映画化不可能といわれたSF界の金字塔フランク・ハーバートの大長編小説を、鬼才デヴィッド・リンチ監督が独自の映像美学で映画化した超大作。主演には、『ツイン・ピークス』(90)のデイル・クーパー役で知られるカイル・マクラクランを迎えた。しかし、最終的な編集権がスタジオ側にあったことから勝手な編集が施され、出来上がった映画はリンチにとっては不本意なものになったという逸話もある。
当初は、1971年に『猿の惑星』(68)の映画プロデューサー、アーサー・P・ジェイコブスが原作小説の映像化権を獲得し、企画が進められようとしていたが企画初期の73年に急死したため、プロジェクトは日の目を見ずして消え去った。その後、『エル・トポ』(70)の巨匠アレハンドロ・ホドロフスキーの手によって映画化を進めていたが、原作小説の濃密さを徹底して反映させようとしたため、上映時間が12時間を超え、その的外れなスケールゆえ資金面の理由から撮影開始に至ることなく挫折した。そして近年、ティモシー・シャラメを主演に迎え、『メッセージ』(17)や『ブレードランナー 2049』(17)のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によってリメイクされ、『デューン 砂の惑星PART2』が2024年3月15日(金)より全国公開となる。
デヴィッド・リンチ版『デューン/砂の惑星』は、巨額の製作費を回収できず赤字となったが、今では映画ファンのあいだでカルト作として崇拝されている。砂虫(サンド・ウォーム)の恐ろしい造形や、登場人物の醜悪な容姿。そして未知のクリーチャー的なキャラクターたち。まさに全盛期を迎えつつあったデヴィッド・リンチワールドが詰め込まれた作品であり、細部にまでこだわったリンチが生み出す独特のイメージは非常に魅力的であり、一度観たら忘れられない作品になるだろう。是非改めて見返してみてはいかがだろうか?
鑑賞前に知っておくと、より映画を楽しめるトリビアをご紹介!
日本公開から40年――。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ティモシー・シャラメ主演による
「リメイク3部作」が注目を浴びるなか、本作にまつわるトリビアが多く語られてきました。
その中でも有名なものをピックアップしてご紹介いたします!
【トリビア①】
デヴィッド・リンチが監督を務める前には、リドリー・スコットが監督に内定していました
が、脚本をめぐる問題があり降板。その後『ブレードランナー』のオファーを受けたという
話もあります。
【トリビア②】
これはかなり有名な話ですが、本作の最終編集権が監督自身になかったことから、リンチに
とって出来が不本意なものになったと言われています。後に未公開シーンを多数追加した
テレビ放映用の再編集版が製作されましたが、サウンドデザインなど納得がいかないことが
多々あったため、リンチは監督クレジットを拒否し、匿名監督名のアラン・スミシー名義
として発表されました。
【トリビア③】
デヴィッド・リンチが監督を打診された当初、原作のことを全く知らず、“デューン”を
“ジューン(6月)”と聞き間違えて認識していたと言います。
【トリビア④】
本作の格闘コーディネーターには、シュワルツェネッガーをはじめ多くのハリウッド俳優に
空手を指導してきた山崎清司さんという日本人空手家が起用されています。
【トリビア⑤】
壮大過ぎて理解しにくい話を始めるイントロダクションには、「スター・ウォーズ」の様に
テロップで説明する案も出ましたが、リンチはあえて“原作どおり”にイルーラン姫が語る
ことにこだわったと言います。
【トリビア⑥】
不気味な造形が印象的なギルド・ナビゲーターは、実は原作では登場しておらず、続編
「砂漠の救世主」の冒頭にのみ登場するキャラクターであるものの、スパイスの過剰摂取で
奇形化したモンスターとしてあえて登場させたと言われています。
【トリビア⑦】
後半に出てくる生まれながらにしてあらゆる記憶と知識を持つエイリア(アリシア・
ウィット)ですが、リンチが後に手掛けた大ヒットドラマ「ツイン・ピークス」の
ドナの妹役として登場していたりします。
これらのトリビアを知ることでSF映画の金字塔『デューン/砂の惑星』をより楽しめる
はず。“創造主”デヴィッド・リンチのこだわりが詰まった伝説の超大作「テアトル・クラ
シックス ACT.4『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版」は8月2日(金)より公開。
【特別興行料金】
一般・シニア:1,200円
学生(大学・専門・高校):500円 ※要学生証提示
HC割引(付き添い1名様まで):1,000円
株主優待(提示割引証):1,100円
※各種割引、サービスデー適用。
※株主ご招待券・各種招待券による無料鑑賞、各種映画鑑賞券(映画共通鑑賞券)は使用不可。
- 監督・脚本
- :デヴィッド・リンチ
- 原作
- :フランク・ハーバート
- 出演
- :カイル・マクラクラン、ユルゲン・プロホノフ、フランチェスカ・アニス、マックス・フォン・シドー、ショーン・ヤング、パトリック・スチュワート、スティング、ホセ・ファーラー
- 製作
- :ラファエラ・デ・ラウレンティス
- 製作総指揮
- :ディノ・デ・ラウレンティス
- 撮影
- :フレディ・フランシス
- 編集
- :アントニー・ギブス
- 音楽
- :ブライアン・イーノ、TOTO