映画

イタリア映画祭2025、開催決定&ラインナップ発表

2001年に始まり、毎年春の恒例イベントとして映画ファンに親しまれてきたイタリア映画祭。ついに25周年のメモリアルイヤーを迎えた、「イタリア映画祭2025」の開催が決定した。併せて上映作品のラインナップが発表された。

今年も例年どおり、東京会場は有楽町朝日ホール、大阪会場はABCホールの2拠点での開催となる。東京では日本未公開の新作11本と旧作1本の計12本が公開される。

映画祭での日本初上映によって、『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』『ドマーニ! 愛のことづて』といった重要な作品の日本劇場公開のきっかけとなってきたイタリア映画祭。今年の注目作品は、第2次世界大戦末期のアルプスの高地にある山間の村ヴェルミリオを舞台に、地元教師の家族間の複雑な関係や秘密、戦争の影響を繊細に描き、ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞、さらに米アカデミー賞®国際長編映画賞のイタリア代表にも選ばれた『ヴェルミリオ』。1918年のイタリアを舞台に戦争の非人道的な現実とそれに対峙する医師たちの姿を描いた、巨匠ジャンニ・アメリオ監督の最新作でヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品された『戦場』。国民的な議論を引き起こしたある少年の実話を女性監督マルゲリータ・フェッリが映画化し、2024年のイタリア映画を象徴する作品の1つとなった『ピンクのパンツを履いた少年』など。その他にも、スター俳優トニ・セルヴィッロとエリオ・ジェルマーノが共演する『シシリアン・レターズ』、2025年のイタリア映画界No.1ヒット作『狂おしきマインド』などバラエティーに富んだラインナップで、どれも見逃せない作品ばかり。

さらにイタリア映画祭25周年の節目を迎えたことを記念し、「イタリア映画祭2011」での上映以来、国内では鑑賞することができなかった『はじめての大切なもの』の上映も決まっている。『人間の値打ち』のパオロ・ヴィルズィ監督の隠れた傑作として知られ、イタリアトップ女優のミカエラ・ラマッツォッティの出世作でもある。

イタリア映画祭2025 開催概要

▼東京会場
会期:5月1日(木)~5月6日(火・祝)
会場:有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン11階)
主催:朝日新聞社、イタリア文化会館、チネチッタ/特別後援:イタリア共和国大統領/後援:イタリア大使館

※ チケットは4月5日(土)12:00からあさチケ(https://l-tike.com/st1/asahi-id-top-29、外部サイト)にて発売。
(システムの都合上、座席を選択して購入ができるのは、4月6日[日] 0:00からになります。)

<前売券(オンライン)>1回券:一般1,500円/学生1,200円
<当日券(オンライン)>1回券:一般1,900円/学生1,600円
<当日券(会場販売)>1回券:一般2,200円/学生1,900円

▼大阪会場
会期:5月10日(土)~5月11日(日)
会場:ABCホール(大阪府大阪市福島区福島1-1-30)
主催:朝日新聞社、イタリア文化会館-大阪、チネチッタ/特別後援:イタリア共和国大統領/後援:イタリア大使館、イタリア領事館

※ チケットは4月12日(土)12:00からあさチケ(https://l-tike.com/st1/asahi-id-top-29、外部サイト)にて発売。
(システムの都合上、座席を選択して購入ができるのは、4月13日[日] 0:00からになります。)

<前売券>1回券:一般1,400円/学生1,100円
<当日券>1回券:一般1,800円/学生1,500円
<当日券(会場販売)>1回券:一般2,100円/学生1,800円

イタリア映画祭2024 公式サイト

上映作品ラインナップ

A.『ロミオはジュリエット』(原題:Romeo è Giulietta)

(2024年)

監督:ジョヴァンニ・ヴェロネージ
出演:セルジョ・カステッリット、ピラール・フォリャーティ、マルゲリータ・ブイ

イタリア映画のヒットメーカーの一人であるヴェロネージ監督の新作は、シェイクスピアの演劇を題材に、現代的なテーマを盛り込んだコメディー。著名な演出家フェデリコは、自身の名声の頂点を飾るため、キャリアを華々しく締めくくる作品として『ロミオとジュリエット』を上演しようとしている。そのオーディションでヴィットリアはひときわ目立つが、過去の失敗が原因で役を得ることができない。それでも彼女は舞台に立つことを決意し、友人の助けを借りて裏の手を使う。
イタリアゴールデングローブ賞最優秀コメディー賞を受賞。

B.『隣り合わせの人生』(原題:La vita accanto)

(2024年)

