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映画『海の沈黙』公開記念舞台挨拶

映画『海の沈黙』の公開記念舞台挨拶が11月23日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催されました。主演の本木雅弘をはじめ、石坂浩二、清水美砂、菅野恵、若松節朗監督が登壇しました。

本作は倉本聰が原作・脚本を手がけた作品で、物語は世界的な画家・田村修三の展覧会で発生した贋作事件を発端に進行します。事件の報道が過熱する中、北海道・小樽で女性の遺体が発見され、2つの出来事が交錯しながら物語が展開していきます。物語の中心人物である天才画家・津山竜次を本木雅弘が演じ、彼の元恋人で田村の妻・安奈を小泉今日子が、田村修三を石坂浩二が演じています。また、全身に刺青を持つ謎めいた女性・牡丹を清水美沙が、津山竜次を慕うバーテンダー・アザミを菅野美穂がそれぞれ演じています。

本木雅弘

本木は、昨日の映画公開に際し、「倉本先生もこの船出を喜んでいらっしゃると思います」と述べるとともに、「倉本先生の一筋縄ではいかない世界観を、粘り強く寄り添いながら映画として形にしてくださった監督に改めて感謝を申し上げます」とコメントしました。

若松節朗監督

これに対し、若松監督は「本木さんがいなければこの映画は実現しませんでした。寝る間も惜しんで宣伝活動に尽力してくださり、どのチャンネルを見ても本木雅弘さんが映っているという状況でした。本当にありがとうございました」と感謝の意を述べました。

石坂浩二

石坂は舞台挨拶で、「出演作が公開されることは役者にとって怖いものです。この作品では1年間怯えていました。上映されないといいなと思っていましたが(笑)、こうして公開されたので諦めました」とユーモアを交えたコメントで会場の笑いを誘いました。

清水美砂

清水は「17歳のときに倉本先生の『駅・STATION』と出会い、いつかこうした大人の作品に出演できる女優になろうと努力してきました。今回声をかけていただき、夢が叶いました。先生の最後の映画と聞いてセンチメンタルな気持ちもありますが、今日は皆さんと喜びを分かち合えたらと思います」と語りました。

菅野恵

また、前日に倉本と電話で話したという菅野は「先生はお客さんの入りを気にされていました。SNSでの盛り上がりが先生の耳に届くと嬉しいです」と観客に呼びかけました。

イベントの中盤では、登壇者たちがそれぞれお気に入りのシーンについて語りました。本木は、竜次と牡丹が登場する夢のシーンを挙げ、「清水さんとは『シコふんじゃった。』で出会いましたが、その後、1995年のNHKドラマ『涙たたえて微笑せよ』では、妻役の清水さんの髪を切り刻む狂気的な作家を演じました。今回は清水さんに刺青を施す役でしたが、どうも普通の役どころではない関係が多いようで感慨深いです」とエピソードを語りました。

清水美沙はこのシーンについて、「全身全霊で竜次と牡丹の関係性を表現したかったので、全裸で監督にすべてを委ねました」と述べ、「刺青を施していたため、全裸という感じはあまりしなかったですね。あの刺青の準備には6時間ほどかかりました」と振り返り、本木を驚かせる場面もありました。

後半では、共演の小泉今日子からのメッセージがサプライズで紹介されました。小泉は、本木が演じる主人公の元恋人役を務めましたが、全国ツアー中のため舞台挨拶には出席できませんでした。

メッセージの中で小泉は、「本日は『海の沈黙』の公開記念舞台挨拶があるというのに、私は全国ツアー中で九州地方の空を見上げております。この晴れの舞台に参加できず残念です」と心境を語り、「倉本聰さんが長い間温めていた物語がいよいよ世に放たれました。この物語が今、この2024年を選んで世に出たということに意味があると思います。この映画の旅がすてきな場所にたどり着きますように」と願いを込めました。

本木は約32年ぶりとなる小泉との共演に言及し、「いや〜、ありがたいですね」と感謝を表しつつ、「映画は架空の物語を演じるものですが、役者にとっては自分たちがそこに映るドキュメンタリーのような側面もあります。今日、この時代、この瞬間を生きていることを実感する一日です」と笑顔で語りました。

『海の沈黙』作品情報

公開日 2024年11月22日公開予定
キャスト 監督:若松節朗
原作:倉本聰
出演:本木雅弘 小泉今日子 清水美砂 仲村トオル 菅野恵 石坂浩二 萩原聖人 村田雄浩 佐野史郎 田中健 三船美佳 津嘉山正種 中井貴一
配給 ハピネットファントム・スタジオ
制作国 日本(2024)
上映時間 118分
公式サイト https://happinet-phantom.com/uminochinmoku/

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