映画

『ザ・バイクライダーズ』試写イベント

『エルヴィス』(22)、『デューン 砂の惑星 PART2』(24)などのオースティン・バトラーと、『最後の決闘裁判』(21)のジョディ・カマー、そして『マッドマックス 怒りのデスロード』(15)、『ヴェノム』シリーズで知られるトム・ハーディら、ハリウッドの豪華スター陣が初共演を果たし、『テイク・シェルター』(11)、『ラビング 愛という名前のふたり』(16)のジェフ・ニコルズが監督・脚本を務めた『ザ・バイクライダーズ』。

この度、11/12(火)に、本作の日本最速試写を開催! ハーレーダビッドソンのヴィンテージ・バイクやアメリカン・トラディッショナルに精通、日本のタトゥー・カルチャーも牽引する原宿の「TATTOO STUDIO YAMADA」のオーナーでもあり、YouTube「OMOSSY CHANNEL」でも活躍する山田 蓮と、鎌倉のハーレーダビッドソン ヴィンテージ・モデル・ショップ「ブルーグルーブ」オーナーの矢代貴充(やしろたかみつ)が本作の背景でもある50~60年代アメリカの歴史的背景とバイク・ファッション・タトゥーなどカルチャーについての想いを語った、バイク愛に溢れる熱いトークイベントが開催された。

矢代はまず、この映画が、ドキュメンタリー写真家としても知られるダニー・ライオンがシカゴのバイク集団“Outlaws Motorcycle Club”を撮影した1st写真集「THE BIKERIDERS」からインスパイアされていることを説明。「まさに僕らが普段から乗っている、大好きなヴィンテージのハーレーダビットソンが出てくる映画なんです」と明かし「いまの時代だからこそ、こういう映画がつくられて、皆さんの元に届けられる、メッセージ性が込められているのを感じました」「AIなど便利な方向に時代が向かう中で、この映画は35ミリのレンズで撮られていて、その原点回帰みたいなところも、混沌の時代だからこそ、戻ってきたのかなという気がします」「この時代はアメリカの激動の時代で、この後はベトナム戦争もあってアメリカがグチャグチャになる。それはいまの時代とリンクすると思う」と本作がいま公開されることの意義を語る。

山田も「60年代に撮られた写真の写真集が、いま映画になるって何でなんですか?というところですけど……。インスパイアどころか『あの写真集のあのページのシーンじゃん!』みたいな部分がメチャメチャあるんです(笑)。この写真集からこの映画ができたんだ、というのをぜひ感じてほしいし、『この映画、すごいことをやってんな』というのが伝わると思います!」と熱く語る。

劇中では、バイクを愛し、モーターサイクルクラブ(MC)に集う男たちの姿が描き出されるが、山田は「(MCのメンバーたちは)みんな家族があったり、彼女がいるのに『なんでこいつら、ずっとこんな一緒にいられるんだ? 』って不思議に感じると思います。MCは家族みたいなものなんです。“バイク好き”というだけで、(本当の)家族をほっぽって、仲間と走りに行くってワケ分かんないけど(笑)、でも映画を観たら、なぜバイクに乗るだけなのに、そんなに熱量を持っているのかが、ちょっと分かると思います」「『なんでこいつら、バカみたいにバイクばっかり?』というところに注目して観てほしいです」と述べ、この映画が公開されたら「バイク屋さんは忙しくなると思います(笑)」とも。

一方、矢代はトム・ハーディが演じるMC<ヴァンダルズ>のリーダーのジョニーの存在に着目。「ジョニーの男気、クラブをまとめ上げていく力ですね」と見どころをあげ「俺たちも、小さな会社ですけど、少なからず経営者として組織をまとめていかないといけない。壁にぶち当たっても、それでも前に進んでいかなきゃいけない時がある。そういう時、リーダーがどういうカリスマ性をもってみんなを引っ張っていくのか? そういうところでの(ジョニーの)葛藤が、現代のリーダーに通じるのを感じました」と振り返る。

