世界の動画マーケティングシーンにおいて注目を集めるブランデッドムービーの祭典『BRANDED SHORTS』が、記念すべき10周年を迎えるにあたり、特別なキックオフイベントが開催されました。米国アカデミー賞に公認された国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」(SSFF & ASIA)が主催し、企業や広告代理店、映画監督など約30名が集まり、「BRANDED SHORTSの未来」について語り合う貴重な機会となりました。
イベントの始まりに、映画祭代表の別所哲也氏が挨拶を行い、「BRANDED SHORTSはこの10年間で多様な映像体験を提供してきた。それゆえ、今後もさらに成長を続け、多様性を誇る映像文化を引き継いでいきたい」と力強く表明しました。そして、初代審査員長としてこの祭典を支えてきた高崎卓馬氏が壇上に立ち、彼自身の10年間の審査業務の感想を述べました。
高崎氏は、「最初の審査の際、ほとんどが広告のプロフェッショナルだった。しかし、映画監督とともに作品を審査することが何より楽しかった。BRANDED SHORTSは広告と映画の間に位置し、毎年選ばれる作品に変化が見られる」と振り返ります。
イベントでは、これまでのブランデッドムービーの流れについて、プロデューサーの諏訪慶氏が解説しました。1984年のApple社の伝説的広告がブランデッドムービーの始まりとされ、2000年代にはBMWフィルムズが世界を魅了。最近では、各所でショートドラマの台頭があり、企業の理念を表現する「HR動画」なども増加。業界全体のトレンドを掴むために、BRANDED SHORTSは必要不可欠な存在とされています。
その後、参加者は各テーブルに分かれ、「BRANDED SHORTSの未来」について議論を深めました。
例えば、音楽プロダクションのTimo Mitsuaki Otsuki氏は、現在の映像消費社会を分析し、視聴者が短いものを好む傾向が強まっていると指摘。短尺でも表現豊かなショートフィルムが映像コンテンツの多様性に寄与することを期待リました。
一方、2023年の観光映像大賞受賞作品を手がけた下田翼氏は、リンゴのプロモーションの例を挙げ、未来の映像は「なぜそれが重要か」について深く掘り下げる必要があると強調しました。このようなストーリーテリングが、将来的には消費者の行動を引き出すきっかけになることを期待しています。
また、デジタルマーケティング会社オプトの保木本彩夏氏は、広告が認識されることで視聴が終わってしまう現状を打破し、視聴者と商品との新しい接点を創出する可能性について意見を述べました。
イベントの締め括りには、別所氏と高崎氏が再び登壇。「BRANDED SHORTSの輪を広げ、多くの才能をこの場から発信していこう」と夢を語りました。
この10年間、BRANDED SHORTSはただの映像コンペを超え、企業とクリエイターを結ぶ重要なプラットフォームへと成長しています。第11回目以降、更なる飛躍が期待されるこのイベントの未来が楽しみです。