監督:マルコ・トゥッリオ・ジョルダーナ
出演:ソニア・ベルガマスコ、パオロ・ピエロボン、ヴァレンティーナ・ベッレ

マルコ・ベロッキオが映画化を企画し、脚本を手がけ、最終的に名匠ジョルダーナ(『輝ける青春』)に監督を提案した本作は、ゆがんだ家族関係を描く心理ドラマ。1980年代初頭のヴィチェンツァ。裕福な若い夫婦に待望の娘レベッカが誕生する。しかし、レベッカの顔は大きなあざで覆われており、そのあざが耐えがたい母は母性を拒み、愛情を注げなくなっていく。思春期に苦しみながら成長するレベッカだが、名高いピアニストのおばに導かれ、並外れた音楽の才能を開花させていく。
ロカルノ映画祭アウト・オブ・コンペティション部門でプレミア上映。

C.『戦場』(原題:Campo di battaglia)

(2024年)

監督:ジャンニ・アメリオ
出演:アレッサンドロ・ボルギ、ガブリエル・モンテジ、フェデリカ・ロゼッリーニ

巨匠アメリオ(『家の鍵』『ナポリの隣人』)が、第一次世界大戦の終息を迎えようとしている1918年のイタリアを舞台に、戦争の非人道的な現実とそれに対する医師たちの複雑な姿勢を描いたドラマ。軍病院で働く2人の医師、ステファノとジュリオは大学時代の友人だが、重傷を追って前線から運ばれてくる負傷兵への対応は対極的だった。そして、看護師アンナの登場が2人の感情的な対立を深める。
スター俳優、アレッサンドロ・ボルギが主演を務め、マルコ・ベロッキオが制作に参加。ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品。

D.『ファミリア』(原題:Familia)

(2024年)

監督:フランチェスコ・コスタービレ
出演:フランチェスコ・ゲーギ、バルバラ・ロンキ、フランチェスコ・ディ・レーヴァ

イタリア映画の新世代で注目を集める監督の一人、コスタービレの長編2作目は、心理スリラー、ホラー、社会派ドラマといった異なるジャンル映画の要素が融合したダークな家族ドラマ。2000年代初頭のローマ。ルイージ、通称ジジは、兄と母と共に暮らしている。母は暴力的な父と別れ、ジジは極右グループに関わり、そこに家族のような絆を感じていた。しかし、父が刑務所から出所し、再び彼らの前に現れることで、ジジは将来に関わる重要な決断を迫られることになる。
ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門最優秀男優賞を受賞。

E.『ヴェルミリオ』(原題:Vermiglio)

(2024年)

監督:マウラ・デルペーロ
出演:トンマーゾ・ラーニョ、ジュゼッペ・デ・ドメニコ、ロベルタ・ロヴェッリ

女性監督デルペーロの長編2作目は、第2次世界大戦末期の1944年、アルプスの高地にある山間の村ヴェルミリオを舞台に、地元教師の家族間の複雑な関係や秘密、戦争の影響を繊細に描いた作品。戦地から脱走した兵士ピエトロが村にやって来る。やがて、ピエトロと教師の長女ルチアはお互いに強く惹かれ合うが、平穏な家族の日常に波紋が広がる。
美しい映像美とリアリズム溢れる演出が称賛された本作は、ヴェネチア国際映画祭で次席の銀獅子賞(審査員大賞)を受賞し、米アカデミー賞®国際長編映画賞のイタリア代表にも選ばれた。

F.『シシリアン・レターズ』(原題:Iddu)

(2024年)

監督:ファビオ・グラッサドニア&アントニア・ピアッツァ
出演:トニ・セルヴィッロ、エリオ・ジェルマーノ

シチリア出身のグラッサドニア&ピアッツァのコンビ(『シシリアン・ゴースト・ストーリー』)による3作目は、スター俳優T・セルヴィッロとE・ジェルマーノを主役に迎えた犯罪ドラマ。2000年代初頭のシチリア。マフィア絡みで数年間服役し、政治家としてのキャリアを失ったカテッロのもとに、情報機関から協力の依頼が舞い込む。それは、昔から知っている最後のマフィアの大ボスで逃亡中のマッテオを捕まえる手助けを求めるものだった。カテッロはこのチャンスを逃さず、再び表舞台に立とうと決意する。
ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品。

G.『にもかかわらず』(原題:Nonostante)

(2024年)

