台湾ニューシネマの系譜を受け継ぐ俊英・シャオ・ヤーチュエン監督による台湾・日本合作映画『Old Fox』(英題)が、邦題を『オールド・フォックス 11歳の選択』として6月14日(金)より全国公開されることが決定し、日本版本予告と本ポスターが解禁されました。
バブル期の到来を迎えた台湾。台北郊外に暮らす11歳のリャオジエ(バイ・ルンイン)と、父(リウ・グァンティン)は、自分たちの店と家を手に入れることを夢見ながらも、不動産価格が高騰。現実の厳しさと、世の不条理を知ることになるリャオジエに声をかけてきたのは、“腹黒いキツネ”と呼ばれる地主のシャ(アキオ・チェン)。他人にやさしい父と違い、他人なんか見捨てろと言い捨てるシャ。果たしてリャオジエは、どちらの道を歩んでいくのか──。
1989年『悲情城市』でベネチア国際映画祭グランプリ、2015年『黒衣の刺客』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞し、小津安二郎への敬愛から『珈琲時光』を製作し、昨年10月には引退を発表した侯孝賢。そんな侯孝賢の助監督を務め、台湾ニューシネマの系譜を受け継ぐ俊英・シャオ・ヤーチュエンが監督を務めた本作。これまでのシャオ・ヤーチュエン監督作全てのプロデュースを侯孝賢が務めており、本作が最後のプロデュース作となります。
主演のリャオジエ役には、『Mr.Long ミスター・ロン』などで日本でも知られている日台のダブルで、台湾では神童と呼ばれる天才子役バイ・ルンイン。日本でもスマッシュヒットを記録した『1秒先の彼女』のリウ・グァンティンがW主演として父親役に扮し、慎ましやかに支え合いながら生きる父子役を演じています。
リャオジエに影響を与える“腹黒いキツネ”(オールド・フォックス)と呼ばれる地主のシャ役には、台湾の名脇役アキオ・チェン。シャの秘書役に『怪怪怪怪物!』のユージェニー・リウ。そして、門脇麦が経済的には恵まれているが空虚な日々を生きる人妻・ヤンジュンメイを演じ、初の台湾映画出演を果たしました。
昨年の東京国際映画祭でワールドプレミア上映され、2023年の第60回台北金馬映画祭では監督賞、助演男優賞(アキオ・チェン)、映画音楽賞、衣装デザイン賞の4冠を獲得しました。
以下、コメントが到着しています。
門脇麦(ヤンジュンメイ 役)
台湾映画でしか感じられない色彩や湿度、空気感がどうしたって強烈に昔から好きで、これまで沢山の台湾の作品に触れてきました。
台湾映画に出演できるなんて信じられない!と夢心地で現場に向かい、スクリーンに映る自分を観ても、やっぱり信じられない!と夢心地で、幸福すぎる時間を過ごさせていただきました。
その場にただ居さえすれば全てが成立する現場の空気、監督の言葉以上に何かが伝わる眼差し、今思い出しただけでも胸が震えるような、そんな経験をしました。
日本での公開、とても嬉しいです。1人でも多くの方にこの作品が届きますように。
シャオ・ヤーチュエン(監督)
他人を思いやることですべての社会問題が解決できると思うほど、私も単純ではありません。しかし思いやりがなければ、社会的な格差と矛盾は拡がっていくことでしょう。では現代社会に向き合い、私は父親として、思いやりが人間としての基本であることを、子供にどう説明したものでしょうか?「オールド・フォックス」このストーリーは、私が子供から十年以上も受け続けた問いが発端となっています。かつて私は両親から価値観を与えられました。しかし世界は変わっていきます。私自身にも新たな学びが必要です。それによって私は自分の子供たちに、変わっても良いもの、変えてはいけないものが何なのかを、伝えられるのではないでしょうか。
『オールド・フォックス 11歳の選択』(英題:Old Fox)
台北郊外に父と二人で暮らすリャオジエ。コツコツと倹約しながら、いつか、自分たちの家と店を手に入れることを夢見ている。ある日、リャオジエは“腹黒いキツネ”と呼ばれる地主・シャと出会う。優しくて誠実な父とは真逆で、生き抜くためには他人なんか関係ないと言い放つシャ。バブルでどんどん不動産の価格が高騰し、父子の夢が遠のいていくのを目の当たりにして、リャオジエの心は揺らぎ始める。図らずも、人生の選択を迫られたリャオジエが選び取った道とは──。
出演:バイ・ルンイン、リウ・グァンティン、アキオ・チェン、ユージェニー・リウ、門脇麦
監督:シャオ・ヤーチュエン プロデューサー:ホウ・シャオシェン、リン・イーシン、小坂史子
2023年/台湾・日本/112分/シネマスコープ/カラー/デジタル/字幕翻訳:小坂史子/原題:老狐狸
日本公開:2024年6月14日(金)新宿武蔵野館ほか全国公開
配給:東映ビデオ
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