LINEヤフー株式会社(以下、LINEヤフー)は、東日本大震災から14年となる2025年3月11日に「3.11 防災花火」を実施しました。「3.11 防災花火」は、東日本大震災の被災者追悼とともに、震災を風化させずに未来に向けた防災に繋げていきたいという想いを込め、3月11日19時に明治神宮外苑・東京都立駒場高等学校・川崎市の多摩川河川敷の3箇所の「避難場所」から合計約500発の花火を打ち上げました。
明治神宮外苑会場では、LINEヤフー執行役員 マーケティング統括本部長である永田佑子や防災の専門家である国立研究開発法人防災科学技術研究所 総合防災情報センター長 臼田裕一郎氏、東京都立駒場高等学校 統括校長 小澤哲郎氏と生徒4名が登壇。さらにタレントのゆうちゃみさんをゲストに迎え、臼田裕一郎氏と防災について学ぶトークセッションを実施し、その後約220発の花火が打ち上げられました。
また同時間に、東京都立駒場高等学校では約75発の花火が打ち上げられ、川崎市の多摩川河川敷では、地元の小学生42名を招待し、防災知識の啓発とともに約200発の花火が打ち上げられました。
本イベントレポートでは、「避難場所マーク」モチーフのオリジナル花火などを含む明治神宮外苑会場で打ち上げられた約220発の花火や、ゆうちゃみさんが登壇し、防災に関するクイズで「避難場所」についての理解を深めたトークセッションなど、当日のイベントの様子をご紹介します。
<LINEヤフーの執行役員や防災専門家、地域関係者などが登壇>
イベント冒頭では、LINEヤフー執行役員 マーケティング統括本部長である永田佑子が登壇し、今回の企画の背景について「震災から14年が経過し、徐々に風化が進むなか、新たな取り組みを行うことで、改めて東北に思いを馳せながら、未来の防災について家族や大事な方とお話しする機会を作りたいと考え「3.11 防災花火」を実施することにいたしました。防災花火は、花火が綺麗に見える距離と、避難場所の設置間隔が同じ約2キロ以内であることから企画しました。花火が見えるその場所に避難場所があると気付いていただくきっかけになればと考えています。」と語り、LINEヤフーの防災や災害支援に関する取り組みについて言及しました。また、「今後も一人でも多くの方に、ご自身や、大切な人を守る避難場所を知っていただきたいと考えております。」と展望を語りました。
また、東京都立駒場高等学校 統括校長の小澤哲郎氏も登壇。小澤氏は目黒区にある東京都立駒場高等学校で防災教育を考える立場から、「東日本大震災のときにも本校をはじめとして多くの学校に一次避難の方がいらっしゃいました。生徒の安全とともに、学校を支えていただいている地域のみなさまの避難場所として活用してもらうことが重要です。今回の防災花火は、避難場所を花火で視覚的に理解してもうらう、というユニークさに賛同しました。」と避難場所の意義と大切さについて語りました。
また、本イベントに後援いただいている目黒区長の青木英二氏、東京都総務局総合防災部よりコメントもいただきました。
<目黒区長 青木英二氏 コメント>
はじめに、東日本大震災の被災者の皆様に心より哀悼の意を表しますとともに、震災の記憶を風化させず、未来に向けた防災意識を高めるための取り組みとして、このイベントが開催されることを心から歓迎いたします。
東日本大震災から14年を迎える3月11日に開催される「3.11 防災花火」において、花火会場のひとつである都立駒場高校が目黒区の地域避難所としての役割を果たすことから、目黒区として後援をさせていただくこととなりました。
このイベントを通して、多くの皆様が防災意識を高め、災害時に迅速かつ適切に行動できるようになることを願っております。目黒区としても、「安全で安心に暮らせるまち めぐろ」を目指しまして、引き続き、防災対策に力を入れて取り組んでまいります。
<東京都総務局総合防災部 コメント>
東京都としても、防災に関するさまざまな施策に取り組んでまいりました。
多くの方々が『参加したい』と思えるような取り組みが進められることは、大変意義深いことだと感じております。
この施策を通じて、まずは身近にできることから、一人ひとりの防災行動・防災意識が向上することを願っております。
本イベントを通じて、多くの方々に防災への理解が深まり、それが広く発信されることを期待しております。
<ゲストのゆうちゃみさんが防災クイズに挑戦!>
花火の打ち上げ前には、最近防災意識を高めているタレントのゆうちゃみさんをゲストに迎え、防災について学ぶトークセッションを実施。国立研究開発法人防災科学技術研究所 総合防災情報センター長 臼田 裕一郎氏が解説者となり、防災に関するクイズに挑戦しました。ゆうちゃみさんは、「みなさんと防災について知りたいと思って来ました。私は最近、家族が好きなカップラーメンや甘いものを少し多めに買っておく、防寒具や飲料水などの備えをしています。」と参加への意気込みを語りました。
