『Cloud クラウド』第29回釜山国際映画祭公式会見&Q&A
日付:10月3日(木)
会場:Busan Cinema Center Haneulyeon Theater
登壇:黒沢清監督
黒沢清監督が、主演に菅田将暉を迎えた映画『Cloud クラウド』が全国公開中です。
本作は、ネット社会に拡がる見えない悪意と隣り合わせの“いま”ここにある恐さを描くサスペンス・スリラー。転売で稼ぐ主人公・吉井良介を菅田将暉、吉井の謎多き恋人・秋子役を古川琴音、吉井に雇われたバイト青年・佐野役を奥平大兼、ネットカフェで生活する男・三宅役を岡山天音、吉井が働く工場の社長・滝本役を荒川良々、そして吉井を転売業に誘う先輩・村岡役を窪田正孝が演じている。
この度、韓国・釜山で開催中の「第29回釜山国際映画祭」(開催期間10/2(水)~10/11(金))にて<アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞>を受賞した黒沢清が、映画祭公式記者会見と、公式上映に出席しました。
10月2日(水)に開幕した第29回釜山国際映画祭でその年のアジア映画産業に大きく貢献した人物を表彰する「アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した黒沢清監督が映画祭の公式記者会見に登壇。
釜山国際映画祭の印象を問われた黒沢監督は、「釜山映画祭には何度も来ていますが、今回は特別でした。名誉ある賞をいただいて、華やかなオープニングセレモニーに参加して…あんな華やかな場に参加出来たのは初めてで、あんなに長いレッドカーペットを歩いたのも生まれて初めてです。本当に楽しい体験でした。なにより昨日夜のレセプションパーティーの場で、いろいろな国の友人たちと会うことができました。フランスの友人、カナダの友人、香港の友人、もちろん日本の友人も。この釜山映画祭に世界の映画の縮図があるんだなと強く感じています。」と回答。
続いて、「世界で活躍する日本人監督、黒沢清…是枝裕和…河瀬直美…など、イニシャルがKの方が多いですね。黒沢監督が思う才能があると思う若手監督はいらっしゃいますか」と問われた黒沢監督は、「イニシャルがKなら北野武監督もいます」と返答。黒沢監督に指摘された記者は「大事な人を忘れていた!」といわんばかりに爆笑。その後、黒沢監督が「才能ある若い方はたくさん知っています。一番親しい、若手とはもう言えないかもしれませんが、一番有名なのは濱口竜介だと思います。でも彼は意地のように僕とは違うことをしますから(笑)。それであれだけすばらしい作品を撮っているんで、僕が濱口に対してなにかいうことはありません。えらいところに行ってしまったなという想いがあって、先へ先へと突き進んでくれというのが第一の僕のエールですね。たまにはジャンル映画を撮れ、これが2つ目です(笑)。」と回答。さらに、オープニングセレモニーで、ポン・ジュノ監督からメッセージがあったことについて感想を問われ、「感激しました。ポン・ジュノ監督は昔から何度も会っていて、韓国の友人だと思ってきました。いまでは世界的な巨匠ですから。はるか雲の上の存在です。僕のことに時間を割いてコメントしてくれたんだ、というだけで感激しました。まだ友達でいてくれたんだと(笑)。」と黒沢監督らしい回答で会場を和ませた。
またその日の夜、「ガラ・プレゼンテーション」部門の公式上映が行われ、黒沢監督の新作をいち早くみようと駆けつけた若い映画ファンが集まり会場は満席。冒頭のインビテーションに登壇した黒沢監督は、大きな拍手で迎えられた。
上映後Q&Aでは「菅田将暉さん演じる吉井が、善人でも悪人でもない人物から、悪魔に魅入られ、悪の道を選ぶことになる人物へ変化していく様子が非常に興味深かったです。監督はどのような演出をされたのでしょうか?」と韓国でも人気のある菅田将暉に関する質問がおよぶと「本当にありがとうございます。僕もまさに同じように思ったんです。菅田将暉さんが、すばらしい感情の変化を表現してくれて。ここまでやっていただけると予想していなかったのです。本当にすごく難しい役で、180度人間が変わっていく。どんどん変化していくんです。それの表現を飛躍しながら、観ている人にわかりやすく演じきる、これは菅田将暉さんの才能によるものだと思っています。僕ももっとも感心した部分だったので、それを指摘くれてほんとうに嬉しいです」と返答。
