映画

『War Bride 91歳の戦争花嫁』舞台あいさつ

登壇: 監督:川嶋龍太郎/ゲスト:奈緒(女優)

俳優の奈緒が23日、都内のヒューマントラスト渋谷で行われた映画『War Bride 91歳の戦争花嫁』の上映後舞台あいさつに登壇した。

TBSドキュメンタリー映画祭2025で上映された本作は、1951年に20歳でアメリカ軍の兵士と結婚し、「戦争花嫁」として渡米した桂子・ハーンさんの人生を描いた作品である。激動の時代を生き抜いた彼女の生き様や家族との関係、苦悩、日常を、当時の社会情勢とともに映し出している。

戦後80年を迎える今夏には、本作を原案とした舞台『WAR BRIDE -アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン-』が上演されることが決定しており、桂子役を奈緒が務める。

主演を務める奈緒は、舞台のオファーを受けた後に映画を鑑賞し、「桂子さんの役を演じることができるのは光栄」とコメントした。また、「戦後80年という節目に、自分と同世代の人々とともに深く考えられる題材だと感じ、責任を持って最後まで演じたい」と意気込みを語った。

1月には渡米し、桂子・ハーンさん本人と対面。奈緒は「さまざまなお話を伺い、ご家族の皆さんからも多くの思い出を聞かせていただいた」と振り返った。また、市長との対話の機会も得て、「桂子さんがこの地でどれほど多くの人々に愛されているのかを肌で感じ、温かい時間を過ごすことができた」と述べた。

奈緒は桂子・ハーンさんとの対面に際し、楽しみな気持ちとともに、役を受け入れてもらえるかという不安もあったことを明かした。しかし、「本当に喜んでくださった」とし、桂子さんが街中で「今度、舞台化してくださる奈緒さんよ」と紹介してくれたことを振り返り、「本当にうれしかった。ホッとしました」と安堵の表情を見せた。

舞台の上演に向けて、奈緒は「桂子さんはお花が大好きなので、今日はお花柄の衣装を選びました」と説明。当時は好きな花を自由に選ぶことが難しかった時代背景に触れ、「今、自分がなぜこうした時代に生きているのかをしっかりと考え、同世代や希望ある若い世代にも伝えられるように、一生懸命舞台で表現していきたい」と意気込みを語った。

川嶋監督は、桂子・ハーンについて「私の叔母である桂子・ハーンは、とても優しく、芯のある人です。20歳でアメリカ・オハイオに渡り、70年以上経った今も、日本とアメリカをつなぐ活動を続けています」と紹介。その上で、「この芯の強さを演じられる女優として、奈緒さんしかいないと思いました。演じていただけて光栄です」と語った。

川嶋監督は、桂子・ハーンに「奈緒さんを『舞台で主演を務める方だよ』と紹介しましたが、最初はピンときていなかったようです。しかし途中で『もしかして、すごく有名な女優さんなのでは?』と気づいた様子で、驚いていました」と明かした。奈緒は「桂子さんは本当に喜んでくださり、『今度、舞台化してくれる奈緒さんよ!』と街中でたくさんの人に紹介してくれました。本当にうれしかったですね」とエピソードを語った。

川嶋監督は、ドキュメンタリー制作について問われると、「私は普段、ドラマ制作部でフィクションの物語を手がけていますが、ドキュメンタリーは真実を伝える場だと考えています。今年は戦後80年という節目の年であり、この機会に真実の物語をしっかりと伝えていきたい」と語った。

奈緒は、ドキュメンタリーに対する自身の考えについて「ドキュメンタリーは、見るべき作品だと感じています。私は普段エンターテインメントの制作に関わっていますが、ドキュメンタリーは現実を映し出すものです。日本は映画やアニメなど、創造力を生かした作品づくりに優れた国ですが、だからこそ、時には現実と意識的に向き合うことで、私たちはより豊かになれるのではないかと思います」と述べた。

『TBSドキュメンタリー映画祭 2025』

3月14日(金)〜4月3日(木) 東京・ヒューマントラストシネマ渋谷
3月28日(金)〜4月10日(木) 大阪・テアトル梅田
3月28日(金)〜4月10日(木) 愛知・名古屋センチュリーシネマ
3月28日(金)〜4月10日(木) 京都・アップリンク京都
3月28日(金)〜4月10日(木) 福岡・キノシネマ天神
4月5日(金)〜4月11日(金) 北海道・シアターキノ

公式サイト:https://tbs-docs.com/2025(外部サイト)
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