実際にフランスで起きた未解決事件をもとにしたフィクション
生きたまま女性が焼かれた事件を捜査する刑事たちの葛藤を描き、第75回カンヌ国際映画祭プレミア部門出品、第48回セザール賞で作品賞・監督賞他を受賞するなど高い評価を得た映画『12日の殺人』。本作が実際の未解決事件をもとにしていることが明らかになり、映画を鑑賞した元刑事らが「実にリアルだ」と唸った感想コメントが到着した。
フランス南東の地方都市グルノーブルで、10月12日の夜、帰宅途中の21歳の女子大生クララが何者かに火をつけられ、翌朝焼死体という無惨な姿で発見される。そして、地元警察でヨアンを班長とする捜査班が結成され、地道な聞き込みから次々と容疑者が捜査線上に浮かぶ。その全員が被害者と関係ある男たちだった…。
監督は、2019年東京国際映画祭にて観客賞と最優秀女優賞を受賞し、日本公開でも口コミでヒットした『悪なき殺人』(映画祭当時は『動物だけが知っている』)のドミニク・モル。彼の最新作となる本作は、フランスのアカデミー賞に相当するセザール賞で、最優秀作品賞、最優秀監督賞をはじめ最多6部門を受賞。第28回リュミエール賞でも作品賞、脚色賞を受賞するなど、世界で高く評価された。
今回、本作が実際にフランスで起きた事件をもとにしたフィクションであることが明らかとなった。原作は、ポーリーヌ・ゲナが1年にわたるベルサイユ司法警察での取材をもとにした「18.3: Une année à la PJ(刑事訴訟法18.3条:司法警察での1年)」。実在の事件は、当時21歳の女性モード・マレシャルが、2013年5月にフランスのセーヌエマルヌ県ラニー・シュル・マルヌで焼死体で発見されたことから明るみに。
亡くなった夜、マレシャルは近所のパーティーに出席し、午前2時30分頃にパーティー会場を後にする。1時間後、彼女の焼死体は警察の巡回によって道路脇で発見された。検死結果で、ガソリンをかけられて火をつけられたという証拠があり、生きたまま焼かれたことが確認される。
広範な捜査にもかかわらず、容疑者を特定する監視映像や電話記録を発見できず、目撃者からの情報も乏しかった。関係者への取り調べと監視にもかかわらず、捜査は進展せず、有力な手がかりや容疑者は見つかっていない。この事件は地域社会に大きな衝撃を与え、当時彼女を追悼するための無言の行進に500人が集まった。10年近く経った現在も事件は未解決のままで、警察は手がかりを求め続けている。
さらに、本作を鑑賞した元刑事らから「リアリティ性が高い」「刑事の心理状態の変化や仲間内でのやり取りなど、現実を見せられているのかと錯覚する」「警察官が感情移入して繊細に揺れる心の動きが見事に描かれいて」などその内容を評価する多くの感想コメントが到着した。
日本でも柴又女子大生放火殺人事件(1996年)や世田谷一家殺害事件(2000年)、島根女子大生死体遺棄事件(2009年)と未解決事件は多く、実際に刑事たちは本作のように葛藤しながら捜査を続けているのではないか。実際の事件をもとにしたフィクションである本作であるからこそ、刑事たちの繊細な描写が伝わってくるのかもしれない。
■秋山 博康(元徳島県警捜査第一課警部/犯罪コメンテーター)
捜査とは、犯人と証拠を発見することです。事件は生き物と言われ、捜査中に多種多様のアクシデントが付きものです。必検を誓い捜査を展開しますが、捜査が長期化すると捜査士気が低迷化します。この映画で地道な捜査官の執念を見てほしいです。
■佐々木成三 (犯罪評論家)
刑事の私生活、被害者感情、生じるバイアス。負のスパイラルが連鎖し、起こる未解決事件。刑事の異動時期に、何故か発生する大きな事件。場面一つのリアリティ性が高い! cold caseの原因になりえる要素が詰まった映画だと感じました。
■西村虎男(元石川県警特捜刑事)
なんともリアルな映画だ! 冒頭の焼死体の生々しさにドキッとしながら、殺人事件捜査に従事する刑事の心理状態の変化や仲間内でのやり取りなど、現実を見せられているのかと錯覚するほどの見事な描写。ぜひともお勧めしたい作品だ。
■一青窈(歌手)
『12日の殺人』
まるで捜査官と一緒に未解決事件を調査しているような気分になる作品。
たしかに世の中にたくさんの事件あるのに
それらの殆どが男の人たちによって捜査されることの違和感に着目させられた。
毎日接してる家族の本音を知らないことだってあるし
大好きな恋人の気持ちがうまく分かんなくて悶絶するし
ましてや犯罪者の言動なんてそう簡単に理解できる訳がない。
人生とは自転車でコースを周っているだけのようにも思える時もあるし
突然そこからOUTだってもちろんありうる
その世界に無理やり関わらざるを得なかった
人々の戸惑いや葛藤、悲しみ
警察官が感情移入して繊細に揺れる心の動きが見事に描かれいて
人間の行動心理の謎について考えさせられた。
じわじわとクる。
まるで捜査官と一緒に未解決事件を調査しているような気分になる作品。
たしかに世の中にたくさんの事件あるのに
それらの殆どが男の人たちによって捜査されることの違和感に着目させられた。
毎日接してる家族の本音を知らないことだってあるし
大好きな恋人の気持ちがうまく分かんなくて悶絶するし
ましてや犯罪者の言動なんてそう簡単に理解できる訳がない。
人生とは自転車でコースを周っているだけのようにも思える時もあるし
突然そこからOUTだってもちろんありうる
その世界に無理やり関わらざるを得なかった
人々の戸惑いや葛藤、悲しみ
警察官が感情移入して繊細に揺れる心の動きが見事に描かれいて
人間の行動心理の謎について考えさせられた。
じわじわとクる。
■吉川祐二(元警視庁刑事・警察監修)
刑事のプライベートや葛藤を、とてもよく映しだしている映画。本作を通して、刑事や警察官たちも、実はこうやって悩みながら仕事に従事しているんだという点について見ていただけたらうれしいです。本作に出てくる刑事たちの姿には、いい意味で飾りっ気がない。そういった姿を知ってもらえたら、刑事を見る目が変わってくるかもしれません
『12日の殺人』は現在公開中。
『12日の殺人』作品情報
公開日 | 2024年3月15日公開予定 |
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キャスト | 監督:ドミニク・モル 出演:バスティアン・ブイヨン ブーリ・ランネール テオ・チョルビ ヨハン・ディオネ ティヴー・ エヴェラー ポリーン・セリエ ルーラ・コットン・フラピエ |
配給 | STAR CHANNEL MOVIES |
制作国 | フランス(2022) |
上映時間 | 114分 |
公式サイト | https://12th-movie.com/ |
(C) 2022 – Haut et Court – Versus Production – Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma