映画

海外映画祭多数受賞の金子雅和監督最新作「光る川」キャストに華村あすか、葵揚、安田顕

カルチュア・パブリッシャーズ配給『光る川』が2025年3月ユーロスペースにて公開することが決定した。
本作は、『アルビノの木』『リング・ワンダリング』など国内のみならず海外映画祭でも多数受賞の異才・金子雅和監督の最新作。金子は、川や山といった圧倒的なロケーションと民俗学・美術等に裏打ちされた世界観により、現代人が忘れかけている自然への畏怖や人間の根源にある生命力を描き出す作風で知られている。初長編となった『アルビノの木』(2016)9ヵ国の映画祭で20受賞、第2作『リング・ワンダリング』(2021)はインド国際映画祭で『あにいもうと』の今井 正監督、『鉄道員(ぽっぽや)』の降旗康男監督に次いで日本人史上3人目となる最高賞(金孔雀賞)を受賞している。

そしてこの度、本作が第62回ヒホン国際映画祭にて17~25歳の若者で構成されるユース審査員11名が選ぶ、最優秀長編映画賞を受賞した。受賞詳細と金子雅和監督による受賞コメントは下記の通り。

© 長良川スタンドバイミーの会

<ユース審査員による『光る川』授賞の理由>
「普遍的な感情を繊細かつ美しく描き、時間や距離を超えて物語に共感出来る作品に仕上げたこと」を高く評価。

<金子雅和監督による受賞コメント>
最初に、62年もの長い歴史があるヒホン国際映画祭で『光る川』のワールドプレミアを迎えられたことを、大変光栄に感じています。
この映画は、複雑で困難な状況にある現代の世界中の人、特に若い人に対し、かつて私たち人類の誰もが持ち備えていた「自然と人間の関係への思慮」からヒントを得て、未来に向け希望を抱いて生きて欲しい、というメッセージを込めて作りました。
ですので、若い人たちの心に最も残ったのであれば、この作品の監督として最大級の喜びです。

<映画祭info>
クロージングセレモニーは11/23(土)現地時間19時-ヒホン市街の中心にある同映画祭メイン会場 Teatro Jovellanos で行われた。
受賞作である『光る川』と『By the Stream』(ホン・サンス監督/グランプリ&主演女優賞)は、24(日)に17:30-、20:00-それぞれ Teatro Jovellanosで再上映された。

併せて、場面写真、そして多彩な顔ぶれとなったキャストが解禁された。

今回の舞台となるのは、高度経済成長の始まった1958年。
大きな川の上流、山間の集落で暮らす少年ユウチャ。父は林業に従事し、母は病に臥せっていて、老いた祖母と暮らしている。まだ自然豊かな土地ではあるが、森林伐採の影響もあるのか、家族は年々深刻化していく台風による洪水の被害に脅かされている。
夏休みの終わり、集落に紙芝居屋がやってきて子どもたちを集める。その演目は、土地にずっと伝わる里の娘・お葉と山の民である木地屋の青年・朔の悲恋。叶わぬ想いに打ちひしがれたお葉は山奥の淵に入水、それからというもの彼女の涙が溢れかえるように数十年に一度、恐ろしい洪水が起きるという。紙芝居の物語との不思議なシンクロを体験したユウチャは、現実でも家族を脅かす洪水を防ぎ、さらには哀しみに囚われたままのお葉の魂を鎮めたいと願い、古くからの言い伝えに従って川をさかのぼり、山奥の淵へ向かう……。

無垢な少年の眼差しに映る、自然への畏怖と現代化への分岐点。少年が目撃する里の娘と木地屋の青年の関係性には、支配的な社会制度から解き放たれた世界へ向かおうともがくさまが描写され、疲弊する現代人への原点回帰的なメッセージが秘められている。

物語の根幹を支える女性・お葉を演じるのはNETFLIX『シティーハンター』くるみ役で注目を集めた華村あすか。お葉との悲恋の相手・朔にモデルとしてのみならず2022年NHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」章兄ちゃん役などで俳優としても活躍の場を広げている葵揚。物語の眼差しとなる少年・ユウチャとお葉の弟・枝郎を金子監督の師である瀬々敬久監督の作品『春に散る』にも出演した子役の有山実俊が一人二役で演じている。また、足立智充、堀部圭亮、根岸季衣、渡辺 哲といったベテランから、金子作品に欠かせない山田キヌヲ、そして『リング・ワンダリング』に続く出演であり、現在日本映画に引っ張りだこの俳優・安田 顕まで、多彩な顔ぶれが揃った。

原作は岐阜出身の作家・松田悠八の「長良川 スタンドバイミー一九五〇」。金子自身長編映画としては初めての原作ものとなったが、長良川流域の土地・民話・伝承からインスピレーションを受け、物語を大きくふくらませていった。撮影は2023年9月、全て岐阜県内で行われた。いつも凄みのあるロケーションで見るものを圧倒する金子作品、それは監督自身が何度も足を運んで探し出すもので、今回もそうしたロケハンが数十回にわたり繰り返された。深く引き込まれそうな水辺、近寄りがたさすら感じさせる洞窟や滝、悠久の時を刻む山々の情景など、CG一切なしの神秘的な自然が物語を彩る大きな要素となっている。そんな作品世界に寄り添う音楽は、細田 守監督作品や瀬田なつき監督『違国日記』などを手掛けてきた音楽家・高木正勝が書き下ろし、繊細に演奏している。

本作はスペインで最も歴史ある映画祭のひとつであり、過去アキ・カウリスマキ、ツァイ・ミンリャン、ペドロ・コスタ、ホン・サンス、鈴木清順、塚本晋也、小栗康平、諏訪敦彦、濱口竜介といった名だたる作家映画の数々を上映してきた第62回ヒホン国際映画祭のRetueyosコンペティション(長編1-3作目の監督作)にノミネートされており、受賞にも期待がかかる。受賞発表は現地時間11/23(土)20時(日本時間11/24)を予定している。

出演:華村あすか、葵揚
有山実俊/足立智充、山田キヌヲ/髙橋雄祐、松岡龍平
堀部圭亮、根岸季衣、渡辺 哲
安田 顕
脚本・監督:金子雅和
音楽:高木正勝
共同脚本:吉村元希
美術監督:部谷京子
撮影:山田達也
音響:黄永昌
OPアニメーション:高橋昂也
原作:松田悠八(「長良川 スタンドバイミー一九五〇」より)
製作:長良川スタンドバイミーの会 制作プロダクション:プロジェクト ドーン

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