映画

映画『月』 実際の事件に震える、辺見庸の原作が宮沢りえ主演で蘇る!

【イントロダクション】

いま、世に問うべき大問題作が放たれる。それはこの人間が生きる市民社会において、禁忌(タブー)とされる領域の奥深くへと大胆に踏み込むものだ。しかしそこで剥き出しになる極限的な光景は、まぎれもなく、われわれ人間の姿である。そのおぞましく矛盾に満ちた真実を、排除するな、直視せよ、とこの映画は迫り、欺瞞や虚飾をぎりぎりまで削いでいくような思考の彼方へと連れて行く。もはや社会派だとか、ヒューマンドラマだとか、有り体の言葉では片づけられない。映画を観る者は一切の綺麗事から遠く離れた、人間存在と社会の在り方にまつわる本質的な問いを、重い衝撃と共に突きつけられるだろう。

原作は、実際の障害者殺傷事件に着想を得て、2017年に発表された辺見庸の小説『月』。事件を起こした個人を裁くのではなく、事件を生み出した社会的背景から人間存在の奥底に向かわねばならないと感じたという著者は、〈語られたくない事実〉の内部に潜ることに独自のアプローチと破格の形式で挑戦した。

監督は、石井裕也。『川の底からこんにちは』や『舟を編む』などで早くから多大な評価を受けた彼は、コロナ禍を生きる親子を描いた『茜色に焼かれる』、新作『愛にイナズマ』など、常に新しい境地へ果敢に挑み続ける若き日本映画界のエースだ。十代の頃から辺見庸の作品に魅せられてきたという彼は、原作を独自に再構成し、渾身のパワーと生々しい血肉の通った破格の表現としてスクリーンに叩きつける。

この度、場面写真が解禁となりました。7点の場面写真。

【ギャラリー】

【ストーリー】

太陽が見えないほど、深い森の奥にある重度障害者施設「三日月園」。ここで新しく働くことになった堂島洋子は元・有名作家だ。東日本大震災を題材にしたデビュー作の小説は世間にも評価された。だがそれ以来、新しい作品を書いていない。彼女を「師匠」と呼ぶ夫の昌平は人形アニメーション作家だが、その仕事で収入があるわけではない。経済的にはきつい状況だが、それでも互いへの愛と信頼にあふれた二人は慎ましく暮らしを営んでいる。

施設職員の同僚には作家を目指す坪内陽子や、絵の好きな青年さとくんらがいた。洋子は昌平ともども、妹や弟のように年齢の離れた彼らと親しくなる。そしてもうひとつの大切な出会いがあった。洋子と生年月日が一緒の入所者、“きーちゃん”だ。光の届かない部屋で、ベッドに横たわったまま動かない“きーちゃん”のことを、洋子はどこか他人に思えず親身になっていく。

そんな折、洋子の妊娠が判明した。高齢出産になることもあり、彼女は産むという選択にひとり不安を覚える。

施設の仕事にはだんだん慣れてきたものの、しかしこの職場は決して楽園ではない。洋子は他の職員による入所者への心ない扱いや暴力、虐待を目の当たりにする。だが施設の園長は「そんな職員がここにいるわけない」と惚けるばかり。障害者たちの人間らしい生活を支援するはずのこの場所で、不都合な現実の隠蔽がまかり通っているのか。

そんな世の理不尽に誰よりも憤っているのは、さとくんだ。

彼の中で増幅する正義感や使命感が、やがて怒りを伴う形で徐々に頭をもたげていく。特に、誰も入ってはいけないと言われている“高城さん”の入所部屋――その扉を開けてしまった時、さとくんの中で何かが一線を超えてしまう。

「やっと決心がつきました。頑張ります。この国のためです。意味のないものは僕が片づけます」

そして、その日はついにやってくる。――。

映画『月』

公式HP:
tsuki-cinema.com

公式Twitter:
@tsuki_movie

宮沢りえ
磯村勇斗
長井恵里  大塚ヒロタ  笠原秀幸
板谷由夏  モロ師岡  鶴見辰吾  原日出子 / 高畑淳子
二階堂ふみ / オダギリジョー

監督・脚本:石井裕也
原作:辺見庸『月』(角川文庫刊) 音楽:岩代太郎

企画・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
製作:伊達百合 竹内力 プロデューサー:長井龍  永井拓郎
アソシエイトプロデューサー:堀慎太郎  行実良
撮影:鎌苅洋一 照明:長田達也 録音:高須賀健吾 美術:原田満生 美術プロデューサー:堀明元紀  装飾:石上淳一 衣装:宮本まさ江 ヘアメイク:豊川京子 千葉友子(宮沢りえ) 特殊メイク・スーパーバイザー:江川悦子 編集:早野亮 VFXプロデューサー:赤羽智史 音響効果:柴崎憲治 特機:石塚新 助監督:成瀬朋一 制作担当:高明 キャスティング:田端利江
制作プロダクション:スターサンズ 制作協力:RIKIプロジェクト 配給:スターサンズ
(2023年/日本/144分/カラー/シネスコ/5.1ch)©2023『⽉』製作委員会

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