俳優の奥田瑛二は、12月16日に都内で行われた『第49回報知映画賞』の表彰式に登壇し、映画『かくしごと』で助演男優賞を受賞した。同作で共演した杏が、奥田が演じた里谷孝蔵の娘役・里谷千紗子を演じたこともあり、サプライズでお祝いに駆けつけた。
映画『かくしごと』は、北國浩二の小説『嘘』を原作とし、関根光才監督によるヒューマン・ミステリー作品で、子を守る母親の強い愛と嘘を描いている。奥田瑛二は、認知症を患った父親・里谷孝蔵役を演じ、その演技が評価されて助演男優賞を受賞した。
表彰式では、杏がサプライズで登場し、奥田へのお祝いの言葉を述べた。杏は、「家族役を演じるのはその現場限りのことですが、なぜかその後も特別な思いがありました。現場では奥田さんとはあまり話せませんでしたが、映画が完成してから本当の奥田さんに会えた気がします。演技を通してすごくかっこいいと感じました」と感謝の気持ちを伝えた。
奥田は、杏のサプライズ登場に感極まった様子で、「フランスからよく来れたなあ。感無量で何も言えない。今回の賞はカンヌとダブル受賞したような気持ちです」と語り、続けて「杏の父親役を演じる際、自分の娘と共演するよりも緊張した」と心情を吐露した。
また、奥田は『報知映画賞』に対する思いを述べ、「『報知映画賞』以外の賞はすべて受賞しており、この賞だけが足りなかった。杏が駆けつけてくれて、泣くのを堪えるのに精一杯でした。最近で一番嬉しい」と感謝の意を示した。
作品賞・邦画部門:「正体」(藤井道人監督)▽作品賞・海外部門:「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(アレックス・ガーランド監督)▽アニメ作品賞:「ルックバック」(押山清高監督)▽主演男優賞:横浜流星「正体」▽主演女優賞:石原さとみ「ミッシング」▽助演男優賞:奥田瑛二「かくしごと」▽助演女優賞:吉岡里帆「正体」▽監督賞:塚原あゆ子「ラストマイル」▽新人賞:越山敬達、中西希亜良「ぼくのお日さま」▽特別賞:草笛光子「九十歳。何がめでたい」、平泉成「明日を綴る写真館」
物語 絵本作家の千紗子(杏)は、長年絶縁状態にあった父・孝蔵(奥田瑛二)の認知症の介護のため、渋々田舎に戻る。他人のような父親との同居に辟易する日々を送っていたある日、事故で記憶を失ってしまった少年(中須翔真)を助けた千紗子は彼の身体に虐待の痕を見つける。少年を守るため、千紗子は自分が母親だと嘘をつき、少年と暮らし始めるのだった。 ひとつの“嘘”からはじまった千紗子と少年、そして認知症が進行する父親の三人の生活。最初はぎこちなかった三人だが、次第に心を通わせ、新しい家族のかたちを育んでいく。しかし、その幸せな生活は長くは続かなかった。 許されないとわかっていても、なぜ彼女は嘘をついてまで少年を守ろうとしたのか。そして、このひとつの嘘から明かされていく、それぞれの<かくしごと>とは―。ラスト、彼女が知る真実に、あなたもきっと涙する。 |
杏
中須翔真 佐津川愛美 酒向芳
木竜麻生 和田聰宏 丸山智己 河井青葉
安藤政信 / 奥田瑛二
脚本・監督:関根光才
原作:北國浩二「噓」(PHP文芸文庫刊)音楽:Aska Matsumiya
主題歌:羊文学「tears」F.C.L.S.(Sony Music Labels Inc.)
エグゼクティブプロデューサー:松岡雄浩 津嶋敬介 小西啓介 企画・プロデュース:河野美里
プロデューサー:服部保彦 石川真吾 櫻田惇平 アソシエイトプロデューサー:青木真代
撮影:上野千蔵 照明:西田まさちお 録音:西條博介 美術:宮守由衣 装飾:野村哲也
衣裳:立花文乃 ヘアメイク:那須野詞 編集:本田吉孝 音響効果:渋谷圭介
助監督:亀谷英司 制作担当:入江広明
ラインプロデューサー:渡辺修
企画・制作:ホリプロ
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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