8月18日(日)の夕方に愛知県・名古屋のミッドランドスクエアシネマでティーチインイベント付き上映に、久野遥子監督、山下敦弘監督、ヒロイン・かりんの声と動きを担当した愛知県出身の五藤希愛が登壇。続いて同日夜には大阪のTOHOシネマズ 梅田のティーチインイベント付き上映には久野遥子監督、山下敦弘監督が登壇し、これまでどこでも語られなかった制作エピソードも明かしました。
愛知・大阪イベント概要
日程: 8月18日(日)15:00の回
場所:ミッドランドスクエアシネマ(愛知)
登壇:久野遥子監督、山下敦弘監督、五藤希愛
MC:近藤慶一
日程:8月18日(日)18:00の回
場所:TOHOシネマズ梅田(大阪)
登壇:久野遥子監督、山下敦弘監督
MC:近藤慶一
愛知ティーチインイベント
名古屋のミッドランドスクエアシネマでの上映後に登壇した久野監督、山下監督、五藤希愛はみな愛知県に縁があるといい、知人も舞台挨拶に駆けつけているという久野監督は「父兄参観日のような恥ずかしさもあります。」、五藤は「地元なので安心感があります。」、山下監督は「同級生は誰も観に来てないけど(笑)、リラックスしています。」とそれぞれ名古屋での舞台挨拶について感想を話した。
ひとすじなわでいかない性格のかりんを演じた五藤は、役づくりについて聞かれると「あそこまで口は悪くないけど、気持ちには沢山共感できるところがあったから役づくりというのは特にしていなかった。」と撮影には等身大の姿で臨んだ様子。また「緊張したけどみんなが優しくしてくれたから安心してお芝居ができた。初めての映画撮影があんずでよかった。」と語り、さらにかりんの父親・哲也役の青木崇高は撮影していない時も父娘のように楽しく会話したといい、「本当にお父さんみたいだった。」と当時を振り返った。
撮影から2年が経ち現在14歳になったという五藤に両監督は「大きくなったねぇ~、と会うたびに親戚のような気持ちで言っている。(笑)」と話した。
客席から、森山さんが猫耳をつけ実写撮影が行われた件について聞かれると、山下監督は「普通のおっさんと少女に見えてしまうから僕からお願いした。最初はちょっとイヤそうだったかもしれないけど(笑)、貧乏神はふんどし姿だし、きのこのおっさんは傘を背負っていたりという変わった撮影現場なので森山くんも気にならなくなったと思う。」、久野監督は「アニメーションにする上で猫耳があることで顔の向きが分かりやすくなる効果があった。」と話し、実はあの猫耳がリファレンスとしても重要な役割を果たしていたことがうかがえた。
大阪ティーチインイベント
続いて大阪のTOHOシネマズ梅田でも久野監督と山下監督が登壇しティーチインイベントがスタート。
大阪での舞台挨拶について、大学時代を大阪で過ごした山下監督は「今年もすでに何回も来ているので懐かしくはないですが(笑)」と話し卒業以降も頻繁に大阪を訪れているそう。対して久野監督は「大阪は中学生以来です。すごく元気のある街だなあと思いました。」と新鮮な感想を述べた。
大阪での舞台挨拶にちなみ劇中の閻魔大王が関西弁というアイディアについて聞かれると、山下監督は「脚本のいまおかさんのアイディアで最初から閻魔大王は関西弁になっていて自然に受け入れていた。キャストの宇野祥平くんとも話し合いながらセリフは現場で変えたりもして、もう少しコミカルな部分があったが宇野くんのお芝居に合わせ怖い閻魔大王になった。」、久野監督も「その怖い閻魔大王を表現するようキャラクターも作っていった」と言い、迫力ある閻魔大王が誕生した経緯を明かした。またコミカルなセリフとして唯一残った「クーラーガンガンかけといてや」は、閻魔大王の怖いだけではない面も大事だと残す事になったと語った。
客席に向けMCから「閻魔大王の関西弁はどうでしたか?」と問いかけると客席は「うんうん」と頷いて、閻魔大王の関西弁に太鼓判を押すリアクションが見受けられた。
客席からかりんの母・柚季が地獄にいることについて質問がでると、久野監督は「そもそも仏教の考えでは女性が血を流すことなどから地獄に行くという考えもあるそう。ただ自分としては、かりんにとっては完璧なお母さんでも、人はいろんな側面があってそれは不自然ではなくて、そういう幅や余白がこの映画にはあっていいと思った。」と語った。また地獄を一度抜け出した柚季はこの後どうなるのかとの質問に山下監督は「地獄のルールでは地獄を抜け出すという重罪を犯していますので、一応スタッフとは意図を共有はしていますが、どう感じるのかはお客さんに委ねます」とこれから映画を観る人のために言及は避けました。
また、この日まで明かしていなかったエピソードとして、山下監督は「実は地獄で閻魔大王に脱走を報告しにいくシーンの眼鏡鬼と、ゴキブリからネズミ、ハト、カブトムシと伝達されるシーンのカブトムシの声、あとは海辺で遊ぶ親子の父親と実は3シーン演じてます。」と監督自身が演じたシーンがあることを明かした。
更に伝達のシーンは山下監督以外にも、ゴキブリを脚本のいまおかしんじ、ネズミを久野監督、ハトを美術監督のジュリアン・ドゥ・マンが担当(ジュリアンのアフレコはフランスで実施)したといい、MCからは「これが日仏合作です」と笑いを誘う一幕もあった。
ハトを演じるにあたりジュリアン氏が相当な練習を重ねたそうで久野、山下両監督は「ハトがうますぎて本物のハトにしか聞こえなかった。自分の演技が恥ずかしくなった」と語った。
最後に山下監督は「お母さんとかりん、母と娘の物語ではあるが自分はお父さんとかりんの関係性もすごく好きで、2回、3回観ると今度は父親への愛情も読み取れたりしてまた面白いと思うので是非この先もまた観てもらえたら嬉しい。」、久野監督は「山下監督の指導や役者さんのお芝居はもちろん、いろんな人たちの結晶のように時間がかかったけれど出来上がって、このように観てもらえて嬉しい。夏が終わりかけた時こそあんずちゃんを観るとよりいいのではないかとも思うので是非機会があったら劇場で観てもらえたら。」と締めくくった。
山下監督が演じた眼鏡鬼登場シーンの実写・アニメ比較画像と、実は日仏を横断してのスタッフたちによる声のリレーが行われていた動物たちからきのこのおっさんへの伝達シーンを新たにSNSでも公開中! |