監督:ヴァレリオ・マスタンドレア
出演:ヴァレリオ・マスタンドレア、ドロレス・フォンシ、ラウラ・モランテ

イタリア映画界を代表する名優の一人であり、脚本や制作にも携わるヴァレリオ・マスタンドレアの監督第2作は、昏睡状態の患者が収容されている病院を舞台にした独創的でシュールなロマンティック・コメディー。ある男は長期間入院しており、病院は快適で自由に感じられる場所で、日々は何事もなく過ぎていった。ある日、新しい女性患者が病院に入院してくる。落ち着きがなく、怒りっぽい彼女との出会いが、彼の平穏な日常を一変させる。
ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門オープニング作品。

H.『ディーヴァ・フトゥーラ』(原題:Diva Futura)

(2024年)

監督:ジュリア・スタイガーウォルト
出演:ピエトロ・カステッリット、バルバラ・ロンキ、デニーズ・カペッツァ

女性監督スタイガーウォルトの長編2作目は、1980年代から90年代のポルノ業界を駆け抜けた一人の男と彼のディーヴァたちの成功と挫折を描く。エージェンシー「ディーヴァ・フトゥーラ」を運営するリッカルド・スキッキは、自由恋愛の名のもと、ポルノを通じて大衆文化に革命をもたらそうとした。スキッキはモアナ・ポッツィやチッチョリーナなどのポルノ・スターを生み出し、商業的に成功を収める。ディーヴァたちは政治の世界にも進出し、リッカルドたちの夢は叶ったかのように見えた。
ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品。

I.『ピンクのパンツを履いた少年』(原題:Il ragazzo dai pantaloni rosa)

(2024年)

監督:マルゲリータ・フェッリ
出演:クラウディア・パンドルフィ、サムエレ・カッリーノ

国民的な議論を引き起こしたある少年の実話を基に映画化された、女性監督フェッリの長編第2作。大きな話題を呼んで大ヒットを記録し、2024年のイタリア映画を象徴する作品の1つとなった。アンドレアは明るい性格の少年で、学校では優秀な成績を収め、親とも良好な関係を築いていた。学校で最も人気のあるクリスチャンと親友になるが、一番仲の良いサラはアンドレアにクリスチャンの危険性を気づかせようとする。ある日、アンドレアは母親から赤いズボンを贈られる。洗濯の失敗でピンクに変色してしまうが、それを履くことにする。

J.『狂おしいマインド』(原題:Follemente)

(2025年)

監督:パオロ・ジェノヴェーゼ
出演:エドアルド・レオ、ピラール・フォリャーティ

名匠パオロ・ジェノヴェーゼ監督(『おとなの事情』)の最新作は、男女の初デートに焦点を当て、2人の心に深く入り込むロマンティック・コメディー。ピエロとララは、彼女のアパートでディナーを共にする。平静を装う2人だが、初デートということもあり、内心では不安と緊張に満ちている。2人の心の中にはそれぞれ理性的だったり本能的だったり様々な人格の声が存在し、議論や対立を繰り広げながら、最終的に彼らの行動を導こうとする。イタリアで今年2月に公開された本作は、2025年公開作の中でNo.1のヒットを記録。

K.『動物誌、植物誌、鉱物誌』(原題:Bestiari, erbari, lapidari)

(2024年)

監督:マッシモ・ダノルフィ&マルティーナ・パレンティ

ユニークな視点で自然界を探求し、神秘と詩的な映像美に満ちあふれた珠玉のドキュメンタリー大作。動物、植物、鉱物に焦点を当てた3部構成で描かれ、自然と人間、それらの関係について見つめ直す。第1部では、アーカイブや個人のフッテージを通じて、映画における動物の描かれ方を探る。第2部は、世界最古のパドヴァ植物園内を観察する。第3部は、石がどのように人間の歴史や文化に結びついてきたのかを追究する。
ヴェネチア国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門でプレミア上映され、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭で最優秀監督賞を受賞。

イタリア映画祭25周年記念上映
L..『はじめての大切なもの』 原題:La prima cosa bella)

(2010年)

監督:パオロ・ヴィルズィ
出演:ミカエラ・ラマッツォッティ、ステファニア・サンドレッリ、ヴァレリオ・マスタンドレア

ヴィルズィ監督(『人間の値打ち』)の日本劇場未公開の傑作。1971年、若く美しいアンナは、トスカーナのリヴォルノで母親が対象のコンテストで女王に選ばれる。しかしそのことが男たちの注目を集め、嫉妬深い夫の疑惑や息子の困惑を招き、家族は危機的な状況に陥る。天真爛漫で楽観的な母と、その母に反感を持つ息子の微妙な関係を、過去と現在を行き来しながら笑いを交えて描いた本作は、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の主演女優賞(M・ラマッツォッティ)や主演男優賞(V・マスタンドレア)などを受賞し、米アカデミー賞®イタリア代表にも選ばれた。