アート イベント

第16回伊丹十三賞贈呈式

女優・のん(31)は、6日に都内で開催された「第16回伊丹十三賞贈呈式」に出席し、受賞の喜びを語った。彼女は、「自分のやりたいことを貫き通す勇気を与えてくれる、特別な賞をいただいた」と感動を示した。選考委員の平松洋子氏は、のんの本名である「能年玲奈さん」と呼びかけ、彼女の創造性が、映画監督や作家、デザイナーとしても知られる伊丹十三さんに通じる部分があると高く評価した。

NHK連続テレビ小説「あまちゃん」(2013年)で共演した宮本信子(79)は、贈呈式には欠席したもののビデオメッセージで参加。彼女は、のんが困難な時期を乗り越えたことを称賛し、「長く厳しい道のりを耐え抜き、強く成長した」と述べた。

のんは、2016年7月に芸名を「のん」に改名した際のことを振り返り、「自分を信じることが大切だった。自分の持っているものを失わないようにしたいという強い思いがあった」と当時の心境を語った。さらに、「妥協せず、自分がやりたかった表現を積み重ねてきたことが、今につながっている」と感慨深く述べた。

贈呈式では、選考委員の平松洋子氏がスピーチを行い、のんに対する感謝と称賛の言葉を述べた。平松氏は、のんがヒロインを務めたNHK連続テレビ小説『あまちゃん』について触れ、「リアルタイムで一度も見逃したことがない」と明かし、会場を和ませた。その上で、「『あまちゃん』から約10年が経った今も、のんさんが放つ輝きは変わっていない。それはまさに奇跡のようです」と高く評価。

さらに、平松氏はのんと映画監督・伊丹十三の共通点にも言及。「伊丹さんが多才であり、困難を恐れない姿勢が、のんさんと重なります」と述べ、両者のクリエイティブな精神と挑戦をたたえた。

 贈呈式の後半、選考委員の周防正行氏から賞状が、中村好文氏から副賞100万円がのんに手渡されました。のんは「素晴らしい賞をいただき、心から嬉しい気持ちでいっぱいです」と感謝を表明。自身のこれまでの活動について、「無我夢中で『自分の思いを貫き通すぞ』という気持ちでやってきました。自信はある方だと思っていましたが、それでも表現については迷い悩むことがあります」と自身の葛藤を明かしました。

また、「この賞をいただいたことで、『これでいいんだ』と背中を押されるような気持ちになりました」と、今回の受賞が特別な支えとなったことを語り、感激の面持ちを見せました。さらに、平松氏の「伊丹十三さんと重なる部分がある」との言葉に大いに喜びを感じ、「伊丹さんはどの分野でも唯一無二の表現を追求した方。私もそのような存在になれたらと思います」と笑顔を浮かべ、今後の活動への意欲を見せました。

のんにメッセージを贈る宮本信子

贈呈式では、伊丹十三賞記念館の館長であり、伊丹十三の妻である宮本信子によるビデオメッセージが上映されました。のんとは「あまちゃん」で共演していた宮本は、「のんがこの賞に選ばれたと聞いて、心から感動しました。残念ながら授賞式に参加できず寂しい気持ちでいっぱいです」と述べました。続けて、「初めてのんちゃんに出会った『あまちゃん』の制作発表での姿は、無口でシャイで少し心配に思ったほどでした。しかし、その時点で『この子を守らなくては』と強く思ったのです。その後、のんは長い苦しい道を歩み、多くの困難を乗り越えて、今こうして強く、大きく成長した姿を見て、本当に感慨深いです」と、彼女への愛情あふれる言葉を贈りました。

 のんは、伊丹十三賞を受賞したことについて「この賞をいただいたことで、宮本信子さんにも私の活動を認めてもらえたように感じます」と語りました。また、宮本との食事の際に、自身が書いた長編の脚本を見せたところ、「映画はそんなに簡単なものじゃない」と叱咤されたエピソードを笑いながら明かしました。さらに「今回はその宮本さんから褒めていただき、本当に嬉しいです」と喜びを表現しました。

宮本の厳しさと優しさに触れたのんは、「宮本さんは厳しい面もありますが、同時にとても優しく、私を甘やかしてくれることもありました」と述べました。「『あまちゃん』の撮影中、私がシャイで前室にこもっていた時、『どんどんおこもりしなさい』と声をかけてくださり、その言葉がとても励みになりました。また、宮本さんの演技を間近で見て、『こんな演技ができるようになりたい』と、俳優としても大いに学ぶことができました」と振り返り、宮本からの影響を深く感じた様子を伝えました。

2022年9月、主演映画『さかなのこ』で、第46回日本アカデミー賞「優秀主演女優賞」受賞。2024年12月、主演映画『私にふさわしいホテル』公開予定。DMMTVでの実写ドラマ『幸せカナコの殺し屋生活』今冬公開予定。音楽活動では、2023年6月に 2ndフルアルバム『PURSUE』をリリース。
伊丹十三賞とは
デザイナー、イラストレーター、俳優、エッセイスト、テレビマン、雑誌編集長、映画監督……さまざまな分野で才能を発揮し、つねに斬新、しかも本格的であった仕事によって時代を切り拓く役割を果たした伊丹十三の遺業を記念して、伊丹十三賞を創設いたしました。
あらゆる文化活動に興味を持ちつづけ、新しい才能にも敏感であった伊丹十三が「これはネ、たいしたもんだと唸りましたね」と呟きながら膝を叩いたであろう人と作品に伊丹十三賞は出会いたいと願っています。
ITM伊丹記念財団とは
2007年、財団法人ITM伊丹記念財団設立。同年5月15日、愛媛県松山市に宮本信子を館長とする伊丹十三記念館を開館。
同館の管理運営および伊丹十三・伊丹万作に代表される愛媛の映像作家を中心とした調査研究、映画上映会・講演会の開催、伊丹十三顕彰事業などの事業を展開している。
2008年11月、伊丹十三賞を創設。2011年4月より公益財団法人ITM伊丹記念財団。