2024年11月8日より劇場公開される、2023年度のセザール賞で最多12部門のノミネートを果たしたフランス映画「動物界」から、新生物が親子を襲う緊迫した冒頭シーンの本編映像が公開された。
映像は、母親ラナの病院に見舞いに行く途中で、渋滞にはまる車の中の親子の会話から始まる。「今日が大事な病院の日だと知ってたろ」と声を荒らげる父の話を無視し、反抗期のエミールは車を降りてしまう。親子ゲンカが始まろうとしていたが、近くのトラックから何者かの鳴き声と暴れる音が聞こえてくる。車の扉が揺れた次の瞬間、頭に包帯を巻き大きな翼を持った、“新生物”とみられる男が放り出される。男性が2人がかりで押さえかかるが、羽根を持った男は暴れ続け、男たちを襲う。フランソワとエミールはとっさに車の影に身を潜めるが、新生物が親子に迫る。
動物化が進行し、人間でも動物でもない“新生物”になった者の謎めいた姿に迫るこのシーン。新生物になった者は次第に人間との意思疎通も難しくなり、人間に危害を加えぬよう隔離されてしまう。映像では、新生物に出くわしても、パニックを起こしたりすることはなく、携帯電話を取り出して撮影を始めるほど、日常化していることが見て取れる。
日常化している様子は、トマ・カイエ監督がコロナ禍を経て学んだことが反映されている。監督は、「パンデミックによって、人々がとても素早く変化にも順応できるという概念が証明されたと思う。ロックダウンのほんの数週間後には、イノシシの群れが誰もいない街の中心地で目撃されることも、繰り返し夜間外出禁止を経験することも、正常のことのように思っていたからね」と語っている。そのため、本作の荒唐無稽な病にすらも人間は素早く順応してしまうだろうと考え、病についての詳しい説明は劇中で一切描いていない。
「動物界」は、人間がさまざまな動物に変異する奇病がまん延している近未来を舞台とした作品。原因不明の突然変異によって、人類は徐々に体が動物と化していくパンデミックに見舞われる。“新生物”は、その凶暴性ゆえに施設で隔離されており、フランソワの妻ラナもそのひとりだった。しかしある日、移送中の事故によって、彼らが野に放たれる。フランソワは16歳の息子エミールとともにラナの行方を必死に探すが、次第にエミールの体に変化が出始める。人種差別、移民、ルッキズム、感染症など、現代的なテーマを内包した作品となっている。
最愛の家族を守り抜こうとするフランソワを演じるのは、「真夜中のピアニスト」「彼は秘密の女ともだち」などのロマン・デュリス。イレーヌ・ジャコブを父に持つポール・キルシェが、少しずつ動物化していくエミールの心の叫びを体現する。さらに、「アデル、ブルーは熱い色」のアデル・エグザルコブロスらが出演している。監督・脚本を務めたのはトマ・カイエ。
『動物界』作品情報
公開日 | 2024年11月8日公開予定 |
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キャスト | 監督:トマ・カイエ 出演:ロマン・デュリス ポール・キルシェ アデル・エグザルコプロス トム・メルシエ ビリー・ブラン |
配給 | キノフィルムズ(提供:木下グループ) |
制作国 | フランス(2023) |
年齢制限 | PG-12 |
上映時間 | 128分 |
公式サイト | https://animal-kingdom.jp/ |
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