同映画は、今から約850年前の平安末期から鎌倉時代の激動の時代に活躍した仏教家、親鸞の青年時代を中心に、その生涯を描く。ベストセラー書籍『歎異抄をひらく』と『人生の目的』を原作に、夏目漱石や司馬遼太郎などの知識人が関心を寄せた親鸞の苦悩と葛藤に焦点を当て、「人はやがて死ぬのになぜ生きるのか」「人は何のために生きるのか」「幸せとは何か」という普遍的なテーマを深く探求する。
杉は「80歳になった私が、80代の親鸞聖人の声を演じることに不思議な縁を感じました」と本作のオファーについて語り、「アフレコは初めてで、自分の引き出しにはない仕事でしたので、いつもにもなく不安に思っていました」と不安がる様子を見せつつも、収録は見事に一発OKの連続で、収録予定時間を大幅に短縮して終了したという。「人生の道標を、分かりやすくアニメで見せてくれます。納得するまで何度も観てもらって、皆さんにとっての“人生の一作”となったらうれしいです」と、本作の完成に大きな期待を寄せている。
親鸞聖人の青年期は声優の櫻井孝宏が務め、浄土宗の開祖・法然上人役で中博史の出演も発表された。
櫻井は「歴史上の大人物なので自分と同じ次元で見られない」と、長いキャリアの中でもなかなか演じたことのない役柄だったようで、「全部を理解する必要はなくて、見て感じたことを生きていくヒントにしていただけたら」と語っている。
中は「万人に愛される、普通に話をしていても万人の心に響くような人物。親鸞聖人に多大な影響を及ぼす人物なので、そういうお芝居ができていたらいい」と、親鸞聖人が探し求め続けていた苦悩の解決の道を示す重要な役柄について詳述。また、「歴史小説を読むように、当時こういうことがあったんですよ、という一つの事実として楽しんでもらえれば」と語った。
あわせて公開されたポスタービジュアルは、京都の町並みを背景に、凛々しい青年期の親鸞聖人を大きく配置。親鸞と関白の娘・玉日姫が、橋の上で運命的な再会を果たすシーンも描き加えられている。僧侶の結婚は戒律で固く禁じられていた時代に、周囲の猛反発に合いながらも公然と玉日姫との結婚を断行した親鸞。“人間・親鸞”の姿は現代を生きる上でも重要な示唆を与えてくれそうだ。
■杉良太郎のコメント(全文)
今回のオファーをいただいて、偶然に収録時期が少し遅れ、ちょうど80歳になった私が、80代の親鸞聖人の声を演じることに不思議な縁を感じました。親鸞聖人ですから、どういう方だったのか想像できませんし、人間でありながら、神様に近い存在の方なので、私がその親鸞聖人の声を演じていいものか考えました。アニメのアフレコは初めてで、自分の引き出しにはない仕事でしたので、いつもにもなく不安に思っていました。
本作のテーマである「人はなぜ生きるのか」「どんな目的があって生きているのか」は、自分の経験の中から、自分も実際に悩み、苦しみながら生きてきたこととも重なりました。今まで、さまざまなところで福祉活動をしてまいりましたが、知的障害や重度身体障害者施設などを訪問することもあり、実際に会って触れて感じて、こちらが教えてもらうこともありました。
バングラデシュ・ダッカの「愛の姉妹会」という孤児院に行った時、子供たちがロボットみたいに全然動かないし、瞬きさえしないことに驚いたことがあります。理由は、栄養失調。とっさにその時に持っていた飴玉を1つあげたら、飴玉をじっと持って、5、6秒かかってやっとペロッと舐める。施設内をまわって、帰りがけに「今すぐ食べるものを持って帰ってくるから」と言うと、その子たちがみんな手を振ったんです!瞬きもできない子が飴玉1つで手を振るエネルギーを得ることに考えさせられました。
別の施設では、両足の無い子が満面の笑みで、手だけで私の後をついてきてくれたり、手が全く使えない子は、口で割り箸を噛んで、パソコンを使って「ありがとう。よく来てくれたね」と迎えてくれたこともあります。目は全然私の方を見られず、抱いたら全然違う方向を見ているのに、私の存在をわかってくれていて、後日、口でタイプして作ってくれた御礼の手紙が届いたこともあります。いくら体が不自由であっても、魂は死なない。そういった人たちに、一瞬でも笑顔でいてもらえることが、いかに貴重なことなのか。
おこがましいですが、これからも私はそのようなところにも行って、その人たちと触れ合って、そこで経験し学んだことを、皆さんに説得力を持ってお話ししたいと思っています。本作の「なぜ生きる」というテーマ。人生の道標を、分かりやすくアニメで見せてくれます。納得するまで何度も観てもらって、皆さんにとっての“人生の一作”となったらうれしいです。
■櫻井孝宏のコメント(全文)
歴史上の大人物なので自分と同じ次元で見られないと言いますか、そういう目つきで語れない役どころだと思っております。作品のテーマから難しい印象を持たれるかもしれませんが、とても見やすい物語だと思います。全部を理解する必要はなくて、見て感じたことを生きていくヒントにしていただけたらと思います。
■中博史のコメント(全文)
私が演じた法然上人は、万人に愛される、普通に話をしていても万人の心に響くような人物だと思いました。お説教くさくならないようにと思いながら演じました。親鸞聖人に多大な影響を及ぼす人物なので、そういうお芝居ができていたらいいなあと。歴史小説を読むように、当時こういうことがあったんですよ、という一つの事実として楽しんでもらえればと思います。