世界の映画作家たちに絶大なる影響を与え続けているフランスの巨匠ロベール・ブレッソンの幻の傑作『白夜』が、没後25年となるこの機に、4K レストアで美しく繊細によみがえり、3月7日(金)より全国公開。このたび映画本編中の船上演奏シーンが解禁された。あわせて、濱口竜介、山中瑶子、ヴィム・ヴェンダースら著名人からコメントが到着した。
世界の映画作家たちに絶大なる影響を与え続けているフランスの巨匠ロベール・ブレッソン(1901-99)。そのブレッソンが残した珠玉の長篇映画13作品のうち、これまで最も見る機会の少なかった『白夜』。1971年カンヌ映画祭で初公開されたのち、近年ではフランスでさえ上映不可能であったが、その美しさとはかなさは多くの映画ファンの間で受け継がれ、心の中で大切にはぐくまれてきた。その幻の逸品が2012年に日本でのみ35mmニュープリントで上映され、そして2025年、ついに4Kレストアされいっそうの輝きを纏い、いまスクリーンによみがえる。
このたび解禁された本編映像は船上演奏シーン。夜のセーヌ川の水面を燦然と輝かせる観光船の上でボサノヴァ調の音楽を奏でるのは「Groupe Batuki(グループ・バトゥーキ)」。実験的なアフリカ系ブラジル人アートグループで、彼らの音楽をブレッソンは映画のワンシーンとして描いている。
あわせて、ヴィム・ヴェンダース、濱口竜介、山中瑶子ら映画作家をはじめ曽我部恵一(ミュージシャン)、中田クルミ(俳優)ら著名人からコメントが到着。今もなおクリエーターに鮮烈な影響を与えていることがうかがえる。さらに、映画やファッションに造詣が深く、『石川三千花の勝手にシネマ』など著書も多数あるイラストレーターの石川三千花より描き下ろしイラストが到着した。コメント全文・一覧は以下のとおり。
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著名人コメント ※順不同・敬称略
仄暗く、見通しの悪い青春。
刹那にして永遠。
曽我部恵一(ミュージシャン)
環境音と共に脳に溶け入る音楽、人から小物、水面に夜空まで映り込むもの全てがただただ愛おしい。
静謐で美しい時間でありながらも、ポップで軽く、虚しく温かい余韻が残る。
夜のパリに対する憧れが一段と強くなるのはなぜだろうか。
中田クルミ(俳優)
為す術のない恋に悶える者、肥大化した自我と孤独な魂を持て余す若者たちは、今すぐこの映画を見るべし!
ここにも、静かに滾る若い肉体と眼差しがある。
山中瑶子(映画監督)
忘れがたい「鮮烈な唐突さ」が夜に溶け込み、ダンスをするように連なっていく。
こんなにも静かに、官能的に、ハッとさせられることがあるだろうか。
岨手由貴子(映画監督)
恋愛の結晶作用、幻想、夢想、孤独。かつて若者だった私にとっての理想的な映画。なぜ20歳のとき『白夜』と出会えなかったのか! きっと私に大きな慰めをもたらしてくれただろうに。
ギヨーム・ブラック(映画監督)
この映画の「夜」を目にするとき、視覚は触覚へと変容する。これほど「艷やか」という形容が当てはまる映画もない。目は手として誘惑される。だが、いつも夜は逃げていくだろう。うごめく影や反映として。どれだけ欲しても触れられない。追いつく可能性がわずかに残された場所はただ一つ。映画館のスクリーンだ。
濱口竜介(映画監督)
こんな映画はない。永遠に新しい。
ヴィム・ヴェンダース(映画監督)
白夜
2025年3月7日(金)よりユーロスペース、角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー
監督・脚本:ロベール・ブレッソン 原作:ドストエフスキー 撮影:ピエール・ロム 録音:ロジェ・ルテリエ 美術:ピエール・シャルボニエ 編集:レイモン・ラミ 出演:ギヨーム・デ・フォレ、イザベル・ヴェンガルテン、ジャン=モーリス・モノワイエ
1971年 | フランス・イタリア合作 | フランス語 | カラー | 1.66:1 |モノラル | 83分 | 原題:Quatre Nuits d’un rêveur | 日本語字幕:寺尾次郎 | 配給:エタンチェ、ユーロスペース
© 1971 Robert Bresson