歌舞伎俳優の中村橋之助（28）が映画初主演を果たした『シンペイ～歌こそすべて』（神山征二郎監督）の完成披露プレミアム上映会が、12月10日（火）に東京・六本木のTOHOシネマズ六本木で行われた。イベントには、中山晋平役の橋之助をはじめ、妻・敏子役の志田未来（31）、野口雨情役の三浦貴大（39）、企画・プロデュースを務めた新田博邦氏、そして神山征二郎監督（83）が登壇した。
本作は、明治、大正、昭和という激動の時代を背景に、『カチューシャの唄』『ゴンドラの唄』『東京行進曲』『東京音頭』『シャボン玉』など、2000曲以上の作品を手掛けた作曲家・中山晋平の生涯を描いた音楽伝記映画である。作品では、晋平の多彩な楽曲と共に、その波乱に満ちた人生が描かれている。
橋之助は18歳から65歳までの晋平を演じ、初主演ながら幅広い年齢を表現する難役に挑戦した。撮影当初について「朝に30歳、昼に18歳、夜に60歳と、同じ日に異なる年齢の役を演じたこともあり、苦労しました」と振り返った。
一方、妻・敏子役を演じた志田未来は「橋之助さんが映画初出演と知ったのは撮影中でした。それを感じさせない堂々とした演技で、私もついていこうと思いました」と評価した。
また、詩人・野口雨情役を演じた三浦も、橋之助の演技に対し「初出演だとは思えないほど素晴らしかった。舞台で鍛えられた全身を使った演技は、映像作品に慣れた自分にとって新鮮で勉強になりました」とコメント。さらに、「段取りから全力で取り組む姿に刺激を受け、こうした真摯な姿勢を忘れてはいけないと感じました」と語った。
イベントは終始温かい雰囲気で進行し、作品に対する期待感が高まるプレミアム上映会となった。
上映会では、司会者が橋之助の母で女優の三田寛子が映画を鑑賞した感想をSNSに投稿したことに触れる場面もあった。三田は、先行上映が行われた長野で映画を観た後、「最初は息子の初主演作だと思って緊張しましたが、スクリーンの世界に引き込まれ、すっかり息子だということを忘れてしまいました。帰りの新幹線では、映画の中で登場した曲を思い出し、涙が止まりませんでした」と感動を綴っていた。この話題に対し、橋之助は少し照れた様子で、「撮影は昨年9月から今年4月までだったのですが、その後10キロ太ってしまいました。母には『あの頃の方が良かったね』と言われました」と笑いを交えながら語った。
さらに、上映会には日本作曲家協会の関係者も多数出席。会長の徳久広司氏は映画について「久しぶりに上質な映画を観ました。童謡にこれほど感動したのは初めてです。自分だけかと思ったら、他の人も涙ぐんでいました。本当に素晴らしい作品なので、ぜひ多くの方に観ていただきたいです」と称賛。「封切り後には妻と一緒にお金を払って改めて観に行きます。30日のレコード大賞ではアーティストたちに宣伝しておきます」と熱意を見せた。
このコメントを受け、神山監督は「作曲家協会の先生方が多くいらしていたので緊張していましたが、好意的な感想をいただけて本当にホッとしました」と安堵の表情を見せた。上映会は映画の完成を祝うとともに、作品に対する期待感を一層高める場となった。
上映会の後半では、日本作曲家協会から著名な作曲家である蘭一二三氏、藤田たかし氏、水森英夫氏、徳久広司氏、岡千秋氏、田尾将実氏、山田ゆうすけ氏が特別ゲストとして登壇。中山晋平役を演じた橋之助とのスペシャル・フォトセッションも行われ、会場をさらに盛り上げた。
締めくくりには、橋之助が挨拶を行い、「映画は監督の指揮やスタッフの尽力があって初めて完成するもので、その過程を間近で見ることができ感動しました」と撮影を振り返りつつ、「歌舞伎と同様に映像作品でも役者として必要とされるよう、これからも精進していきたい」と決意を語った。さらに、「素敵な映画に仕上がっていると思いますので、ぜひ映画館でご覧いただければと思います」と観客に呼びかけた。
上映会は終始温かい雰囲気に包まれ、ゲストや観客からの期待を集める形で幕を閉じた。
中村橋之助
志田未来／渡辺大 染谷俊之 三浦貴大
中越典子 吉本実憂 高橋由美子／酒井美紀 真由子 土屋貴子
辰巳琢郎 尾美としのり 川﨑麻世／林与一／緒形直人
ナレーション：岸本加世子
監督：神山征二郎
企画・プロデュース：新田博邦
脚本：加藤正人、神山征二郎 音楽：久米大作 撮影・編集：小美野昌史
照明：淡路俊之 録音：治田敏秀 美術監督：新田隆之 助監督：菱沼康介 装飾：工藤秀昭
エンディングテーマ：『ゴンドラの唄』上條恒彦
後援：長野県 特別後援：公益社団法人 日本作曲家協会
協力：中野市、上田市、須坂市、松本市、長野市
製作：「シンペイ」製作委員会
配給：シネメディア
2024年／日本／カラー／アメリカンビスタ／5.1ch／127分
©「シンペイ」製作委員会2024
