完成披露上映会
日時:6月1日(土)
場所:新宿ピカデリー
登壇:松下奈緒、杉野遥亮、山村隆太(flumpool)、池上季実子、大谷健太郎監督
同作は、お茶の名産地である岡山・美作地域を舞台に、ピアニスト青江里香と茶葉屋を営む兄弟が織りなすドラマを描いたラブストーリー。
大谷監督が、日本デンマーク映画祭2024(Japan-Denmark Film Festival 2024)にて今作が「観客賞」を受賞したことを発表すると、会場からも大きな拍手に包まれた。
松下は、この作品について「私の子どもの頃から好きだったことを全部かなえてもらった作品」と表現しつつも、「正直、大変でした。なんですけどその気持ちが里香とリンクする部分が大きかったで、気持ちも理解できましたし、役が味方してくれた部分もあり」と振り返りました。
一方で、「その分、気持ちも理解できましたし、監督と一緒に撮影前に美作(みまさか)に入り、いろんなものを見せてもらえたのは演じる上でも心の支えになりました」と語りました。
同席した大谷監督は「松下さんがピアノと作曲が一体となった作品は他になく、お願いしました。『この作品なら』ということで出ていただいて、ほとんど松下さんのその才能に乗っかって作った作品です」と笑顔でコメント。
松下は「台本に『今までにない一番美しい曲』と書かれていて」と笑い、「今までに経験したことのない気持ちですごく曲を書かせてもらったので、非常に心に残る作品になりました」と話しました。
杉野は、現場の様子について「松下さんも山村さんも現場で初めましてで、松下さんがいらっしゃると、監督が穏やかでニコニコしていてるんで、『松下さんのこと好きなんだな』と感じました」と明かし、会場の笑いを誘いました。「それは、遣りやすかったです。」と語りました。
現場であまり山村と話をしなかった杉野は、その距離感が結果的に映画に良い影響を与えたかもしれないと語りました。それに対し、山村は「1か月くらい、岡山で過ごしたので、僕は結構、仲良くなりたかったんですけど、杉野くんのプロ意識があり楽屋で、あんまり仲良くなりすぎると役柄的に響いてくるから、お互い撮影が終わるまでは、ちょっと険悪な仲でいたというか、わざとそうしてたと信じてるんですけど」と冗談めかしながら会場の笑いを誘いました。2人関係を考慮して松下が「どうなんですか?そこは」とフォローしました。しかし、杉野は「別にそんなこと、あんまり意識してなかったんですけど」杉野が自分の気持ちを伝えようとするたびに言い訳のようになり、会場はさらに笑いに包まれ、和やかな雰囲気となりました。
杉野は、「山村さんも普段、歌などで、ストイックな印象があったので、僕も頑張ろうと思うところがありました。」と言葉を付け足しました。
里香のかつての恋人・真中淳也を演じた山村は、初の映画出演について「素人が出て良いのか」と不安を抱いていたことを明かしました。役が夢を諦めそうになる人物で、「(役が)“自分だな”」と思ったという山村は、自身がバンドを辞めなければならなかった過去と重なる部分があり、それが出演を決めた要因だったと語りました。
役者経験自体はあるものの、映画は今作が初の山村。自分の人生をかけて役へ向き合ったと言い「人と人がぶつかったり寄り添ったりするのは、決して怖いことじゃないということを伝えてくれる映画」と、この映画の魅力を語った。
池上は、「地方ロケのおかげで、みんなが作品に入り込むきっかけになりました。東京での撮影だと、家に帰ってしまいがちですが、地方ではみんながその場に腰を落ち着けて、作品に集中できる環境が整っていました」と語りました。
さらに、「美作についてですが…」と切り出し、「正直、何もないんですよ。美しい自然と温泉だけなんです。でも、それがかえって作品を語り合ったり、本を読み直したり、その空気感を感じるには最適だったと思います」と続けました。
また、「正直に言って、役について監督とあまり自分の役のととで話をしていないことに嫉妬しています」と大谷監督に対して冗談交じりに抗議しました。これに対し、大谷監督は「とても緊張していました。だって、憧れの大女優ですから」と答えました。
池上は、「兄弟役の二人が早めに岡山ロケに入っていると聞いて、『主人の私がいないのはおかしいでしょう』と思い、本来のロケ開始よりも2~3日前に入って、雰囲気を噛みしめてから撮影に臨みました。地方ロケはいいですね」と明かしました。
