映画

映画『死体の人』

2023年3月18日(金)、渋谷シネクイントで映画『死体の人』の公開記念舞台挨拶が行われました。奥野瑛太さん、唐田えりかさん、楽駆さん、草苅勲監督が登壇しました。彼らは昨日の公開初日についてや、この作品に込めた思い、撮影の経験などを振り返りながら語りました。

この映画は、売れない役者の不器用な生き方を通じて理想と現実の折り合いを描き、普遍的なテーマである「生きることと死ぬこと」について草苅監督の俳優経験を活かし、絶妙なバランスのユーモアとペーソスで描かれたハートフルな人間ドラマです。奥野さんはインタビューで「草苅監督と『広志』は被るところがある」とおっしゃっており、主人公が死体役ばかりという設定は監督が15年以上前から考えていたものだと語っています。

草苅監督は自身が役者を経験していたことから、役者の苦悩を描きたいと思ったと語りました。ただそれだけでは寂しいと感じ、売れない役者ではなく「死体役」ばかりになる設定を加えることで、テーマにより近づき、さらに面白くなると考えて作りました。奥野さんは台本を読んだ際、まだ草苅さんとは会ったことがなかったにも関わらず、草苅さんの性格や顔が頭に浮かんできたと語りました。そのため、現場で草苅さんを見ながら彼を演じることに挑戦しました。

また、監督自身も一度演じてもらった経験があったそうです。奥野さんは草苅さんの持つ優しい目線や温かい視点が自分には足りないと感じたため、監督に演じてもらうようお願いしました。それによって、単に表面的な演技ではなく、内面を見て汲み取り、役に繋げていく素晴らしさを実感しました。

唐田さんは役の加奈については自分と共通点を大きくしてアプローチし、奥野さんと監督と一緒にキャラクターを作り上げたと述べました。現場でのリハーサルや試行錯誤を通じて、役作りに取り組んでいったそうです。

 

「死体の人」は、MI-CAN3.5復活祭で生まれた作品で、まだ存在しない映画の予告編を審査するユニークな映像コンテストから派生したプロジェクトです。この作品は、日本を代表する映画会社のプロデューサーによって選ばれた入賞作品です。

物語

役者を志していた吉田広志(奥野瑛太)が、「死体役」ばかりを演じることになるという状況から始まります。広志は演技に強いこだわりを持っており、リアリティを追求したいと考えていますが、撮影現場ではただの「死体」として求められます。かつて劇団を主宰していた後輩俳優たちはテレビで成功を収めている一方、広志にはそれができません。彼には「死体役」のリアリティが内に秘められているのです。彼は一人の時間でも、ビールを飲めば「毒死のシーン」を演じ、浴槽に浸かれば「溺死のシーン」を演じるなど、常に死に方を模索しています。

ある日、広志はデリヘル嬢の加奈(唐田えりか)と出会います。情事の後、広志は加奈に「なぜ今の仕事をしているのか」と尋ねます。この質問は広志自身にも返ってくる問いです。「人を喜ばせるために、自分にできることがこれしかないから」と答える加奈に対し、広志は自虐的に「自分は誰も喜ばせられないんだよ」と言います。明るく振る舞う加奈もまた、自身の人生に問題を抱えているようです。

そんな中、突然広志の父(きたろう)から、母(烏丸せつこ)が入院したという連絡が入ります。母は強がっていますが、病状は思わしくないようです。さらに驚きなのは、偶然発見した妊娠検査薬が陽性反応を示したことです。これは一体どういうことなのでしょうか?

命が消えゆく中、そして新たな命が生まれるかもしれない中、役者の広志は一世一代の大芝居に挑む決意をします。

出演:奥野瑛太 唐田えりか
楽駆 田村健太郎 岩瀬亮 /烏丸せつこ きたろう

監督:草苅勲
脚本:草苅勲 渋谷悠
主題歌:「僕らはきっとそれだけでいい」THE イナズマ戦隊(日本クラウン株式会社)
制作協力:CLEO・Y プロダクション
制作プロダクション:オフィスクレッシェンド
配給:ラビットハウス
Ⓒ2022 オフィスクレッシェンド
公式サイト:https://shitainohito.com/

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