第45回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)のコンペティション、PFFアワード2023で準グランプリを獲得した映画「ふれる」が、9月27日から10月10日にかけて東京・テアトル新宿で公開される。
セリフ指定をせずト書きのみの脚本で、監督と俳優が対話を繰り返しながら作られた「ふれる」。主人公は母を数年前に亡くし、たびたび奇行を起こして家族を困らせる小学4年生の美咲だ。不登校になった彼女を心配する周囲の大人たちをよそに、美咲は陶芸家の工房で遊ぶように。そんなある日、1人の女性が家にやって来る。その女性と父が親しげにする様子を見て、美咲はいずれこの女性が “新しい母”になることを悟る。そして美咲と周囲の人々の人生が少しずつ動き出していく。
監督・脚本・編集を担ったのは、今作が劇場デビュー作となる高田恭輔。「この映画では、痛くて、生々しい、子どもの頃の世界との関係を描こうと思いました。母という自分を無条件で愛して守ってくれる者のいない世界で、少女が人々と築く関わりの原風景を見つめようとした作品です」とコメントしている。キャストには鈴木唯、
高田恭輔 コメント
かつて、あらゆる物事に触れることが新鮮で、発見の連続だった幼少期。社会的な役割や地位のない、取り替えのできない自分がそこにいました。ありのままの自分であることで、周囲とうまく馴染めなかったり、誰かを傷つけることになったり、自分と自分以外の人たちとの関わり方の模索の時期でした。素直であることが時に自分自身も傷つけてしまう。そんな途方もないどうしようもなさから、みんな、いつからか人や世界と距離感を保ってうまくやり過ごすようになっていきます。自分の理解できる世界のなかで、生きていくようになります。この映画では、痛くて、生々しい、子どもの頃の世界との関係を描こうと思いました。母という自分を無条件で愛して守ってくれる者のいない世界で、少女が人々と築く関わりの原風景を見つめようとした作品です。
「ふれる」はテアトル新宿での上映後、全国でも順次公開される。