映画

児童養護施設で惑いながらも成長する子どもたちを記録 「大きな家」公開決定

齊藤工が企画・プロデュースする、竹林亮監督の映画「大きな家」が、2024年12月6日より東京・大阪・名古屋で先行公開され、12月20日より全国順次公開されることが決まった。出演者のプライバシー保護のため、配信・レンタルは予定しておらず、劇場上映のみの公開となる予定。

「大きな家」は、とある中学校のクラス35人全員に密着した青春リアリティ映画「14歳の栞」を手掛けた、竹林亮監督による作品。東京のとある児童養護施設。子どもたちは親と離れ、血のつながりのない他の子どもや職員と日々を過ごしている。両親への思い、生活を身近で支える職員との関係性、学校の友だちとの距離感、施設を出たあとの暮らし。家族とも他人とも言い切れないつながりの中で育つうちに、子どもたちの葛藤はさまざまに変化していく。惑いながらも確かに成長していく子どもたちの姿と、それをやさしく包みこむあたたかなまなざしが描き出された作品となっている。

企画・プロデュースは齊藤工。約4年前に訪れたとある児童養護施設で、「あなたもまた、もう二度と来ない大人なんだね」とでも言わんばかりの子どもの目が忘れられなかったと語る齊藤が、「14歳の栞」の内容だけでなく、子どもたちを第一に配慮した上映方法やその姿勢に感銘を受け、旧知の仲である竹林監督に本企画を相談。齊藤が個人的に施設への訪問を重ね、信頼関係を築いてきた施設に密着するという貴重な機会を得て、監督も撮影期間に入る前から何度も定期的に施設を訪問し、子どもたちと交流を重ねていきながら、彼らの思いや葛藤、そして成長を記録した。

また、ハンバート ハンバートの「トンネル」が主題歌となることも発表された。

竹林亮監督、齊藤工(企画・プロデュース)、ハンバート ハンバート(主題歌)のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■竹林亮監督
この映画は、ある子どもたちのごく普通の日常を記録した物語です。彼らは、様々な理由で自身の親から離れて児童養護施設と呼ばれる場所で日常を送っています。 僕たちは、この映画を、出演してくれた皆のこれからの人生のお守りになるようにと願いながら作りました。彼らがもし、将来生きることに苦労するようなことがあった時に、またこの作品を観て、生きる力を呼び覚ますような存在になってほしい。そう願いながら、共に過ごした時間を記録し、編集をして一本の映画にしました。この映画を観てくださる方々には、これまで知らなかったすぐそこにある日常の中の「普通」の感覚の差分の中に、全ての人々にとって大切なものが隠れているのを目撃していただきたいです。同じ地域に暮らしているが、知っているようで、知らなかった葛藤を映画の主人公である子どもたちや職員の方々と共に感じ取り、感情を共有することで、より深く関心を持つための入り口として果たせる役割があるのではと考えています。

■齊藤工(企画・プロデュース)
試写が始まり、多くの反響を頂き、偶然から始まった本作が形になる事は必然になりつつあると実感しています。同時に皆様に制作の動機を聞かれる事も多く、この場を借りて改めて簡潔にお伝えさせて頂くと、約4年前に1日限りのイベントのスタッフとして訪れたとある児童養護施設の子が、帰り際に何とも言えない表情で私達大人を見ていました。「貴方もまた、もう二度と来ない大人なんだね」とでも言わんばかりのその目が忘れられず、時折、個人的に施設にお邪魔していました。“質より量”と言う表現は相応しく無いですが、『大きな家』を観てもらえたらわかると思いますが、彼ら彼女らと接するには、“会う回数”がモノを言う気がしました。元々は知らないおじさんである私に、徐々に色々な話をしてくれる子どもたちのこれまでの物語や、施設での日々を、多くの人に知ってもらいたいと願った矢先に竹林監督の『14歳の栞』という、劇場のみでの上映で被写体のプライバシーを守るという誠実な映画に出逢い、本作の企画が始まりました。
ハンバート ハンバートさんが「トンネル」という素晴らしい楽曲で、子どもたちや職員方、そして我々製作陣までも包み込み、光の方へ導いて下さり『大きな家』は完成致しました。
本作は”被写体ファースト”で非商業的な特殊な上映を目指しているのもあり、作品に共鳴して下さった方々のサポートを必要としています。
どうぞお力をお貸し下さい。

■ ハンバート ハンバート(主題歌「トンネル」)
大きな家に暮らす子どもたちや職員の皆さんの表情が、言葉が、余計な意味づけされずにそのまま手渡される。見終わった時には、説明できない気持ちで胸がいっぱいになる。なんだか分からないけど涙があふれてくる。 説明できないところが、この映画の誠実さなのだと思いました。登場する人たちのこんな空気を捉えられるまでには、映画チームのどんなにか丁寧なコミュニケーションがあったのだろうと思います。(佐野遊穂)

依頼をいただき映像を観せてもらい、子どもたちを追うカメラの自然で淡々とした姿勢に感銘を受け快諾しました。どんな曲をと考えていたときに、あの曲がぴったりじゃない?とうちのスタッフから提案されたのが「トンネル」です。映像を観る前に作った曲なのに歌詞やメロディが彼らの姿と重なり、これしかないと思いました。そんなわけで曲が決まり、竹林監督からの要望をアレンジに取り入れ、映画の最後の1ピースとなるべく完成しました。(佐藤良成)

【作品情報】
大きな家
2024年12月6日(金)より渋谷・ホワイトシネクイント、大阪・TOHOシネマズ梅田、名古屋・センチュリーシネマにて先行公開、12月20日(金)より全国にて順次公開
配給:PARCO
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