映画

『DitO』公開記念舞台挨拶

公開記念舞台挨拶
日付:7月27日
場所:ヒューマントラストシネマ渋谷
登壇:プロデューサー・監督・主演:結城貴史、田辺桃子、尾野真千子

女優の尾野真千子と田辺桃子が27日、映画「DitO」の公開記念舞台あいさつに出席した。

再起を目指すボクサーの物語を描いた本作は、フィリピンで撮影されました。田辺は「生身で地域の人々の温かさや文化、家族愛を自分自身で体験できた」と振り返りました。

主演の結城貴史監督は、大切にしている格言として、映画に出演したボクシング元世界6階級王者マニー・パッキャオの言葉「年齢はただの数字に過ぎない」を挙げました。

田辺は「この作品で初めてフィリピンに行けたのがすごく嬉しかったです。スタッフたち今まではテレビやSNSでの情報でしか知らなかったのですが今回のロケ地はローカルな場所だったので、生身で現地の方の温かさ、文化、家族愛を身をもって知ることができました」と語り、また「私は、朝一からめちゃくちゃ元気なんですよで、『桃子おはよう!』それで現場に行って『今日も一日頑張るぞ!』ってスイッチが入っていましたね」と現場での様子を振り返った。

尾野は「フィリピンは暖かい場所だと思いでしょうが、寒かったんです」と当時の感想を述べ、「ロケ地に向かう途中のサービスエリアで、トイレの便座がなかったり、扉が閉まらなかったりといった経験もありましたが、まあそういう経験があるから映画の現場は面白い」と監督とも笑いながら振り返りました。

田辺と結城監督がタガログ語を話すシーンについて話が及ぶと、結城監督は「桃子のタガログ語が上達しすぎて、僕より上手くなってしまったため、役柄からずれてしまうので、わざと下手にしてもらいました」と、その上達ぶりに驚いたことを明かしました。これに対して田辺は、「練習してたら、みんなが教えてくれるんですよ」「私は負けず嫌いで凝り性なので、完璧を求めすぎて『フィリピンの人にも流暢に聞こえてほしい』とやりすぎてしまい、指導が入りました」と語りました。

また、本作には『超RIZIN.3』出場のため来日中のボクシング元世界6階級王者マニー・パッキャオと結城のスパーリングシーンが含まれています。パッキャオについて結城監督は「なかなか会える人ではないですが、ご縁が奇跡を生みました」と語り、「ボクシングシーンでは、リングの上は選手とレフェリー以外上がってはいけないという思いがあり、カメラもリングに入れず、通常のボクシング映画にはないアプローチを追求しました」とこだわりを明かしました。

長年の友人である結城監督の熱い思いに触れた尾野は「彼の熱意は伝わりましたが、目の前にいると恥ずかしくて伝えられません。結城監督と一緒に芝居をするのも、彼が演出する姿を見るのも初めてでした。真剣にボクシング、家族、作品と向き合う姿を見て感慨深く、友人としてだけでなく仕事の仲間としても得をした気分です」と述懐しました。

最後にMCから、映画のタイトル『DitO』(ディト)がフィリピンのタガログ語で「ここ=here」の意味であることにちなんで、ゲストそれぞれの「居場所」について質問がありました。

結城監督は「いまはこの映画です」と即答し、「2011年に映像制作会社KURUWA.LLCを立ち上げ、やっと初長編映画として完成させたこの映画が今の私の居場所です」と説明しました。

田辺は「私はお芝居の世界です。人生の半分以上続けていて、これ以外は考えられません。新しい自分を発見したり、失敗することもありますが、一番楽しくて落ち着く場所です」と想いを打ち明けました。

尾野は「難しい質問ですね。でも、自分が素直になれる場所としては、18歳から上京した東京、それまで育った奈良、現在の住まいである沖縄。それぞれが私にとって大切な居場所です」と述べ、それぞれの「居場所」についての思いを語りました。