本作の主題歌「いきづく feat. Nao Matsushita」では、山村は作詞を担当し、松下奈緒とのデュエットも実現しました。
その曲について
山村は「撮影が終わってから主題歌を担当することが決まりました。これまでも主題歌を書かせてもらいましたが、自分がここまで演じて魂を宿らした映画に反映させた曲を書くのは初めてで、これまでで一番の熱量が高くなりました。」と振り返り。松下は「初めて曲を聴いた時、『こうゆことを考えていたんだ』という見えないメッセージのようなものを感じ。映画の中では元恋人同士という設定ですが、同じシーンが少なく、笑い合う瞬間もなかったので、曲を聴いて初めて『これでピリオドをちゃんと打てたのかな』というメッセージが込められていて感動しました。主題歌があって、映画が完成したと感じました」と語りました。
また、杉野が演じる“真中渓哉”は、青江里香(松下)や兄・淳也(山村)に対して憧れに近い気持ちを抱いているという設定があるため、イベントでは「みんなが憧れている人や物」を紹介するコーナーがありました。
松下がフリップに書いたのは山村の名前で「面と向かって言うのは少し恥ずかしいのですが」と前置きしながら、「アーティストであり、芝居もこなし、この主題歌の歌詞に様々な想いを込めて書かれるという才能豊かなところに憧れます。本当に素敵だと思います」と理由を説明しました。池上は「スローライフ」、山村は恐縮しながら、自分のフリップに「雑談力のある人!」と書いたことを少し恥ずかしそうにしつつ、杉野のフリップに書かれた「犬」にツッコミを入れ、「犬って何ですか、それ!」と笑いを誘い、
杉野は、「犬でもてんとう虫でも何でも良かったんです。見ていると自由に生きていて、笑いたい時に笑い、吠えたい時に吠える。人間もそんな風に生きられたらいいのになと思ったんです」と意図を説明しました。これに対し、松下は、「それが深いのか浅いのか、正直よく分かりませんね」とコメントし、会場は笑いに包まれました。
最後の挨拶で代表して松下は、「現場の雰囲気も今日の4人を見てもらえば分かると思いますが、映画の中ではまた別のカラーでスクリーンに映し出されています。夢を追いかけたり、悩んだりする瞬間は誰にでもありますが、そんな時にこの美しい風景や優しい人々の思いが、皆さんの背中を押してくれると思います」とアピールし、締めくくりました。
「flumpool」のボーカルとして、NHK紅白歌合戦に3度出場し、国内外での単独公演を行うなど、アーティストとしての成功を収めている山村。俳優としても大きな経験を積んでいます。
併せて解禁された本ビジュアルでは里香・渓哉・淳也の思いつめたような切ない表情のカットと共に「最後は好きな人の町で過ごしたかった―。」というキャッチコピーが。里香が美作を訪れた真意を窺うことができる。 |
「風の奏の君へ」作品情報
公開日 | 2024年6月7日公開予定 |
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キャスト | 監督 脚本:大谷健太郎 出演:松下奈緒 杉野遥亮 山村隆太 西山潤 泉川実穂 たける (東京ホテイソン)池上季実子 |
原案 | あさのあつこ「透き通った風が吹いて」 (文春文庫) |
エグゼクティブプロデューサー:大和田廣樹 King-Guu 亀山暢央 プロデューサー:松井和彦 ラインプロデューサー:梶川信幸 音楽:上田禎 撮影:藤本秀雄 ヘアメイク:長野一浩 山科美佳 (松下奈緒担当) 美術:寺尾淳 録音:清水雄一郎 編集:相羽千尋 助監督:副島正寛 照明:佐藤俊介 衣裳:宮本まさ江 スタイリスト:大沼こずえ(松下奈緒担当) 制作担当:木村利明 脚本協力:市川榮里 制作プロダクション:TBSスパークル |
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配給 | イオンエンターテイメント |
宣伝 | ナカチカピクチャーズ |
製作 | 「風の奏の君へ」製作委員会 |
制作 | 2024年/日本/5.1ch/ビスタ/カラー/DCP |
上映時間 | 98分 |
公式サイト | https://kazenokanade-movie.jp/ |
公式X | @kazeno_kanade |
@kazeno_kanade/ |
(C)2024 「風の奏の君へ」製作委員会
(取材編集作成 酒井 修)