辺⾒庸の⼩説「⽉」を原作に、脚本・監督に⽯井裕也、主演に宮沢りえ、共演にはオダギリジョー、磯村 勇⽃、⼆階堂ふみといった布陣で製作した映画『⽉』。10 ⽉ 13 ⽇まで開催中の第 28 回釜⼭国際映画祭も ⼤盛況で、いよいよ今週公開を迎える本作について、各界の著名⼈から絶賛コメントが到着しました。
国内外の映画祭上映が続々決定!
各界の著名⼈からの絶賛コメントが到着!
いよいよ今週公開を迎える映画『⽉』。第 28 回釜⼭国際映画祭 (10 ⽉ 13 ⽇まで開催中)でジソク部⾨にも選出されており、サンパウロ国際映画祭(10 ⽉ 7 ⽇)、KINOTAYO 現代⽇本映画祭 (10 ⽉ 10 ⽇)、広島映画祭(10 ⽉ 9 ⽇週)など国内外の映画祭での上映も決まっている。更に、⼀⾜先に本作を鑑賞した映画評 論家、ジャーナリスト、芸⼈、タレント、作家など、各界の著名 ⼈からコメントが寄せられており、作家であり『相模原事件裁判 傍聴記「役に⽴ちたい」と障害者ヘイトのあいだ』著者の⾬宮処凛さんは、「観る者すべてが試され、揺さぶられ、問われる覚悟の⼀本。」とコメント。匿名掲⽰板「2 ちゃんねる」開設者であり実業家の⻄村博之さんは「『⼈の命は平等』と嘯く⼈も、⾃分の⼿は汚さず、 誰かに負担を押し付ける社会。そして、⾒て⾒ぬふりをしてるのは貴⽅も⼀緒ですよね、、と、観客まで ⽴場を問われる映画。」と感想を述べている。
⾬宮処凛:作家、『相模原事件裁判傍聴記「役に⽴ちたい」と障害者ヘイトのあいだ』著者 「彼」はおそらく嗅ぎつけていたのだ、私たちの中にある「内なる優⽣思想」を。観る者すべてが試され、揺さぶられ、問われる覚悟の⼀本。
岩井志⿇⼦:作家
きれいごとの何が悪い。事実の追求や真実の究明より、きれいごとをいかに事実や真実に近づけられるか、 そこに懸命になることが⽣きることであり、そのきれいごとを信じられるのが⼈間である
佐藤幹夫:ジャーナリスト・作家
以前、「辺野古・フクシマ・やまゆり園」というタイトルの原稿を書いたことがある。いずれも戦後の⻑ きに渡って、私たちの社会は、ここにある過酷な現実を「なかったこと」にしてきた。豊かで快適な暮ら しを送るためである。
ところがある時期から、その現実が「⽬をそらすな」と叛乱を起こし始めた。津久井やまゆり園事件とい う、重度障害者施設やそこで暮らす⼈々の問題もそうである。私などのようにこの業界で50年も⽣きて きた者にとっては、今ごろになって「重度障害者が…」などと騒がれると、⽪⾁の⼀つも吐きたくなるの だが、ともあれ、まずは本作を観ていただきたいと思う。
賛否はいろいろとあるだろう。⾃分の中のどろどろしたものが引き出され、顔をそむけたくなり、つい席 を蹴って⽴ち去りたくなるかもしれない。それでも最後までここに描かれた現実と(つまりは皆さん⾃⾝ と)、向き合っていただきたいと思う。
私がぜひとも注⽬してほしいと感じたところ。俳優さんたちの「虚実」のあわいで揺れ動く、むしろ苦悶 さえ感じさせる表情(これまで、「キレイゴト」をめぐる不安や怖れがこのように演出された例を、私は 知らない。この映画は「表情」の劇ではないかとも思えた)。そして時に映し出される、重篤の障害をも つ当事者の⼈たち。彼らは⾃⾝の「存在そのもの」を訴えるような、まっすぐなまなざしをこちらに向け ていた。私は、よくこんな絵が撮れたものだと、しばし感嘆した(じつは彼らこそがこの映画の「陰の主 役たち」ではないか。そんなこともまた考えた)。
そしてもう⼀つ、監督は⽂字通り死に物狂いになって、ひとかけらでもいいから、どこかに「希望」はな いのかと苦闘しているように思えた。本作には、原作にはないいくつかの仕掛けが施されているのだが、 ⼆つだけ挙げるならば、⼀つは冒頭のシーンが⽰すように東⽇本⼤震災とまっすぐにつながっていること である。もう⼀つが、カップルを含む「三様の家族劇」としたことである。そこに重要なヒントがあるの ではないか。私はひそかにそうにらんでいるのだが、ともあれ「希望の有無」をめぐる答えは、劇場を出 た後の皆さんにゆだねられることになる。「⽉」が照らすのは、じつは皆さんや私の姿でもある。
