タレントのデヴィ夫人は、ショートドラマ『グランマズ ワイルド クリスマス』(12月23日〜25日、3話連続、TikTok、Instagram、YouTubeで配信)に主演した。バラエティー番組の出演、映画、ドラマに引っ張りだこのデヴィ夫人だが、「私は自分をタレントだと思ったことは1度もない」と語る。その理由と真意とは。(取材・文=平辻哲也)
本作は、縦型ショートドラマシリーズ「ショードラ」が企画したクリスマス特別作品。おばあちゃん=非力という固定観念を覆し、知恵と勇気で泥棒を撃退するワイルドな「グランマ」の活躍を描いたスカッとするコメディードラマだ。
都内で丸1日の撮影を終えたばかりのデヴィ夫人は、「1人暮らしのおばあちゃんが泥棒を知恵と勇気で撃退するという設定が非常に面白いと思いました。最近、強盗が高齢者宅を襲う怖いニュースが多い中で、こういった明るいコメディタッチの作品は良いと思いました」と語る。
「ショードラ」はTikTokやYouTubeなどで配信されるが、「正直、TikTokやYouTubeもほとんど知りません。ただ、新しいことに挑戦するのが好きなので、出演を決めました。『何事にも挑んでみる』という姿勢が大事だと思っています」
これまでも、映画『コンフィデンスマンJP -プリンセス編-』(2020年)では元某国大統領夫人、『親のお金は誰のもの 法定相続人』(2023年)では大富豪役を演じてきたことはあるが、ショートドラマでは1人暮らしのグランマ役。
「これまでは『デヴィ夫人』としての役柄が多かったのですが、今回は一般的な『おばあちゃん』の役でした。撮影は丸一日かかって、何度も同じカットを撮るのですが、久しぶりに多くのカットを撮るドラマのやり方を思い出しました。今回はショートドラマということで短いので、つらくはなかったです」
私生活でも、18歳の孫を持つグランマでもある。フレデリック・キラン・スカルノ・ゼーガースさんは今夏、ロンドン近郊の寄宿学校を卒業し、名門私立のシカゴ大学に進学した。
「合格率4%ですよ。本当にすごいと思います。ほめてあげたい。私は40年間、ヨーロッパとアメリカで過ごしてきたので、クリスマスはスイスのサンモリッツ、グシュタード、米コロラド州アスペンなどで家族と過ごして、新年を迎えることが多かったです。孫は今年はグシュタードの友達とスキーをするようです。娘(カリナ・サリ・デヴィ・スカルノさん)はやっと子育てから解放されたと思ったみたいで、カリブ海のプライベートヨットで過ごすみたい。私はトマムで過ごそうかと思っています」
チャリティー・パーティー、月に1〜2回行う講演活動はライフワーク
一方、毎年「クリスマス・ガラ・チャリティー・パーティー」も開催している。今年は12月9日、ウエスティン・ホテル東京で多彩なゲストを迎えて、華やかに行われた。
「杉本彩さんが理事長をしている公益財団法人動物愛護福祉協会と認定NPO法人アニマル・レフュージ関西のためのチャリティーです。日本では動物愛護の精神が欠けていると思っています。10月初めは日本赤十字社と『認定 NGO 難民を助ける会』のため、2月のアクアリウス・バレンタイン・ハッピー・ガラ・パーティーでは、国連UNHCR協会のために、6月にはその年に起きた洪水、地震の被災者のためのパーティーも開催しています。年に5、6回はチャリティーを行っています」
チャリティー・パーティー、月に1、2回、2000人近くを集めて行う講演活動はデヴィ夫人のライフワークだ。
「私がテレビに出るのは、こうしたチャリティー・パーティーのためです。テレビ出演の露出は集客に役に立っているんです。私は自分をタレントだと思ったことは1度もないのですが、日本の方は海外での私を知らないので、仕方ないと思っています。私をよく知っている方は『国際慈善家』とか『国際文化人』と書いてくださいますね」
アメブロ、インスタグラムなどSNSでも積極的に発信しているが、「私自身は普段、ガラケーです。スマートフォンも持っていますけど、うまく使いこなせませんので、全体の運営はスタッフにお任せしています。ただし、SNSに投稿される写真や言葉の選定は私自身が行っています。スマホで写真を撮るのが得意ですよ」とほほ笑む。
まったく年齢を感じさせない美貌の持ち主。健康を維持するため、食事の基本は“ま・ご・わ・や・さ・し・い”(豆、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけ)。脂肪分の少ない赤身肉や魚、野菜を意識的に摂取することを心がけ、108歳まで生きたいとも公言している。そのバイタリティーは何か。
「社会の不公平・不条理や理不尽に対する怒りが原動力となっています。世界では戦争が終わりません。ウクライナでは戦争は続いていますし、北朝鮮がロシアに加担していることも心配です。日本は中国、北朝鮮、ロシアの脅威にもさらされていますが、国民が全然関心を持っていない。高齢化、少子化も進んでいますし、国土も外国人に買われている。このままなら、30年後、日本はないんじゃないか、と危惧しています。若いYouTuberは毛沢東も蒋介石も知らないので、ビックリしました。教育を徹底的に変えて、強いリーダーが現れないといけない」と強く憂慮する。
社会情勢を知るために毎日、新聞を読み、クリッピングもしているというデヴィ夫人。今後も、国際慈善家としての活動を続けるつもりだが、「私個人としては、来年はもっと家族との時間を大切にしたいと思っています」。遠く離れて暮らす娘や孫との再会を楽しみにしているようだ。
『グランマズ ワイルド クリスマス』は12月23日〜25日の3話連続で、TikTok、Instagram、YouTube「ショードラ / SHOW DRAMA」で配信される。
□デヴィ夫人(本名:ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ)1940年2月6日、東京都生まれ。19歳でインドネシアに渡り、22歳でインドネシアの初代大統領スカルノ氏と結婚。日本人で海外の国家元首の妻になった、たった1人の女性。大統領が亡くなった後はパリへ拠点を移し、社交界では『東洋の真珠』とうたわれた。外交や文化活動における豊富な経験を基に、現在は国際文化人として活動している。タレントや執筆、講演活動のほか、動物愛護や難民支援など、社会貢献にも尽力している。