先輩でもある森繁さんやいろんな方々が歌う名曲です。私自身もその昔、憧れて歌った経験もありましたが、今回のエンディングテーマとしてレコーディング出来たことは、天から中山晋平先生のプレゼントかと思ったくらいです。
懐かしさの中に、切なくなる不思議なメロディは、何十年経っても色褪せず、音楽の素晴らしさを感じます。
どうぞ心ゆくまでお楽しみください。

【中村橋之助 メッセージ】
TOHOシネマズ日比谷にお越しの皆様、明けましておめでとうございます。
本来ならば、私もそちらのステージに立って、皆様に御挨拶を申し上げなくてはならぬところですが、現在、私は浅草公会堂にて新春浅草歌舞伎の座頭を務めておりまして、皆様にお会い出来ないのは誠に残念でなりません。
本日は、我が師・島村抱月先生、最愛の妻・敏子、我が愛弟子・佐藤千夜子さん、カチューシャのモチーフを与えてくれた同郷の松井須磨子さん、そして愛するかぁちゃんが、場を盛り上げてくださると安心しております。
この『シンペイ〜歌こそすべて』は、監督をはじめ、出演者、スタッフが、寝食を共にして作り上げた作品です。
中山晋平さんのお作りになった歌が、多くの人に愛され、何年の時を経ても歌い継がれているように、『シンペイ〜歌こそすべて』も100年先の人たちにまで繋がっていってほしいと願っております。本日はご来場 誠にありがとうございました。

中村橋之助
志田未来/渡辺大 染谷俊之 三浦貴大
中越典子 吉本実憂 高橋由美子/酒井美紀 真由子 土屋貴子
辰巳琢郎 尾美としのり 川﨑麻世/林与一/緒形直人
ナレーション:岸本加世子
監督:神山征二郎
企画・プロデュース:新田博邦
脚本:加藤正人、神山征二郎  音楽:久米大作  撮影・編集:小美野昌史
照明:淡路俊之  録音:治田敏秀  美術監督:新田隆之  助監督:菱沼康介 装飾:工藤秀昭
エンディングテーマ:『ゴンドラの唄』上條恒彦
後援:長野県 特別後援:公益社団法人 日本作曲家協会
協力:中野市、上田市、須坂市、松本市、長野市
製作:「シンペイ」製作委員会
配給:シネメディア
2024年/日本/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/127分
©「シンペイ」製作委員会2024