シトウレイ:ストリートスタイルフォトグラファー/ジャーナリスト
意思疎通が図れない⼈間は⽣きる権利があるのか否か。
その答えを観る⼈に投げかける。
理性や善意、倫理や好意。
⾃分⾃⾝の価値基準が(図らずも)炙り出されてしまう作品
ダイノジ・⼤⾕:芸⼈
なんと切実な映画なのだ。
⼈間の猛々しい剥き出しの慟哭が刻まれたような映画だ。
いつもそうだ。⽉はいつも僕たち⼈間の隠しておきたいことや伏せておきたいことを照らしてきやがる。 本当は観たくなかった映画なのかもしれない。
そうか、この映画『⽉』こそが⽉そのものなんだろう。 僕に突きつけてくる。我々が加害者でないと⾔い切れるのか、と。後ろめたい⾃分を炙り出す。
きっとどうしようもなく悲しいけどどうしようもなく優しいものなんだろう、⼈間というものは。⽣きることを諦めてしまわぬように⼈間を諦めてしまわぬように。
観終わって今も祈り続ける。
観て本当によかったと思えた映画でした。
さぁ僕はどうしようかな。
それでも僕はやっぱり⾔いたいのよ、世界は素晴らしいと⼈間はきっと優しいものなんだと。
希望を捨てるなと⽉が今⽇も僕らを照らすよ。
武⽥砂鉄:ライター
あの表情、つまり、「⽣産性がないんだから」と開き直った彼の顔に、
私たちはどんな⾔葉をぶつけることができるのだろう。
⻄村博之:元2ちゃんねる管理⼈
『⼈の命は平等』と嘯く⼈も、⾃分の⼿は汚さず、誰かに負担を押し付ける社会。そして、⾒て⾒ぬふり をしてるのは貴⽅も⼀緒ですよね、、と、観客まで⽴場を問われる映画。
フィフィ:タレント
私達は障害者の気持ちに寄り添っているようで、⾒たくないものは⾒ないし、聞こえない声には⽿を傾け ない。
綺麗事ばかりで嘘つき、この世の中こそが普通じゃない…そう何度も問われて、本⼼が抉(えぐ)られて いく。
北條誠⼈:ユーロスペース⽀配⼈
私がいちばん惹かれたのはこの作品がもっている覚悟です。
決して気持ちよく観続けることのできる作品ではなく、否の声も多々でてくるくることと予想されます。 ただ観続けていくことで、役者さん、とりわけ宮沢りえさんの表情や陰影が深い撮影、思い切りのいい編 集、セリフの息づかいなどかなりの覚悟で臨まなければこれだけの作品には仕上がらなかったと思います。 ⽯井裕也監督の今の気持ちが強烈に伝わってきました。
ギャラリ-
ストーリー
“書けなくなった”元・有名作家の堂島洋子(宮沢りえ)は、彼女を“師匠”と呼ぶ夫・昌平(オダギリジョー)とともに慎ましく暮らしている。そんなある日、洋子は深い森の奥にある重度障害者施設で働き始める。施設職員の同僚には作家を目指す坪内陽子(二階堂ふみ)や、絵の好きな青年さとくん(磯村勇斗)らがいた。洋子は他の職員による入所者への心ない扱いや暴力を目の当たりにするが、それを訴えても聞き入れてはもらえない。そんな世の理不尽に誰よりも憤っているのは、さとくんであった。正義感や使命感が彼の中で怒りを伴う形で増幅してゆくなか、ついにその日がやってくる……。
映画『⽉』作品情報
公開日 | 2023年10月13日公開予定 |
---|---|
キャスト | 監督:石井裕也 原作:辺見庸 出演:宮沢りえ 磯村勇斗 長井恵里 大塚ヒロタ 笠原秀幸 板谷由夏 モロ師岡 鶴見辰吾 原日出子 高畑淳子 二階堂ふみ オダギリジョー |
配給 | スターサンズ |
制作国 | 日本(2023) |
年齢制限 | PG-12 |
上映時間 | 144分 |
公式サイト | https://tsuki-cinema.com/ |
(C)2023『月』製作委員会