昨年末、ユン大統領の「非常戒厳」宣言で再び注目を浴びた光州事件。『KCIA 南山の部長たち』『ソウルの春』『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』に続き、韓国現代史の闇を市井の人々の視点で光州事件を描く『1980』が邦題『1980 僕たちの光州事件』として、4月4日(金)より、シネマート新宿ほか全国公開が決定した。
併せてポスタービジュアルも解禁となった。
『ソウルの春』から5ヵ月、小さな幸せを夢見た家族をのみ込んだ大きな悲劇
『KCIA 南山の部長たち』では長年独裁者の座に君臨したパク・チョンヒ大統領の暗殺事件を、『ソウルの春』ではその直後に起きたチョン・ドゥファンによる軍事クーデターを、それぞれ史実を基にしたフィクションとして傑作映画に仕立て上げ大ヒットに導いた韓国映画界。そんな中、忘れてはならないのが『ソウルの春』で権力の座を簒奪した軍事政権が引き起こした歴史的悲劇「光州事件」だ。先の2作品と同じく大ヒットを記録した『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』で描かれたのは、民主化を叫ぶ善良な市民たちを虐殺する軍人たちの姿を、世界に伝えなければという使命感に目覚めてゆくタクシー・ドライバーとドイツ人記者のエモーショナルな姿だった。
本作はその事件のど真ん中に生活をしていた「ごく普通の家族」の姿に焦点を当て、権力が市民の小さな幸福をいかにして踏みにじったのか、そして悲劇の中にあっても大切な人を守りたいと願う思いがいかに尊いものであるかを、時にユーモアを交えながらも切々と描いてゆく。涙なくしては語れない韓国現代史劇の新たな傑作映画がここに誕生した。
この度解禁されたポスタービジュアルには、市民と警察が混乱の中入り乱れている街中で、道の中央に家族で並び何かを訴えかけるかのように立ち尽くす姿が印象的に映し出される。「ねえ、なんで――?」というシンプルだが、怒りや悲しみがダイレクトに伝わってくる言葉と、ささやかな幸せを望んでいただけなのに、権力に振り回され希望を失いかけるが、それでも生きていくという力強さが家族の目の奥で光るビジュアルとなっている。
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未だに収まることを知らない、ユン大統領の「非常戒厳」宣言騒動。なぜ本土を揺るがすほどの騒ぎとなったのか? これまで当事者目線で描かれることの多かった光州事件を市井の人々の視点で描いた、涙なくしては語れない『1980 僕たちの光州事件』は、4月4日(金)よりシネマート新宿ほか全国公開。
ストーリー
1980年5月17日。チョルスの祖父は念願だった中国料理の店をオープンさせる。父親はどういうわけか家にいないけれど、チョルスの大好きな幼馴染のヨンヒや優しい町の人たちに祝福されて、チョルスと家族は幸せに包まれていた。しかし輝かしい未来だけを夢見る彼らを、後に「光州事件」と呼ばれる歴史的悲劇が待ち受けていた。
(原題:1980、2024年、韓国、上映時間:99分)
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キャスト&スタッフ
監督・脚本:カン・スンヨン
出演:カン・シニル、キム・ギュリ、ペク・ソンヒョン、ハン・スヨン、ソン・ミンジェ