2024年9月14日より劇場公開される、病気の療養から復職した新聞記者が、なにげない日常や社会とのつながりから心の居場所を見いだしてゆくノルウェー映画「ヒューマン・ポジション」から、さまざまな「生活と猫」をテーマに編集された本編映像が公開された。
アスタとライヴの2人の食卓には、必ず猫がいる。広げた新聞の上もお構いなしで、すきあらば何かを食べてやろうと試み、または遊ぼうよと誘う。見えない何かを追ってみたり、一人掛けの椅子にもまるで自分のベッドかのようにのびのびくつろぐ。アスタのおなかの上も落ち着く。でも実はアスタも同じ気持ちで、おなかの上に猫がいるとそれだけで嫌なことも忘れて優しい気持ちになれる。寝るときも一緒で、窓の外を見るのが大好きで、いるだけで知らず知らずアスタや二人の時間を優しい時に変えていくこの猫の姿が収められている。
「ヒューマン・ポジション」は、ノルウェーの哀愁漂う港町の新聞社を舞台とした作品。ノルウェーの港町の新聞社に勤めるアスタ。地元のホッケーチーム、アールヌーボー建築を保存するための小さなデモやクルーズ船の景気など、地元の人々を取材してニュースにするのが仕事で、彼女の支えとなるガールフレンドのライヴと、2人で穏やかな時間を過ごしている。ある日、アスタは10年間ノルウェーで働いてきた難民が、強制送還されたという記事を目にする。その事件を調べるにつれ、アスタは自身を覆っていた無気力感を払拭し、自分が求める”心の居場所”を次第に見いだしていく。
監督は、本作が長編2作目となる、ノルウェーのアンダース・エンブレム。フィヨルドに囲まれ、絵画のような色彩豊かな風景で「ノルウェーで最も美しい街」と称される監督の故郷オーレスンを舞台に、主人公の心の機微や日常を丁寧に描く。主人公アスタを演じるのは、アンダース・エンブレムの監督デビュー作「HURRY SLOWLY(原題)」に続いて再びタッグを組んだアマリエ・イプセン・ジェンセン。トラウマを抱える心の揺らぎや内に秘めた聡明さを、抑制のきいた演技で表現している。
【作品情報】
ヒューマン・ポジション
2024年9月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
配給:クレプスキュール フィルム
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