名優アンソニー・ホプキンスが、ナチスから669人の子供たちを救った“英国のシンドラー”を演じた感動作、『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』が今週6月21日(金)より全国公開となります。
本日6月19日(水)に、「news zero」の藤井貴彦キャスターが都内の高校の授業に特別講師として参加、映画に関連して未来を担う10代の若者へ向けた特別授業を開催しました。
『ONE LIFE 奇跡が繋いだ 6000 の命』 特別授業
日時:6月19日(水)
会場:東京都立西高等学校
登壇:藤井貴彦(キャスター)
参加者:東京都立西高校生徒(21 名)
この日行われた特別授業では「戦争を直接知らない私たちが考える平和の尊さ」「現代におけるメディアの役割」「いま、そしてこれからに向けて、なにができるか」という 3 つのテーマを軸に、本作を多角的に検証・分析する内容となった。
冒頭に映画の感想を生徒たちに尋ねた藤井。生徒のひとりから「ニコラスが自分のことを『普通の人』だとしきりに言っていたことが印象に残った」という声があがると「ニコラスは普アカデミー賞に 2 度輝いた世界の名優アンソニー・ホプキンス主演
平和について、メディアの在り方について考える通の人でも、行動を起こすことで大きな影響を人々に与えられることを示してくれた。そして彼はずっと、助けた 669 人のことではなく助けられなかった多くの命に囚われ後悔し続けていたけれど、それはまさに普通の人だから。普通の人間でなければ「669 人を救った!すごいだろ!」と成功にばかり意識が向いていたかもしれないけれど、ニコラスは真面目な人で、普通の感覚を持っていたからこそこんな偉業を達成することができたのかもしれない」と頷いた。
本作をすでに2度鑑賞したという藤井は、戦争を知る世代が少なくなっている現状に触れながら「戦争を知らない我々世代が今回のような映画を通して、戦争や侵攻が一般市民にどんな影響を与えるのかを知り、世界各国で紛争が起きている現実から目を背けないことが大切」と“知る”ことの重要性を熱弁。平和について生徒から「みんなで美味しいご飯を食べて“美味しいね!”と言い合えるのが平和」「家族や友達、身近な人たちと一緒にいられることが平和」だと考えるという意見が挙がると「劇中では衛生状態の悪い中、さらには親と離れる不安の中で生きる難民の子供たちの姿が描かれました。平和でないと美味しいご飯は食べられませんし、好きな人たちとも離ればなれになってしまうかもしれません。戦争や紛争によって子供たちが学校にすら通えない国がある中で、このように学校で勉強ができることは贅沢であり最高に平和。好きなところに行ける自由も平和だからこそあり得ること。次の移動先を選べる自由すらなくなるのが戦争や侵攻。家に帰って明かりが灯り、食事や風呂があり、家族がいる。戦争時だったらそんな幸せはありません。今回のような映画を観ることによってそれを感じてほしい」と述べた。
またメディアが大きな役割を果たす様子が描かれる本作にちなみ、メディアの役割についても話が及んだ。テレビや新聞ではなくネットや SNS を情報源にする昨今の傾向について藤井は「スマホで見る映像や音声はその人の傾向から勝手に選ばれて流れてくるものが多い。自分で検索して見たもの、その履歴からアルゴリズムで流れてくる類似した映像や画像が自分のメディアに対する視野を狭めていることを忘れないで欲しい。昨今、陰謀論を信用する人が多くなったのも、自分が信じている人からもたらされた情報しか信用しなくなっているからです」と警鐘を鳴らし「私たちテレビやラジオは皆さんに選択肢を提供するのが役目。正解を教えているわけではなく、様々な意見を提示しています。スマホの一画面ばかりではなく、テレビや新聞を見ることによって、自分が今まで知らなかった意見や情報を知る発見がある。若い皆さんは情報を誰よりも多く手にしているかもしれないけれど、質の高い選択肢と情報を手にしているのか?ツールに利用されるのではなく、ツールを上手く使ってほしい。それが、戦争が起こらないよう我々ができる小さな抵抗であると思っています」と呼び掛けた。
さらに生徒から「情報が多すぎて惑わされてしまうことがある」という声が上がると「時にメディアが『マスゴミ』などと揶揄されることもありますよね。テレビは政府からの意見を言わされているだけに過ぎないと言う人もいます。しかし我々メディアの役割は、事実を伝え、こんな意見もあるという選択肢を提示するだけです。私は日本テレビの報道で30年程働いてきましたが、それぞれ自浄作用を持って、そこだけは揺らぎがないように真摯に取り組んでいます。誰かに言わされて伝えるなどの緩くだらしない根性で記事を書いている人はいません。みんなにとっていい選択肢を出すという約束を果たしているのがメディアです」などと熱く語った。
そんな藤井自身が常日頃から意識しているのは「自分と異なった意見にも耳を向ける事」だという。「自分と異なった考えを持つ相手の意見を体に入れてみることも大切。自分の意見だと“点”だけれど、相手の意見を理解すると“線”になる、それを続けるとやがて“面”になり、もっと多くの意見を理解しようとすると最終的に“球”になる。相手の意見にも耳を傾けて自分の意見を深める。そのバランスが大切です」と実感を込めていた。
最後に藤井は「学生ならば 1,000 円で映画を観ることが出来ます。自分の知らなかったことを知れて意見を形作ることができるならば、ご家族は喜んで 1,000 円を出すはず。自分が観たことのないジャンルの映画に触れるのも大切です。観ない事には自分の立ち位置や平和のありがたさを考えるまでには至りません。知らないよりは知ること。この映画が大ヒットしても私にメリットはないけれど、将来あの時から平和で良かったねと言えるようにしたい。それを作るのは皆さん若い世代の方々。皆さんも歳を重ねれば誰かにアドバイスをしたり、国を動かしたり、戦争を回避したりする世代になっていきます。それを忘れないで欲しいです」と生徒たちへのエールと共に平和の尊さを説いていた。
時は 1938 年、第 2 次世界大戦直前。ナチスから逃れてきた大勢のユダヤ人難民が、プラハで住居も十分な食料もない悲惨な生活を送っているのを見たニコラス・ウィントンは、子供たちをイギリスに避難させようと、同志たちと里親探しと資金集めに奔走する。ナチスの侵攻が迫るなか、ニコラスたちは次々と子供たちを列車に乗せるが、遂に開戦の日が訪れてしまう。それから50年、ニコラスは救出できなかった子供たちのことが忘れられず、自分を責め続けていた。そんな彼に BBC から TV 番組「ザッツ・ライフ!」の収録に参加してほしいと連絡が入る。そこでニコラスを待っていたのは、胸を締め付ける再会と、思いもよらない未来だった。 |
『ONE LIFE 奇跡が繋いだ 6000 の命』作品情報
公開日 | 2024年6月21日公開予定 |
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キャスト | 監督:ジェームズ・ホーズ 出演:アンソニー・ホプキンス ジョニー・フリン レナ・オリン ロモーラ・ガライ アレックス・シャープ マルト・ケラー ジョナサン・プライス ヘレナ・ボナム=カーター |
配給 | キノフィルムズ(提供:木下グループ) |
制作国 | イギリス(2023) |
上映時間 | 109分 |
公式サイト | https://www.onelife-movie.jp/ |
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