クイズでは、避難所と避難場所の違い、災害発生時に避難する際の正しい行動などを出題。ゆうちゃみさんは「「避難場所」の説明として、正しいものをすべて選んでください。」という問題に対して、「避難場所は、災害発生後に家が壊れてしまった人が一時的に行く場所だと思うので、Bの災害発生後に避難生活を送る場所!」と回答。正解は“避難場所は、災害発生時に一時的に身を守るために避難する場所”となり、ゆうちゃみさんの避難場所への理解は合っていたものの、少し異なる回答に。避難場所は、災害が起こっている最中に避難する場所であり、避難生活を送る”避難所”とは異なるものであるという臼田さんの解説に対して「一時的にということだけ知っていて、あやふやに覚えてしまっていました。」と驚きを表していました。
続いての「避難場所」を調べる時に、気をつけるべきことはなにか?という問題では、「私も家族で、もしものときの避難場所を決めているので、Bだと思います。」とご自身の経験をもとに回答。解説者の臼田さんからは「A~Cすべて正解です。自宅だけで被害を受けるわけではないので、学校や職場から近い避難場所も調べることや、避難場所が対応している災害の種類を確認することも重要です。」と伝えました。この解説に対してゆうちゃみさんは「家族との話し合いだけでなく、自分の職場と近いところも調べておくのは大事ですね。」と今後の防災対策について考えを深めました。
他にも避難時の行動や、災害時に一時的に避難する指定緊急避難場所の数についてなどが出題され、ゆうちゃみさんの結果は4問中2問正解となり、防災に関する知識の深さを披露。「家族を守るために、年齢関係なく知っておくべき情報だと思う。」とコメントしました。
クイズ終了後に登壇した駒場高等学校の生徒4名は「僕も、季節や家族構成に応じて必要な防災対策は変わるので、定期的に防災グッズの点検をしています。」「3.11の震災後に、非常食もゴミが出にくいように工夫されていたと調べて知りました。」など、学校やSNSなどで学んでいる防災に関する知識を伝え、ゆうちゃみさんから「私が知らない情報も知っているので、もっと詳しく教えてほしい。」とお互いの防災意識を高め合っていました。
<未来の防災行動に向けて、オリジナル花火含む約220発の花火を打ち上げ>
明治神宮外苑、東京都立駒場高等学校、川崎市の多摩川河川敷の3箇所で花火の打ち上げを実施しました。花火の打ち上げは明治神宮外苑会場にいるゆうちゃみさんがステージ上で打ち上げボタンを押す大役を担い、カウントダウンの後に、3会場同時に打ち上げられました。
明治神宮外苑会場では「避難場所マーク」をモチーフにデザインしたオリジナル花火の他、様々な色や形の花火が約8分間で合計220発打ち上がりました。
<ゆうちゃみさんによる花火打ち上げ後のアフタートークも>
花火の打ち上げ後には、ゆうちゃみさんが再度登壇しアフタートークを実施しました。
ゆうちゃみさんは「この花火がきっかけになって避難場所を調べてくれたり、身近な人と防災の話をする機会が増えたらいいなと思いました。私も家に帰って、今日の話を家族と話したいと思います。」と語り、花火を通じて避難場所の理解を深める本取り組みについての重要性を改めて実感していました。
<本企画の実施背景>
2011年に発生した東日本大震災以降も、日本ではさまざまな大規模災害が発生し、2024年8月には南海トラフ地震臨時情報が発表されるなど、依然として大規模災害の可能性とその備えの重要性が謳われています。
LINEヤフーが実施した「避難場所の理解度に関する調査」では、「災害発生を気にかけている人」は約9割と、ほとんどの人が災害を気にかけている一方で、実際に災害が起きた際の一次避難先である「避難場所」の正確な場所を把握している人は約3割しかいないことがわかりました。また、「避難所」と「避難場所」の違いを知らない人は約7割と、避難場所についての理解がまだ低いという結果も見られました。
また、元来、日本の花火は追悼や鎮魂に由来し、今でも各地で追悼と復興の意をこめた花火が打ち上げられています。「3.11 防災花火」は東日本大震災の被災者追悼とともに、「避難場所を知る」という未来の防災へと繋げていく取り組みです。国立研究開発法人防災科学技術研究所総合防災情報センター長臼田 裕一郎氏によると、避難場所は広域防災拠点整備の観点で、約2kmの距離を目安に設定されていることが多く、加えて、花火師の渕田氏によると、花火はその大きさや観覧場所の環境にもよりますが、約2km以内の距離において楽しむことができるということです。これらの情報から「避難場所までの設置距離」と「花火が綺麗に見える距離」の目安が近いことに着目し、追悼の意を込めて花火を打ち上げるとともに、その花火が“避難場所を知るきっかけ”になればと考え、「3.11 防災花火」を実施するに至りました。
