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金子雅和監督『光る川』第45回ポルト国際映画祭 最優秀作品賞受賞

本作は、『アルビノの木』『リング・ワンダリング』など国内のみならず海外映画祭でも多数受賞の異才・金子雅和監督の最新作。金子は、川や山といった圧倒的なロケーションと民俗学・美術等に裏打ちされた世界観により、現代人が忘れかけている自然への畏怖や人間の根源にある生命力を描き出す作風で国内外から注目を集めている。

この度、2月28日から3月9日まで開催の第45回ポルト国際映画祭のコンペティションに選出されていましたが、オリエントエクスプレス部門 最優秀作品賞を受賞しました。

ポルト国際映画祭は、ポルトガル第⼆の都市であり世界遺産の街・ポルトで毎年開催される国際映画祭で、1981 年創設。シッチェス・カタロニア国際映画祭、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭と共に、世界三⼤ファンタスティック映画祭と称されている。第 45 回となる今年は世界71カ国から⻑編・短編あわせ1800作品のエントリーがあり、その中から厳選された約100作品が2⽉28⽇〜3⽉9⽇の映画祭期間中、上映。『光る川』が選出されたファンタジー映画コンペティション部⾨は、同映画祭のメインコンペであり、過去のグランプリ受賞監督はデヴィッド・クローネンバーグ、ピーター・ジャクソン、ギレルモ・デル・トロ、ダニー・ボイル、デヴィッド・フィンチャー、ウォシャウスキー兄弟、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥなど世界の名だたる巨匠が名を連ねている。

今回のオリエントエクスプレス部門は、同映画祭のファンタジー長編映画部門、および監督週間部門に選出されている作品の中からアジア映画の最優秀作品を競うコンペティションで、『あのコはだぁれ?』(清水崇監督)、『ドールハウス』(矢口史靖監督)、『THE KILLER GOLDFISH』(堤幸彦監督)など邦画や、台湾、マレーシア、中国、シンガポール、フィリピンの計16作品で賞が競われ、『光る川』が最優秀作品賞に選ばれた。本作は昨年11月に行われた第62回ヒホン国際映画祭でのユース審査員最優秀長編映画賞に続く受賞となる。
『光る川』第45回ポルト国際映画祭上映後、観客との交流の様⼦
『光る川』第45回ポルト国際映画祭右︓映画祭ディレクターで全作品の選考を担当
したベアトリス・パシェコ・ペレイラ⽒と⾦⼦監督

金子雅和監督コメント

「川を中心とした美しい街・ポルトで、川を舞台にした日本映画『光る川』が上映されたことにまずは大きなご縁を感じましたし、一種の「巡礼の旅」とも言える映画内容が、キリスト教三大聖地のひとつサンティアゴ・デ・コンポステーラへ至る巡礼路にあるポルトの皆さまに、しっかりと受容されている手応えを感じました。結果、本映画祭に選出されたアジア映画の最高賞、ジャンル映画ではないこの作品に最も相応しい賞を授けて頂き、大変光栄です」と喜びを語っている。
『光る川』第45回ポルト国際映画祭

本作では無垢な少年の眼差しを通し、現代化への分岐点となる高度経済成長期、そしてさらに昔、まだ人が自然への畏怖を持っていた時代が交錯して描かれる。少年が目撃する里の娘と木地屋の青年の関係性には、支配的な社会制度から解き放たれた世界へ向かおうともがく様が描写され、疲弊する現代人への原点回帰的なメッセージが秘められている。
物語の根幹を支える女性・お葉を演じるのはNETFLIX『シティーハンター』くるみ役で注目を集めた華村あすか。お葉との悲恋の相手・朔にNHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」でも話題の葵揚。物語の眼差しとなる少年・ユウチャとお葉の弟・枝郎を子役の有山実俊が一人二役で演じている。また、足立智充、山田キヌヲ、堀部圭亮、根岸季衣、渡辺哲といったベテラン、そして『リング・ワンダリング』に続く出演となる安田顕まで、多彩な顔ぶれが揃った。
深く引き込まれそうな水辺、近寄りがたさすら感じさせる洞窟や滝、悠久の時を刻む山々の情景など、CG一切なしの神秘的な自然が物語を彩る大きな要素となっている。音楽は、細田守監督作品を手掛けてきた音楽家・高木正勝が書き下ろし、繊細に演奏している。物語
CG一切なしの圧倒的なロケーションの中で紡がれる伝承と解放の物語
高度経済成長の始まった1958年。
大きな川の上流、山間の集落で暮らす少年ユウチャ。父は林業に従事し、母は病に臥せていて、老いた祖母と暮らしている。まだ自然豊かな土地ではあるが、森林伐採の影響もあるのか、家族は年々深刻化していく台風による洪水の被害に脅かされている。
夏休みの終わり、集落に紙芝居屋がやってきて子どもたちを集める。その演目は、土地にずっと伝わる里の娘・お葉と山の民である木地屋の青年・朔の悲恋。叶わぬ想いに打ちひしがれたお葉は山奥の淵に入水、それからというもの彼女の涙が溢れかえるように数十年に一度、恐ろしい洪水が起きるという。紙芝居の物語との不思議なシンクロを体験したユウチャは、現実でも家族を脅かす洪水を防ぎ、さらには哀しみに囚われたままのお葉の魂を解放したいと願い、古くからの言い伝えに従って川をさかのぼり、山奥の淵へ向かう・・・。『光る川』

華村あすか 葵揚
有山実俊 / 足立智充 山田キヌヲ
髙橋雄祐 松岡龍平 石川紗世 平沼誠士 星野富一
堀部圭亮 根岸季衣 渡辺 哲
安田 顕
脚本・監督:金子雅和
音楽:高木正勝 共同脚本:吉村元希 美術監督:部谷京子 撮影:山田達也 照明:玉川直人 音響:黄 永昌
スタイリスト:野口 吉仁 ヘアメイク:鎌田英子 山下奈巳 助監督:土屋 圭 カラーグレーディング:星子駿光 OPアニメーション:高橋昂也

原作:松田悠八(「長良川 スタンドバイミー一九五〇」より) エグゼクティブ・プロデューサー:中谷克彦 酒井興子
企画・プロデュース:森岡道夫 福原まゆみ プロデューサー:松本光司 片山武志 製作:長良川スタンドバイミーの会
制作プロダクション:プロジェクト ドーン 配給:カルチュア・パブリッシャーズ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
【2024年/日本/カラー/1.85:1/5.1ch /DCP/108分】
(C)長良川スタンドバイミーの会