約900本のMV(ミュージックビデオ)やライブビデオ、CM、アニメーション、ドラマ、短編映画を監督してきた小嶋貴之によるサスペンス映画「帰ってこなかった男」が、2025年3月28日より劇場公開されることが決まった。
「帰ってこなかった男」は、「配偶者が3年以上生死不明の場合、離婚訴訟を経て離婚ができる。不在者の生死が7年間不明な場合、失踪の宣告をすることができ、死亡保険金受取人は保険金を受け取ることができる」という法的事実を元に、モラルぎりぎりのグレーゾーンで己の弱さによって追い詰められていく男の姿を描いたサスペンス映画。
不倫相手とともに妻の元夫の保険金を使おうともくろむ夫・持田孝明に卯ノ原圭吾、保険金受け取りまで半年に迫ったタイミングで元夫とうり二つの男に遭遇してうろたえる妻・持田佳奈役に斎藤千晃、自分だけを愛して欲しいという一心で孝明を振り回す岸本あゆみ役に実倉萌笑が顔をそろえる。ほかに、宮本聖矢、米元信太郎、小幡貴史、松本響、島林瑞樹、八木亜希紗、鐘ヶ江圭太、佐藤達也が出演する。
小嶋貴之監督のコメントも公開された。コメントは以下の通り。
■監督:小嶋貴之
20年以上仕事として1000本近くのMVをはじめいろんな映像をクライアントワークとして作ってきたのですが、数年前ふと自分の作品・プライベートワークを作っていないことに気づきました。このままだと自分の作品を撮ることなく歳をとってしまうという焦りを覚え、脚本の学校に行きなおしたり、スプロケというコミュニティでたくさんの役者と触れ合ったりしているうちに、MVの様な映像主義だけではない、芝居を中心とした人間性を重視した映画に自分の趣向もシフトしていきました。MVディレクターでもある自分の感覚をも取り込みつつ芝居の純粋性を中心にしたエンタメ性の高い作品を作ろうと制作したのが『帰ってこなかった男』です。混じりっ気なしの⾃分が投影できたと思っています。
考えると、仕事は日々納期がついて回り、見る夢でも基本自分が何かしらで追い込まれている事が多く、ずっと逃げる逃げないのラインをやじろべえの様に綱渡っている(サスペンス)、そんな自分が映画作りの主題に置いているのはずっと逃げたい主⼈公でした。またお笑いが好きという趣味もあって、そんなサスペンスフルな状況さえも笑ってしまおうというある種精神的な逃げ場を作りたいと思い、こんな作品が出来上がりました。
この世はたくさんの価値観があり、皆が生きやすくする為のいろんなルールが存在します。しかし誰もが、そのルールを逆に利用してすれすれのグレーゾーンで欲を満たそうとしたことはあるのではないでしょうか?例えば失踪者が7年見つからないと死亡扱いになるという「失踪宣告」。人が一人いなくなることで悲しむ人もいるけど、得する人も存在してしまうのが、この様々な価値観に溢れる現代です。サスペンスフルな世界で、そこで欲にまみれた人たちが右往左往する物語のドライブ感を楽しんでいるうちに、観客が本当の自分を見つけてしまう、そんな映画になったと思います。ぜひ、大きなスクリーンのある劇場でご覧ください。
【作品情報】
帰ってこなかった男
2025年3月28日(金)よりテアトル新宿ほかにて全国順次公開
配給:ジーンハート
©takayukikojima