2017年の軍事クーデターにより、独裁者ロバート・ムガベ大統領が辞任し、エメルソン・ムナンガグワが暫定大統領に任命されたジンバブエ共和国。映画『プレジデント』は、クーデター後初となる大統領選挙の行方を現職のムナンガグワに挑戦する野党MDC連合の党首ネルソン・チャミサの姿を通して記録したドキュメンタリーです。
監督は、ユニセフやユネスコのメディア・コンサルタントとしても活躍するデンマーク出身の女性監督カミラ・ニールセン。ジンバブエの新憲法制定に向けた権力闘争を追った前作「Democrats(民主主義者)」(2014年)はトライベッカ国際映画祭で最高賞を受賞し、高い評価を受けました。本作はその続編として位置付けられ、ジンバブエの民主化を求める国民と与党の激しい対立を臨場感を持って映し出し、サンダンス国際映画祭でワールドシネマ・ドキュメンタリー審査員特別賞を受賞しました。
ジンバブエの軍事指導者たちは、ムガベから政権を奪取した際、国民選挙で民主化を確保すると約束しましたが、何十年もの間、腐敗した政治が権力にしがみついてきました。ネルソン・チャミサは、与党を倒すためにジンバブエを変えようと奮闘しています。鉱物資源が豊富なジンバブエでありながら、国民は貧困に苦しんでいる現状を変えようとするカリスマ的な弁護士です。
選挙戦は暗殺予告や銃声といった緊迫した場面に包まれ、国内外から注目を浴びるサスペンス映画のような様相を呈しています。映画では、民衆が真の民主主義を勝ち取ることができるのか、権力闘争の核心に迫るカミラ・ニールセン監督が描き出されています。
【ギャラリ-】
【ストーリー】
1980年の独立以来、ムガベ大統領が37年間にわたりジンバブエ共和国の政権を支配していましたが、クーデターにより失脚しました。後継者としてZANU-PF党の代表であるムナンガグワが同国の第3代大統領に就任し、2018年に行われる大統領選において「平和で信用できる公正な選挙を行う」と公言しています。一方、野党のMDC連合は、モーガン・ツァンギライ党首のもとで選挙に備えていましたが、大統領選の4ヵ月前にツァンギライ党首が癌で死去し、若きカリスマとして知られるネルソン・チャミサが新党首として任命されました。
与党のZANU-PF党は変わらぬ支配を目論み、一方で長年の腐敗に疲弊し、国内政治体制の変革を求める民衆が野党MDC連合を支持しています。国内外のマスコミや国民が注目する中、国の未来を決める投票が始まりますが、その行方はまだ予断を許さない状況です。
『プレジデント』
7月28日(金)より池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。
7月29日(土)には、日本の劇場側はMCの汐月しゅう(元宝塚歌劇団星組)が登壇し、カミラ・ニールセン監督が生でオンラインでスクリーンに映し出される形で、舞台挨拶が開催される。詳細は決まり次第、公式SNSや劇場公式サイトで告知される。
【キャスト】
監督:カミラ・ニールセン
製作:シーネ・ビュレ・ソーレンセン、ジョスリン・バーンズ
製作総指揮:ファンディウェ・ニュートン、ダニー・グラバー
撮影監督:ヘンリック・ボーン・イプセン
編集:イェッペ・ボッドスコフ2021年/デンマーク・ノルウェー・アメリカ・イギリス/115分/カラー/シネマスコープ/英語、ショナ語
配給:NEGA2021
© Final Cut for Real, Louverture Films & Sant & Usant