つづけて、「僕は心、感情の流れについては説明しましたが、演技の指導はしていないんです。菅田さんに委ねました。さらに、ラストシーンはかなり前半に撮影したので、それがまたすごいなと。大胆な感情の変化を無理なく演じてみせる。そのシーンがどこにくるかを計算して演じている。100%菅田さんの力です。僕は細かいことはいっていません。」と、菅田を称え、作品の中で描かれる菅田が演じる吉井の細かな感情の揺れを理解してくれたことを喜んだ。最後の挨拶を求められると「本当に有意義なQ&Aでした。釜山映画祭のお客さんは質問のレベルは高い。Q&Aを通して僕自身も作品への理解が深まりました。本当に嬉しい時間でした」と締めくくりました。
今後の映画祭での予定
また、開催期間中以下のスケジュールで記者会見&上映を予定しております。
・10/5(土)上映2回目 ※上映後Q&Aあり @LOTTE CINEMA Centum City6
・10/6(日)マスタークラス
第81回ヴェネチア国際映画祭で観客を熱狂の渦に巻き込んだワールドプレミアにつづき、第49回トロント国際映画祭での北米プレミア、そしてアジア最大級の映画祭・釜山国際映画祭などへの出品が続々決まり、第97回米国アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品にも選ばれ、ますます盛り上がりをみせる映画『Cloud クラウド』。
本作は、世界中がネットでつながる“いま”しのびよる日常と隣り合わせの恐さを描くサスペンス・スリラー。転売で稼ぐ主人公・吉井良介を菅田将暉、吉井の謎多き恋人・秋子役を古川琴音、吉井に雇われたバイト青年・佐野役を奥平大兼、ネットカフェで生活する男・三宅役を岡山天音、吉井が働く工場の社長・滝本役を荒川良々、そして吉井を転売業に誘う先輩・村岡役を窪田正孝が演じている。
物語 吉井良介(菅田将暉)は、町工場に勤めながら“ラーテル”というハンドルネームを使い転売で日銭を稼いでいた。医療機器、バッグにフィギュア……売れるものなら何でもいい。安く仕入れて、高く売る、ただそれだけのこと。転売の仕事を教わった高専の先輩・村岡(窪田正孝)からの“デカい”儲け話にも耳を傾けず、真面目にコツコツと悪事を働いていく。吉井にとって、増えていく預金残高だけが信じられる存在だった。 そんな折、勤務先の社長・滝本(荒川良々)から管理職への昇進を打診された吉井は、「3年も働いたんだ。もう十分だろう」と固辞し、と、その足で辞職。郊外の湖畔に事務所兼自宅を借り、恋人・秋子(古川琴音)との新しい生活をスタートする。地元の若者・佐野(奥平大兼)を雇い、転売業が軌道に乗ってきた矢先、吉井の周りで不審な出来事が重なり始める。徘徊する怪しげな車、割られた窓ガラス、付きまとう影、インターネット上の悪意――。負のスパイラルによって増長された憎悪はやがて実体を獲得し、狂気を宿した不特定多数の集団へと変貌。その標的となった吉井の「日常」は急速に破壊されていく……。 |
<映画『Cloud クラウド』作品概要>
無自覚な行動でネット社会に憎悪をばらまいた主人公・吉井は、知らない間に恨みを買い、匿名の集団による“狩りゲーム”の標的に。吉井の日常は急速に破壊されていく……。菅田将暉、古川琴音、奥平大兼、岡山天音、荒川良々、窪田正孝ら豪華俳優陣が共演!見えない悪意と隣り合わせの恐怖を描く今年最大の注目作。
映画『Cloud クラウド』
監督・脚本:黒沢 清
主演:菅田将暉
出演:古川琴音 奥平大兼 岡山天音 荒川良々 窪田正孝
赤堀雅秋 吉岡睦雄 三河悠冴 山田真歩 矢柴俊博 森下能幸 千葉哲也 松重豊
製作幹事:日活 東京テアトル
配給:東京テアトル 日活
©2024「Cloud」製作委員会
公式X/Instagram @cloudmovie2024
公式ハッシュタグ #映画クラウド