カンヌ・ヴェネチア・ベルリン3大映画祭を制し、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に8作品連続選出されているナンニ・モレッティ監督最新作『チネチッタで会いましょう』が、11月22日(金)より全国公開。このたび、第37回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門にてイタリア特集が組まれることとなり、ナンニ・モレッティ監督の新作『チネチッタで会いましょう』を含む『赤いシュート』、『親愛なる日記』の3作品が特集上映されることが決定した。
23歳でデビュー後、若くしてその才能を認められ40歳を迎える頃には世界3大映画祭すべてで賞を受賞し、モレッティアーノと言われる熱狂的なファンを持つ映画監督ナンニ・モレッティ。その代表的な3作品が東京国際映画祭にて上映される。
まず外せないのは最新作の『チネチッタで会いましょう』。時代の変化についていけず、真ん中にいると思っていたらはみ出してしまっていた映画監督が、失意の後に大切なことに気づくというヒューマンドラマ。フェリーニやキェシロフスキ、スコセッシなど映画へのオマージュを交えながらところどころに自身の過去作品を引用して、変化の激しい世界に適応することの難しさをユーモラスに描きだす。
『赤いシュート』は、記憶喪失の水球選手が自身でも認識できない現実を再確認することで失われた記憶を取り戻そうとする姿を描いた人間ドラマ。
『親愛なる日記』は、ローマとシチリアの島々そして病院を巡る映画監督の親密でおかしくてちょっと辛辣な3章からなる 映像日記。ローマをベスパというスクーターでめぐる姿が印象的で、第47回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞し、カイエ・デュ・シネマ誌年間ベストワンに選ばれた。
東京国際映画祭のプログラミング・ディレクターの市山尚三は「パーソナルな題材を映画に昇華し、若くして国際映画祭の寵児となったナンニ・モレッティは、70歳を越えた現在に至っても、新進監督のような軽やかな映画を作り続けています。長いこと日本では見ることができなかった初期の代表作『赤いシュート』を含む3作品、是非ともお楽しみください」とメッセージを寄せている。詳細は東京国際映画祭のHP(https://2024.tiff-jp.net/ja/)にて。
上映作品
『チネチッタで会いましょう』(2024年11月22日(金)公開)
5年に1度新作を撮り続けてきた映画監督ジョヴァンニ。傍にはプロデューサーでもある妻がいつもいてくれた。頭の中は新作のアイディアでいっぱいだ。完璧に見えた彼の人生。ところが自分は世間からも家族の気持ちからもズレていたことに、容赦なく気付かされる出来事に見舞われる。妻には突然別れを切り出され、フランス人のプロデューサーは詐欺師とわかり映画製作は中断される。しまいには妻のプロデュースする映画に難癖をつけ撮影を一晩とめてしまう。Netflixを頼ってはみたものの脚本にダメ出しされる。窮地に陥った彼が失意の中で見つけた大切なものとは?
『赤いシュート』(1989年製作)
イタリア共産党員の若き指導者で名門水球チームの選手でもあるミケーレは、シチリアで行われた水球の選手権に向かうが、途中に遭った交通事故が原因で、軽い記憶喪失に陥ってしまう。母親に愛されていた子供の頃の情景だけ鮮明に思い出せる一方、その他のことは不鮮明。ミケーレは混乱した記憶と理解できないことだらけのまま試合に出場することに。自分自身が認識できない現実を再確認することで失われた記憶を取り戻そうとするのだが―。
『親愛なる日記』(1993年製作)
8月の人気のないローマをベスパで巡る映画監督モレッティ。気ままにベスパを走らせ、ところどころでたちどまる。観光ガイドにはのっていないローマ人ならではの愉快なローマ案内を映し出す第1章「ベスパに乗って」、ユリシーズ研究者の友人を訪ねて、エオリエ諸島のリパリ島に向かうが、しかし友人の家は町の中心にあって喧騒はローマ並み。2人はリパリ島からサリーナ島に向かうのだが、そこにも問題があり、エオリエ諸島を巡ることになる第2章「島めぐり」、突然襲われた激しいかゆみのために、皮膚科を受診するモレッティ。薬を処方され治療に励むのだが症状は改善せず、ひどくなる一方。皮膚学界のプリンスや民間療法など様々な治療を試すのだが、最後に衝撃的な診断が下される第3章「医者巡り」で構成される、監督ナンニ・モレッティの 映像による日記。
チネチッタで会いましょう
2024年11月22日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
監督:ナンニ・モレッティ 脚本:フランチェスカ・マルチャーノ、ナンニ・モレッティ、フェデリカ・ポントレモーリ、ヴァリア・サンテッラ
音楽:フランコ・ピエルサンティ 撮影:ミケーレ・ダッタナージオ
出演:ナンニ・モレッティ、マルゲリータ・ブイ、シルヴィオ・オルランド、バルボラ・ボブローヴァ、マチュー・アマルリック
2023年/イタリア・フランス/原題:Il sol dell’avvenire/96分/ヴィスタサイズ/日本語字幕:関口英子
後援:イタリア大使館/特別協力:イタリア文化会館/配給:チャイルド・フィルム
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