2025年3月14日(金)から3月23日(日)まで開催される「第20回大阪アジアン映画祭」の全ラインナップが決定。
今年、第20回の節目を迎え、史上最高の応募数の中からラインナップされた作品数は67作品(うち、世界初上映19作、海外初上映6作、アジア初上映4作、日本初上映31作)、上映作品の製作国・地域は、18の国と地域(バングラデシュ、中国、フランス、ドイツ、香港、インド、インドネシア、日本、カザフスタン、韓国、マレーシア、モンゴル、ノルウェー、フィリピン、台湾、タイ、アメリカ、ベトナム)が上映される。
すでに発表されたスペシャル・オープニング作品、第一弾ラインナップ、クロージング作品に続き、この度「コンペティション部門」、「特別注視部門」、「インディ・フォーラム部門」、特集企画<タイ・シネマ・カレイドスコープ2025>、<台湾:電影ルネッサンス2025>、<Special Focus on Hong Kong 2025>、「特別招待作品部門」が解禁となり、全ラインナップが揃った。
カザフスタンからは、スペシャル・オープニング作品のQ-POP(カザフスタンポップ)をフューチャーしたミュージカルエンタテインメント映画『愛の兵士』に続いて、TV局勤務のキャリアウーマンがプロパガンダになっていく報道、妻のいる男との恋愛、レズビアンで活動家の妹に疲弊していく様を鋭い視点とブラック・ユーモアで描く人間ドラマ『バイクチェス』(カザフスタン)がラインナップ。中央アジアで最も注目される、カザフスタン映画の現在が紹介される。
ゲイであることをクラス中に知られてしまった転校生が主人公の『君と僕の5分』(韓国)、中国の同性愛者を巡る日々をユーモアと皮肉を交えて描いた『イケメン友だち』(フランス)、同性パートナーとの死別を描いた『いばらの楽園』(タイ)、『All Shall Be Well(英題)』(香港)など、世代を問わない多様な関係を描くLGBTQを題材にした作品が新たにラインナップされた。
香港映画の歴史を塗り替える大ヒットを記録した『ラスト・ダンス <ディレクターズカット>』(香港)の世界初上映、キングオブP-POP(フィリピンPOP)グループ“SB19”のワールドツアーに密着した『PAGTATAG! ザ・ドキュメンタリー』(フィリピン)、幽霊がひとを怖がらせる特訓に励むオカルト・コメディ『鬼才の道』(台湾)、パロディ満載ぶっ飛びコメディ『ムエタイ・ハッスル』(タイ)、濃厚キャラ大集合の結婚詐欺ドタバタ喜劇『トロフィー・ブライド』(ベトナム)など、多彩なアジア映画が上映。
グランプリ(最優秀作品賞)、来るべき才能賞を競う「コンペティション部門」
『バイクチェス』
キャリアウーマンが恋人、家族、社会に感じる息苦しさをブラック・ユーモアに描き出した『バイクチェス』(カザフスタン、フランス、ノルウェー)、婚約者にフェイ・ウォンのコンサートチケットを取り上げられた女性が奇妙な男に出会う壮絶な純愛ストーリー『バウンド・イン・ヘブン』(中国)、ごく普通の家族に脈々と引き継がれる秘密を滑稽に描く『我が家の事』(台湾)、同じ団地に住む仲良しの女子高生の絆が揺らいでしまう青春の1ページが切ない『団地少女』(タイ)、デートアプリで男との逢瀬を繰り返す恋愛小説家が、学生時代の性被害を告発しようと持ち掛けられる『その人たちに会う旅路』(韓国)、若い漁師の保険金詐欺に手を貸した頑固爺さんの不器用な愛情が胸を打つ『朝の海、カモメは』(韓国)、音楽を通して出会ったかつての恋人が、時を経て再会するラブストーリー『ラスト・ソング・フォー・ユー』(香港)は、イーキン・チェンの若い頃をMIRRORのイアン・チャンが好演したことも話題。足の不自由な母との暮らしを通してバングラデシュの現在を描いた『サバ』(バングラデシュ)、野良犬しか仲間がいない孤独な男が霊柩車の運転手になったことで人生が変わりはじめる『サイレント・シティ・ドライバー』(モンゴル)は、大ヒットした『セールス・ガールの考現学』のセンゲドルジ・ジャンチブドルジ監督の新作だ。病院の御曹司に、一家総出で結婚詐欺を仕掛けるクセ強キャラ大集合のドタバタコメディ『トロフィー・ブライド』(ベトナム)、聴覚障がいをもつ3人の若者たちのエネルギー溢れる青春を描く感動作『私たちの話し方』(香港)、母と娘の運命を主軸に、静謐なモノクロ映像が同じ顔をもつふたつの女性の時間軸を交錯させていくトム・リン監督の新作『イェンとアイリー』(台湾)、風変わりな高校生男子・代々木ジョニーが繰り広げるマイペース青春ストーリー『代々木ジョニーの憂鬱な放課後』(日本)の全13作品が上映される。
特に注視しておきたい潮流、才能を厳選してピックアップした「特別注視部門」
『君と僕の5分』©gozip studio
