2023年9月20日(水)から2023年12月11日(月)まで、国立新美術館で開催される「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」は、日本初のイヴ・サンローランの大規模回顧展です。
イヴ・サンローランは、1958年にクリスチャン・ディオールのデザイナーとしてデビューし、その後1962年に自身のブランド「イヴ・サンローラン」を設立しました。彼は2002年に引退するまでの約半世紀にわたり、世界のファッションシーンをリードしました。彼はサファリ・ルック、パンツスーツ、ピーコート、トレンチコートなど、多くのアイテムを定着させ、女性たちのファッションに革命をもたらしました。
この展覧会では、彼の21歳でのデビューから、自身のブランドを確立するまでの40年間の歴史を、12章にわたり、262点の展示品で紹介します。展示品には、ルック110体のほかに、アクセサリーやドローイング、写真なども含まれています。
さらに、今まで一般の観客に公開されていなかった作品や、新たに入手された作品も展示されます。また、あまり知られていないイヴ・サンローランの舞台芸術における作品やスケッチも紹介される予定です。この展覧会は、イヴ・サンローランの卓越したファッションの世界に深く入り込む絶好の機会となることでしょう。
イヴ・サンローランは生前に3回来日しました。最初は、1963年4月に自身のブランドを立ち上げたばかりの頃に、東京の帝国ホテルで最新のオートクチュールコレクションを発表しました。その後、彼は東洋レーヨン株式会社(現在の「東レ」)と契約し、プレタポルテの販売を日本で開始しました。この取り組みは、1966年にパリの左岸にオープンした「イヴ・サンローラン リヴ・ゴーシュ」の店舗に先駆けて行われました。また、彼とパートナーのピエール・ベルジェは、西武百貨店と提携し、オートクチュールのサロンも日本で開設し、ビジネスを拡大しました。
1960年代後半から70年代にかけて、イヴ・サンローランのスタイルが日本でも受け入れられ、パンタロンブームなどのファッショントレンドを牽引しました。彼は京都と奈良を訪れたことがきっかけで、日本に魅了され、伝統工芸品を自身の美術コレクションとして収集しました。
1975年には、日本でコレクションを発表するために再び来日し、1990年にはセゾン美術館で日本で初の個展が開催された際にも日本を訪れました。そして、今回の展覧会は1990年以来、33年ぶりの2回目の来日となります。これまでイヴ・サンローランの作品に触れたことのない幅広い世代に、彼が提案したスタイルの普遍性を感じていただけることでしょう。
イヴ・サンローランの創造的な世界を12の章で表現しています。
序章、つまり第0章では、イヴ・サンローランの幼少期をオランで過ごしたエピソードや、若いころの創作活動、そしてディオール・ファッション・メゾンでの経験に焦点を当てています。これにより、彼のルーツや創造的な源泉に迫ります。
第1章では、1962年にイヴ・サンローランが初めて自身の名前を冠したオートクチュールコレクションを発表した瞬間に焦点を当てています。この章では、ファッション・メゾンの歴史だけでなく、彼自身がモデルの創造にどれだけの情熱を傾けたかを深く理解できます。
第2章は、タキシード、サファリジャケット、ジャンプスーツなど、イヴ・サンローランのメゾンを象徴するアイコニックな作品を紹介しています。ここでは、彼のスタイルがどのようなものであり、どのモデルが時代を超越しているかを考察しています。
第3章は、有名なレサージュ・メゾンなどで使用されるフェザーアートや刺繍の芸術を強調しています。この章では、彼の作品がどれほどの芸術性を持っているかを際立たせています。
第4章では、イヴ・サンローランの「想像上の旅」がテーマとして採り上げられています。スペイン、ロシア、アフリカ、モロッコ、そして日本やアジアを含む多彩な文化が、イヴ・サンローランの独自の解釈で表現されたさまざまなファッションモデルが展示されています。
第5章は、古代から現代にかけてのファッションの歴史をイヴ・サンローランの作品を通じてたどる内容です。また、この章では1977年に制作された聖母と花嫁のモデルが向かい合わせに展示されており、イヴ・サンローランのクリエーションにおけるスピリチュアルな側面が強調されています。
第6章は、イヴ・サンローランのクリエーションにおいて極めて重要なジュエリーが、まるで博物陳列室のように展示されています。この展示は、サンローラン・スタイルの進化や永続性を時系列で鑑賞することができます。
第7章と第8章では、ファッション以外のクリエーションに焦点が当てられており、映画、演劇、舞台芸術、そしてミュージックホールにまつわる創作物が展示されています。
第9章は、ゴッホ、ブラック、ピカソ、マティス、ボナール、そしてモンドリアンなど、イヴ・サンローランに多大なインスピレーションを与えた芸術家たちへのオマージュが含まれています。
第10章では、オートクチュールのファッションショーにおけるフィナーレで登場するウエディングドレスが展示されています。
第11章は、イヴ・サンローランとピエール・ベルジェの日本とのつながりに焦点が当てられ、本展示の中で最も感動的な展示の一つとなっています。
開催概要
開催日:2023年9月20日(水)~2023年12月11日(月)
時間:10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日休館
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
入館料:一般 2,300円(2,100円)、大学生 1,500円(1,300円)、高校生 900円(700円)
※()内は前売料金
※中学生以下(学生証または年齢の分かるものが必要)は入場無料
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料
※2023年10月7日(土)〜9日(月・祝)は高校生無料観覧日(要学生証提示)
※事前予約不要。