幼い頃に自分と母を捨てた父(藤竜也)が警察に捕まった報せを受け、久しぶりに父のもとを訪ねた卓(森山未來)。ところが、父は認知症で別人のように変わり果て、父の再婚相手の義母(原日出子)は行方不明に。いったい何が起こったのか──。
今回到着した映像では、義母・直美に関する手がかりを求め、直美の妹に会いに行くシーンでクランクアップを迎えた森山が、近浦監督と互いを称え合うように握手を交わす姿が収められています。
満開の桜が印象的でもあるこの場所は、実際に熊本県にある工房。撮影時に偶然にも桜が満開になっていたため、近浦監督は「煽っている感じを出さないで、かつ、森山未來さんの背後には桜しか見えないという画を撮りたいと思いました。対象からかなり距離をとり、カメラのレベルを地面ギリギリまで下げて望遠レンズで狙ってもらいました」と撮影時のこだわりを明かしています。
撮影監督を務めたのは、前作『コンプリシティ/優しい共犯』や是枝裕和監督の作品を手掛けてきた日本を代表するベテランの山崎裕。近浦監督は「前作でのコラボレーションで山崎さんとは非常に良い関係が築けたと思いましたので、今回もぜひ山崎さんにお願いしたいと考えました」とコメント。前作ではデジタルのハンドヘルド撮影で、ワンシーン・ワンショットが主体でしたが、「今回は35mmフィルムを使って、カメラは手持ちではなく基本三脚に乗せてもらいます。また、各ショットの構図に関して要望を出しますということは先にお伝えしました」
制作予算の関係上フィルム缶には限りがあり、編集時の自由度を担保するためにたくさんの“撮れ高”を気軽に確保するようなことは出来なかった為、「あらかじめショットをどう繋げて展開させるのかを考えて、自分の脳内でパズルを組み立てながら撮影を進め、撮りあげた段階でほぼ編集もできているような状態を目指した」そう。近浦監督は「山崎さんは、技術の素晴らしさはもちろんですが、人柄的にもものすごく大きい人。あれだけ凄いキャリアのあるカメラマンなのに、僕みたいな未熟な人間の無茶な要求や提案にも、ご自身の考えを踏まえてちゃんと返してくれます」と振り返り、「『大いなる不在』では前作以上に良いコラボレーションが果たせたと心から満足しています」と感謝の気持ちを述べています。
『大いなる不在』(英題:Great Absence)
卓(森山未來)は、ある日、小さい頃に自分と母を捨てた父(藤竜也)が警察に捕まったという連絡を受ける。妻(真木よう子)と共に久々に九州の父の元を訪ねると、父は認知症で別人のようであり、父が再婚した義理の母(原日出子)は行方不明になっていた。卓は、父と義母の生活を調べ始めるが──。
監督・脚本・編集:近浦啓
共同脚本:熊野桂太
プロデューサー:近浦啓、堀池みほ
出演:森山未來、真木よう子、原日出子、藤竜也
製作・制作プロダクション:クレイテプス
2023年/日本/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/133分
日本公開:2024年7月12日(金)よりテアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
配給:ギャガ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
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