この矢代の言葉に山田も「映画を観るまで、ベニー(オースティン・バトラー)が主人公だと思っていましたが、映画を観ると、ジョニーがどれだけ縁の下の力持ちであり、みんなを支えているかという部分にも注目して撮っている印象を持ちました」と深く同意。改めて矢代は「若い世代にぜひ観てほしい。この映画をどう感じるか? バイク愛やクラブ愛というのは現代にはなかなかないものですが、その意味でも若いジェネレーションにぜひ観てほしい映画です」と言葉に力を込めた。

最後に司会者から、本作を観て、同じくバイカーを扱った映画であり、アメリカン・ニューシネマの代表作として知られる傑作『イージー・ライダー』(1969)と比べてどんな違いを感じたか?という質問が及ぶと、山田はこの突然の難題に「マジっすか(苦笑)?」と困惑しつつも「バイクにもいろんなジャンルがあって、すごくいろんな種類、さまざまな背景があります。『イージー・ライダー』は、その中でもこの映画寄りのバイク・スタイルではあるんですけど、MCというところで撮ってはいないんですね。MCというところに着目した映画は、いままでなかったんじゃないかと思うし、ニッチでコアな部分だと思います。バイクの世界でも『何でそこをチョイスした?』という(笑)、そこが『イージー・ライダー』と違うこの映画の良さだと思います」と分析。

矢代は『イージー・ライダー』のみならず、『ワイルド・エンジェル』(1966)、『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984)、『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』(1991)といった各時代のバイカー映画の系譜に触れつつ、山田と同じくクラブという側面に焦点を当てている点について触れ、「いつの時代もバイク映画って必ずあるんです。これだけ時代が進んで、映画をつくるにしてもいろんな情報や資料もある中で、いまの時代だからこそ、こういうリアルなメッセージを持った映画が生まれてくる。もちろん『イージー・ライダー』と共通する部分もあるんだけど、それとはまた別の側面をうまく世の中に出してくれた気がします」と本作が描き出した新たな視点を称えた。

なお、矢代がオーナーを務めるカスタムショップ「ブルーグルーブ」と本作のコラボレーションが決定! 写真集「THE BIKERIDERS」に登場するアイコニックなバイク「CROSSING THE OHIO RIVER」を完全レプリカで制作、12月1日(日)にパシフィコ横浜で開催される「第32回ヨコハマ ホットロッド・カスタムショー」にて特別展示されることも告知された。『ザ・バイクライダーズ』は11月29日(金)より公開。

ストーリー
1965年アメリカ・シカゴ。不良とは無縁の生活を送っていたキャシー(ジョディ・カマー)が、出会いから5週間で結婚を決めた男は、喧嘩っ早くて無口なバイク乗りベニー(オースティン・バトラー)だった。地元の荒くれ者たちを仕切るジョニー(トム・ハーディ)の側近でありながら、群れを嫌い、狂気的な一面を持つベニーの存在は異彩を放っていた。バイカ―が集まるジョニーの一味は、やがてヴァンダルズという名のモーターサイクルクラブへと発展するが、クラブの噂は瞬く間に広がり、各所に支部が立ち上がるほど急激な拡大を遂げていく。その結果、クラブ内は治安悪化に陥り、敵対クラブとの抗争が勃発。ジョニーは、自分が立ち上げたクラブがコントロール不能な状態であることに苦悩していた。一方、バイクと暴力に明け暮れるベニーの危うさにキャシーは不安を抱え、ベニーは自分を束縛しようとするキャシーとの将来に葛藤していた。そんななか、暴走が止まらない“ヴァンダルズ”で最悪の事態が起こってしまう――。

『ザ・バイクライダーズ』
出演:オースティン・バトラー、ジョディ・カマー、トム・ハーディ、マイケル・シャノン、マイク・フェイスト、ノーマン・リーダス
監督・脚本:ジェフ・ニコルズ
2023年/アメリカ/シネマスコープ/116分/カラー/英語/5.1ch/原題『THE BIKERIDERS』
字幕翻訳:松浦美奈/映倫区分:G
配給:パルコ ユニバーサル映画
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公式サイト:https://www.universalpictures.jp/micro/the-bikeriders