映画『山女』

2023年7月1日（土）、渋谷ユーロスペースで映画『山女』の公開記念舞台挨拶が行われました。登壇したのは山田杏奈さん、二ノ宮隆太郎さん、そして福永壮志監督です。彼らはこの作品に込めた思いを改めて振り返りました。

この作品は18世紀後半の東北の村を舞台に、大飢饉に襲われた村の娘・凛が逞しく生き抜く姿を描いています。凛は先代の罪を背負いながらも村を去り、禁じられた山奥で伝説の存在である「山男」と出会い、運命が大きく変わっていく物語です。福永監督は柳田國男の「遠野物語」から着想を得て本作を制作し、現代の私たちに「本当の人間らしさ」を問いかけています。

舞台挨拶では上映後、山田杏奈さん、二ノ宮隆太郎さん、福永壮志監督が大きな拍手に迎えられながら登壇しました。山田さんと二ノ宮さんは緊張しながらも和やかな雰囲気で対話し、福永監督は本作を制作した背景やテーマについて語りました。

山田杏奈さんは主人公の凛について、「凛は時代背景が違うけれど、自分の人生に翻弄されながらもたくましく生きている強い人だと感じました。私だったらあそこまでの環境に置かれたら諦めてしまうかもしれないようなことでも、凛は自分が置かれた人生に屈しない人だと思って、逞しさを感じました。」と述べました。

二ノ宮隆太郎さんは凛の人生に大きく関わる泰蔵を演じたことについて、「自分は凛にとっての役割を全うしようと思いました。役割を全うしようと思いました。」と緊張しながらも述べ、場内からは笑いが起こりました。山田さんは二ノ宮さんの緊張をフォローし、チームワークをみせました。

今回　キャストの森山未來さんは、この場に参加されませんでしたが、作品の重要の役割

があり

山田さんは、「森山さんは、違う生物に会ってしまったみたいな、呼吸の仕方とかが動物で、そういう説得力を強く感じました。」と述べました。さらに、撮影の合間に森山さんが木の上で寝ていたというエピソードも明かしました。

福永監督はこれに対して、「実は後からその寝姿を写真で見て、これはいい画だなって思って、劇中の昼寝しているカットはそれをきっかけに足しました。元々の脚本には無かったんです。」と述べ、これに場内からも驚きの声が上がったそうです。

さらに、もう一つのエピソードとして、森山未來さんが先に撮影を終えて帰る際、二ノ宮のホテルの部屋に森山から「フロントに森山さんからお預りしているものがあります」と書かれたメモが入っていたといいます。二ノ宮がフロントに確認すると、中身は森山が残していったウイスキーの瓶だったそうで、二ノ宮は森山の粋な計らいに嬉しそうに話しました。

同世代の若い人たちに本作の魅力を伝えるために、山田さんは「私たちの世代は、物事を冷めて見ている人が多い世代でもあって、凛もそういう部分があるけれども、自分の幸せのために前に進んでいく姿は、現代の若い人にも届くんじゃないかなと思うので、そういう意味でも観てもらえたら嬉しいです。」と述べました。

福永監督も「照明など、映像もリアリティを追求していますし、音も自然の畏怖を感じられるよう、こだわって作った作品ですので、家のテレビ画面では伝わりにくいですし、ぜひ映画館で観ていただきたいです。」と付け加え、作品へのこだわりを明かしました。

最後に、本作を観る方へのメッセージを求められた山田は、「いろいろな視点で観ることができる映画だなと思いますし、今、外は暑いですけれど、どこか清々しい気分にもなって映画館を後にできる映画でもあります。ありがとうございました！」と作品をアピールしました。イベントは大盛況のうちに幕を閉じました。