第37回東京国際映画祭(10月28日~11月6日)は、中学生向けの映画制作ワークショップ「TIFF ティーンズ映画教室 2024」を夏休み期間中に実施することを決定した。西川美和監督が特別講師を務める。
同映画祭は「映画の未来の開拓」を重要 なテーマの一つとして掲げ、映画を「観る人、作る人を育てる」ことを目的としたユース部門の特別企画として、全国各地 でこどもたちを対象に映画鑑賞・制作ワークショップを開催してきた「一般社団法人こども映画教室」と共に、8 年目となる、中 学生向けの映画制作ワークショップ「TIFF ティーンズ映画教室 2024」を夏休み期間中に実施することが決定 した。特別講師として『すばらしき世界』『永い言い訳』などの作品で知られる西川美和監督を迎え、東京・大田区にある施設を拠点として、中学生が映画監督やプロの映画スタッフとともに本格的な映画づくりに挑戦する。 完成した作品は今年度の東京国際映画祭にてワールドプレミア上映する。
西川監督は、『ゆれる』 (06)、『ディア・ドクター』(09)、『夢売るふたり』(12)、『永い言い訳』(16)などの作品があり、佐木隆三の小説を原案として役所広司が主演の『すばらしき世界』(2021 年)は、 シカゴ国際映画祭外国語映画部門観客賞、第 76 回毎日映画コンクール監督賞などを受賞。22 年より、是枝裕和監督、諏訪敦彦監督らの立ち上げた「日本版 CNC 設立 を求める会/action4cinema」に参加している。
特別講師を務めることに以下のコメントを寄せた。「私は映画監督を職業にしていますが、自主映画を一本も撮ったことがありません。 最初にこの仕事をするようになった時からプロの現場で、プロたちの仕事の役割分担と、プロの手順でしか映画を作った経験がな いのです。ですから TIFF ティーンズ映画教室の作り方を聞いて、びっくりしました。初めて会った人とチームを作って、監督になる人 も決めず、みんなのアイデアを出し合って、シナリオもなく撮る。そんなやり方で映画が作れるんだろうか? 私にはさっぱり作り方が わかりません。だけど、作れたらすごいなと思います。自分自身の価値観も、大きく変わるんじゃないかとわくわくしています。大人の 映画人たちが誰もやっていない映画作りに、ぜひ挑戦して、楽しんでください。8 日間、お手伝いできることがあれば何でもしたいと 思います。よろしくお願いします」
■第 37 回東京国際映画祭ユース部門特別企画 「TIFF ティーンズ映画教室 2024」開催概要
中学生×映画×東京――あなたは、どんな映画をつくりますか?
「TIFF ティーンズ映画教室 2024」は、本格的な映画づくりに挑戦するワークショップです。プロの映画監督やスタッフとともに、プロット作 りから撮影、編集など映画作りのすべての過程を中学生たち主体で進めていきます。そして完成作品は、今秋開催の東京国際映画祭 のスクリーンでワールドプレミア上映!全国各地でこどもたちを対象に、映画鑑賞・制作ワークショップを開催してきた「一般社団法人こど も映画教室®」と共に、特別講師として『すばらしき世界』の西川美和監督を迎え、都内をロケ地に映画制作を行います。
開催日時(予定):活動時間については進捗によって予定が変更されることがございますのでご了承下さい
8/2(金) 9時半集合 ワークショップ 10:00~17:30 ガイダンス、お話づくりワーク
8/3(土)、5(月)、6(火)、7(水) 9 時 45 分集合 ワークショップ 10:00~17:30 お話づくりワーク、撮影
8/9(金)、10(土) 9 時 45 分集合 ワークショップ 10:00~17:30 撮影、編集
8/11(日・祝) 9 時 45 分集合 ワークショップ 10:00~19:00 編集、上映 ※(1)
会期中(10/28-11/6) ワールドプレミア上映(日時は後日発表)※(2)(3)(4)
※(1)上映会のため、最終日8月 11 日(日・祝)のみ 19 時まで
(2)完成作品と 8 日間のメインキング映像作品を上映
(3)(3)映画教室に参加する中学生はゲストとして参加
(4)同時期に開催される映画教育国際シンポジウム 2024(仮称)のゲストも鑑賞します
場所:大田区施設と東急多摩川線沿線
対象:中学生 / 定員:18 名
参加費:無料 / メイキング映像を含む DVD&文集:6,000 円
申込み:2024 年 6 月 3 日(月)~7月 15 日(月・祝)まで、映画祭公式サイト(www.tiff-jp.net)よりお申込みください。
※応募者多数の場合は抽選となります。 ※申込みは全日程参加可能な方を優先いたします。
主催:公益財団法人ユニジャパン(第 37 回東京国際映画祭実行委員会)
共催:東京都、大田区
後援:公益財団法人大田区文化振興協会
企画運営: 一般社団法人こども映画教室
お問い合わせ:「TIFF ティーンズ映画教室 2024」事務局:teens_meet_cinema@tiff-jp.net
■中学生と映画をつくるということ
映画には、正解はありません。チームのみんなが「これがいい!」と出した納得解があるだけです。このとき、①大人が手出し口出ししない、 ことで、こどもたちが否応なしに自ら考え、コミュニケーションをとり、決定していきます。そして、②本物の映画人に出会う、ことで、真摯なも のづくりや映画人の‟映画観“を体感していきます。講師やスタッフは中学生たちを見守り、応援し、認めていきます。このことは彼ら彼女ら にとって大きな自信となるでしょう。多感な中学生たちにとって、この「人とかかわらずには完成させられず」また「自分と向き合わずにはいられ なくなる」映画づくりという体験は、その人生において大きな意味を持つものになると思います。 この活動は、映画づくりというキャリア教育でもあり、また、コミュニケーション能力を培うものでもあり、メディアリテラシーでもあり、なにより人間 教育としてこどもたちの大きな成長の機会となるでしょう。(一般社団法人こども映画教室®代表 土肥悦子)