石井裕也監督最新作『本心』(11月8日(金)公開)の場面写真が公開された。
原作は、平野啓一郎による傑作長編小説「本心」。キャストには池松壮亮を主演に迎え、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡、田中裕子ら俳優陣が集結した。
本作は、今からさらにデジタル化が進み、“リアル”と“ヴァーチャル”の境界が曖昧になった少し先の将来が舞台。急逝した母が実は“自由死”を望んでいたことを知り、その母の“本心”を知るためAIで彼女を蘇らせるという、未知の領域に足を踏み入れた青年・石川朔也(池松壮亮)と、彼を取り巻く人間の【心】と【本質】に迫るヒューマンミステリー。
今回解禁されたのは、この度、 本作に登場する「リアル・アバター」や「ヴァーチャル・フィギュア(VF)」など、テクノロジーの進化の先で待ち受ける“近い将来”を切り取った場面写真。主人公・朔也が、依頼人に身体を貸し出し“リアル・アバター”として働く姿や、“VFゴーグル”の向こう側に映る“ヴァーチャル・フィギュア”の母親などが写し出されたシーンは、我々がかつて想像していたようなSFの世界ではなく、“日常”に溶け込んだ、今の生活と地続きの設定である事に着目したい。
最先端のAI(人工知能)、AR(添加現実)の技術を組み合わせながら、仮想空間上に外見だけでなく会話もできるように再現された“人間”とその技術。これまでのライフログ、メールのやり取り、写真、動画、ネットの検索履歴などの情報をAIが集約することで生成され、日々学習を続ける。朔也は”自由死”を望んでいた母の本心を知るため、VF技術を開発した技術者・野崎将人(妻夫木聡)に依頼し、AIで母親を蘇らせる。最初こそ不安を抱いていたものの、まるで本当に生きているかのようなVFの母親、そしてひょんなことから同居することになった生前の母親の親友・三好彩花(三吉彩花)と共に、他愛もない日常を取り戻していく。しかし、VFは徐々に“息子の知らない母親の一面”をさらけ出していくことに…。
自身のカメラ付きゴーグルと依頼者のヘッドセットを繋ぎ、遠く離れた依頼者の“身体”となって、要望を叶える職業。依頼人はアバターに指示を出すことで、疑似体験が可能となる。ある事故をきっかけに昏睡状態に陥り、目覚めたころには職場がロボット化され、失業に追い込まれた朔也。そんなとき、幼馴染の岸谷(水上恒司)の紹介で、渋々始めたのがリアル・アバターの仕事だった。病室から動けず、最期の時間を思い出の地で過ごしたいと願う若松(田中泯)からの依頼をはじめ、様々な顧客による際限のない要求、時に悪意のある理不尽な命令が、次第に朔也の心を錯乱させる。
<VF>や<リアル・アバター>のほかにも、朔也の母親のように個人が自分の“死”の時期を選ぶことのできる<自由死>という制度が施行されているなど、人間の存在価値が尚一層問われ、個々人の欲望がさらにエスカレートする時代を描く本作。果たしてAIで心を再現したとき、人は何を失い、何を見つけるのか。そしてAIは人間の“本心”までを再現できるのか―?