さらに、映画には力強いセリフが登場することから、人生において心に残る言葉、格言について問われると、尾野は「『30歳になったら有名になれるぞ』です。知り合いの方に『30になったら仕事が来るからそれまで頑張れ』と言われ、この言葉を胸に頑張った結果、朝ドラに出演できました。諦めなくてよかったです」と語りました。

田辺は「『やらないで後悔するより、やって失敗して後悔しない』です。これは誰かにもらった言葉ではなく、ふとした時に思った言葉で、究極の選択を迫られた時にこの言葉を思い起こしています」と述べました。最後に結城監督は「映画のセリフとしても使わせてもらったマニー・パッキャオの『年齢はただの数字に過ぎない』という言葉。彼が常に言っているこの言葉に何度も助けられ、一生大事にしていきたいです」と舞台挨拶を締めくくりました。

(DitO:ディト)とはフィリピンのタガログ語で、ここ=hereの意。
日本に妻子を残し、異国の地・フィリピンで再起をはかるプロボクサー神山英次。ある日、神山の前に一人娘の桃子が現れる。再会した父と娘は衝突しながらも徐々に親子の絆を深めていく。そんな中、40歳を迎えた神山に、ラストチャンスとなる試合の話が舞い込んでくる──。
『DitO』

日本×フィリピン合作映画『DitO』(ディト)。主演・監督を務めるのは、2001年NHK連続テレビ小説「ちゅらさん」で俳優デビューし、2011年に映像制作会社KURUWA.LLC(曲輪合同会社)を設立、数多くの映画やMVを制作し近年では国内外でプロデュース作品を手掛けている結城貴史。俳優としてもディズニープラスで独占配信中の田中泯主演オリジナルドラマ「フクロウと呼ばれた男」(4/24配信開始)の主要キャストに名を連ねるなど多岐にわたって活躍。監督デビューとなる本作では、落ちぶれても前を向き奮闘する壮年ボクサーを全身全霊で体現する。娘の桃子には、話題のドラマ「お迎え渋谷くん」主演・京本大我(SixTONES)のヒロイン役で注目されるなどめざましい活躍をみせる田辺桃子。神山の妻ナツに確かな演技力であらゆる女優賞を総なめにし、NHK連続テレビ小説「虎に翼」の語り役も好評を博している尾野真千子。また現地のフィリピンキャストには、国際俳優モン・コンフィアード、パッキャオの半生を描いた伝記映画『キッド・クラフ 少年パッキャオ』に主演し一躍脚光を浴び、現在ソーシャルメディア総登録数約950万人ものフォロワーを持つブボイ・ビラール、そして、ボクシング史上初の6階級制覇達成したフィリピンの英雄、マニー・パッキャオも海外映画作品初出演として自らの生き様を投影した役柄で登場する!
異郷で、今を生きるための居場所=「DitO」を見つけていく“父娘”2人の成長と絆を描く圧巻の人間ドラマ

DitO出演:結城貴史  田辺桃子  尾野真千子 モン・コンフィアード  ブボイ・ビラール  ルー・ヴェローソ  レスリー・リナ
マニー・パッキャオ(特別出演)
監督:結城貴史
エグゼクティブプロデューサー:手塚高弘 吉村和文
共同プロデューサー:山田晴輝 相羽吉春 小野塚和馬 大澤裕一 的場義春 田島直英 丸山宏之
アソシエイトプロデューサー:ジュン・J・ロペス 中澤紀之/プロデューサー:齊藤リナ 結城貴史
脚本:倉田健次/撮影:池田圭/照明:松本竜司/録音:茂木祐介/メイク:ぺぺ・パラディニ/衣装:袴田知世枝 ウィン・アリーナス/
美術:ダン・フェルナンデス/制作担当:ノエル・デ・レオン/編集:高木聡/DIT:太田黒哲/音楽プロデューサー:大村哲也/

音楽Co.プロデューサー:稲葉豊/音楽:towada(JiLL-Decoy association)& 中村恵介
制作プロダクション:KURUWA.LLC(曲輪合同会社)/配給:マジックアワー
2024年/日本・フィリピン/カラー/シネマスコープ/5.1ch/118分  ©DitO製作委員会   www.ditofilm.com
(取材編集作成 酒井 修)