2023年4月15日(土)、新宿武蔵野館にて、映画『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』の公開記念舞台挨拶が行われました。このイベントには主人公・七森役の細田佳央太さん、七森の同級生・麦戸役の駒井蓮さん、そして金子由里奈監督が登壇しました。
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』は、繊細な感性で話題を生み出し続けている小説家の大前粟生さんにとって初めて映像化された作品です。この映画は、注目を集めている監督の金子由里奈さんによる商業映画デビュー作でもあります。金子監督は以前に『21世紀の女の子』や『眠る 虫』などの作品で注目を浴びています。
物語は大学の「ぬいぐるみサークル」を舞台に展開されます。主人公の七森は男らしさや女らしさのノリに苦手意識を抱えており、彼と心を通わせる麦戸との関係が描かれます。七森と麦戸を取り巻く人々の物語も同時に描かれます。金子監督は大学生の頃に原作小説を読み、その時の小説体験が自身の無自覚な加害性に向き合うきっかけとなりました。彼女はこの作品が現代の社会に届くべき作品だと感じ、自分の映画化したいという思いを抱きました。
細田さんは金子監督について、「オファーの際に金子監督が『私はこの映画で革命を起こしたいんです』と一言言ったことが決め手になりました。皆さんも作品に向き合っていると思いますが、言い切れる人は限られていると思います。私は監督から直接言われることが幸せでしたし、監督のために頑張りたいと思いました。そして、もし監督がこの映画を撮らなかったら、こんなやさしい作品にはならなかったと思います」と笑顔で語りました。
細田は自身が演じた役について、「共感できるところは、七森も世の中で起きることや自分がすることに対して敏感な男の子。自分にもその素質がある方。言葉ひとつとっても、間違った聞き取られ方をされてしまうんじゃないかと考えてしまう。周りに対する感度の高さは、七森に近いですね」と自己分析しました。
一方、駒井は麦戸に共通点を多く感じていたようで、「麦戸ちゃんは物の考え方、人のことを自分ごとのように考えてしまう女の子。『これは私では…?』と思う瞬間もありました。でも似すぎてしまうと、演じるのが難しくなる。だから麦戸ちゃんと自分とで違うところを見つけるようにしていました。例えば私は主張が強めなタイプなんですが、麦戸ちゃんは強制しないし、押しつけない。その違いを見つけながらお芝居していました」と述べました。
2人のコメントを受けて、金子監督は「現場ではわからないことばかりというか、『このシーンを撮ることで誰かを傷つけていないだろうか』と不安になったこともあったんですが、現場では役者さんが一緒になって考えてくださいました。お2人が体現してくれるものを私たちはカメラで捉える、みたいなことができました。本当に救われました」と感謝の気持ちを述べました。
出演:細田佳央太 駒井蓮 新谷ゆづみ
細川岳 真魚 上大迫祐希 若杉凩
天野はな 小日向星一 宮﨑優 門田宗大 石本径代 安光隆太郎
原作:大前粟生「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」(河出書房新社 刊)
監督:金子由里奈
脚本:金子鈴幸 金子由里奈
音楽:ジョンのサン
プロデューサー:髭野純
製作・配給:イハフィルムズ
©映画「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」
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