クラスの人気者を好きになってしまったゲイの転校生の切ない青春を描いた『君と僕の5分』(韓国)、出稼ぎ先の台湾から帰国すると事業立て直しに失敗した借金地獄の家族が待ち受けていたドタバタ喜劇『そして大黒柱は‥‥‥』(フィリピン)、中国の同性愛者を巡る日々をユーモアと皮肉を交え、アイデンティティ、自由、政治を掘り下げて描いた『イケメン友だち』(フランス)、妖艶な女性の出現によりしあわせな家族にほころびが出始める『ブラインド・ラブ 失明』(台湾)、震災の傷跡が残る陸前高田を舞台にフィリピン人と日本人の異母姉妹の再生を描いた『この場所』(フィリピン、日本)、音楽が大好きな少女の日常が、母親が倒れたことで一変してしまう『ヴィレッジ・ロックスターズ2』(インド)のほか、短編作品を含め全15作品が並ぶ。
斬新で挑戦的な作品を紹介する「インディ・フォーラム部門」
高橋伴明監督(クロージング作品)、足立紳監督、アンドレアス・ハルトマン監督・ 森あらた監督、西崎羽美監督、柳明日菜監督、西田宣善監督、大河原恵監督、戸田彬弘監督、平松恵美子監督、宮崎大祐監督等、気鋭の監督の作品が揃った。ほか短編作品を含め全14作品が並ぶ。
特集企画<タイ・シネマ・カレイドスコープ2025>
『ムエタイ・ハッスル』
青年と祖母の愛情を描き、アカデミー賞の国際長編映画部門にタイ代表でショートリスト入りを果たした『Lahn Mah(原題)』(タイ)、スラム出身の若者が暴力に満ちた世界で友情と希望を見出す『青春2001』(タイ)、落ちぶれムエタイ選手が起死回生をかけて伝説の3人の師匠を探し出す、強烈なジョークと伝説のパロディの連打が爽快なぶっ飛びコメディ『ムエタイ・ハッスル』(タイ)、同性の婚約者を事故で亡くした主人公が、恋人の家族と繰り広げる愛憎劇『いばらの楽園』(タイ)は、俳優、シンガーソングライターなどマルチな才能を発揮するジェフ・サターが映画初出演で主演したことも話題に。30年前に父親が閃光に包まれ失踪した謎を追う、タイムリープ・エンタテインメント『タクリー・ジェネシス』(タイ)など、万華鏡の模様のように、それぞれが異なる個性を放つ魅力的なタイ映画が揃った。
特集企画<台湾:電影ルネッサンス2025>
『鬼才の道』©Activator Co., Ltd.
「人魚姫」の人魚を少年に再解釈した『破浪男女』(台湾)は、ヤン・ヤーチェ監督(『GF*BF』『血観音』)の最新作で、主演はいま最も注目されるウー・カンレン(『Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり』)。引っ込み事案な幽霊がひとを怖がらせる特訓をはじめる、笑って泣けるオカルト・コメディ『鬼才の道』(台湾)など、活況を呈する台湾映画の“今”を感じることのできる作品が上映される。
特集企画<Special Focus on Hong Kong 2025>
![](https://www.cinemart.co.jp/files/blog/article/2025/2/9987/HK02_All%20Shall%20Be%20Well_main.jpg)
パートナーが急死してしまった60代のレズビアンカップルに待ち受ける厳しい現実を描いた『All Shall Be Well(英題)』(香港)は、『ソク・ソク』のレイ・ヨン監督の最新作。マイケル・ホイとダヨ・ウォンが32年ぶりに共演し、香港で記録的大ヒットとなった『ラスト・ダンス』のディレクターズカットの世界初上映など、多様な顔を見せる香港映画の現在を映し出す作品が揃った。
アジアの華やかな話題作を紹介する「特別招待作品部門」
『PAGTATAG! ザ・ドキュメンタリー』©1Z ENTERTAINMENT, FIRSTLIGHT STUDIOS
キングオブP-POP(フィリピンPOP)グループ“SB19”のワールドツアーを追った『PAGTATAG! ザ・ドキュメンタリー』(フィリピン)、NCTのジェヒョン初主演作で日本の推理作家・高野和明の同名小説を韓国で映画化した『6時間後に君は死ぬ』(韓国、日本)の2作品が上映される。
暉峻創三(本映画祭プログラミング・ディレクター)コメント
「記念すべき第20回にふさわしい、豪華ラインナップが実現しました。過去回の大阪アジアン映画祭に入選した数多くの監督たちが、その最新、最高の新作を出品。そのなかには、かつて短編作家として入選した監督による長編デビュー作の、コンペ部門における世界初上映、海外初上映も含まれます(『我が家の事』『その人たちに会う旅路』)。一方で、アジア映画と世界の未来を照らし出す新トレンドにも要注目。主に新鋭の作品が揃う場だったインディ・フォーラム部門では、既に業界で名声を築いた監督が敢えてインディな座組で自由闊達な表現を実現した傑作が複数入選。また全部門・特集にわたって、既成の男女の性役割・関係性にとらわれない新しいあり方を示唆した作品が並んでいます。」
── 暉峻創三(大阪アジアン映画祭プログラミング・ディレクター)
第20回大阪アジアン映画祭(OSAKA ASIAN FILM FESTIVAL 2025)
上映会場:ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館
公式HP:https://oaff.jp主催:大阪映像文化振興事業実行委員会(大阪市、一般社団法人大阪アジアン映画祭、大阪商工会議所、公益財団法人大阪観光局、朝日放送テレビ株式会社、生活衛生同業組合大阪興行協会、株式会社メディアプラス)