映画

『霧の淵』公開記念舞台挨拶

登壇者:三宅朱莉、三浦誠己、堀田眞三、水川あさみ、村瀬大智監督、河瀨直美(エグゼクティブ・プロデューサー)

4月20日に東京のTOHOシネマズシャンテで行われた初主演映画「霧の淵」の公開記念舞台あいさつが開催されました。

舞台に立つ三宅は緊張の面持ちで、「ヤバイです。メチャメチャ緊張しています」と述べました。共演者には、両親役の三浦誠己と水川あさみ、祖父役の堀田眞三がおり、彼女は「両端に、こんなレジェントがいて」とやや上ずった声で述べました。

「霧の淵」は、京都芸術大学出身の村瀬大智監督が制作した作品で、河瀬直美監督がエグゼクティブディレクターを務めました。この映画は、なら国際映画祭2020NARAWAVE部門の学生部門観客賞を受賞し、その権利を得て長編商業映画として製作されました。物語は奈良県吉野の川上村を舞台にし、奈良県南東部の山々に囲まれた静かな集落が描かれています。三宅朱莉はこの作品で、集落で代々旅館を営む家に生まれた12歳のイヒカ役を演じ、共演者には三浦誠己、水川あさみ、堀田眞三がいます。

三宅は「昨日は、熟睡でした」と述べ、その大物ぶりを見せつけました。それでも、「いまだに、こうして舞台に立っていることも実感がない。まさか自分が(オーディションに)受かって、この映画を撮るとは思っていなかったので、すごい感慨深いです」と率直な思いを語りました。

三浦誠己は、「三宅さんは、すてきな存在感で現場にいてくださって、水川さんが特に現場を明るい雰囲気にしてくださったから楽しくて。一緒にしいたけ焼いてくださったり、犬の散歩するのを、僕がかわいいなと思って眺めていました」と、三宅との撮影を振り返りました。水川あさみは「とてもフレッシュで、そこに立っているだけで存在感と、イヒカをまとっている。余計なことをしなくても、そこにいることの素晴らしさ…立っているだけで、まぶしいなと思いながら、お芝居していました」と三宅を称賛しました。

水川あさみは、茶色の着物に白の帯を組み合わせた装いで登場しました。「撮影は2022年の春。そのときに舞台となった川上村の旅館『朝日館』の女将からいただいた着物を着て、きょうは立たせていただいています」と述べ、「女将から川上村の歴史を教えていただいたり、撮影時には着付けもしてくださった」と地域の協力を得て完成した同作を自負しました。

撮影中の様子を問われると、初主演の三宅の演技に対して「撮影中からもう本当にキラキラしていて…」と賞賛し、「また大きくなったよね?12歳のイヒカがもうこんなに…」と顔を覗かせ。「顔つきも、撮影時とは全然、違う」と続いた。そして「フレッシュさって、年齢とか、初めての現場とか、私たちには、もうできないことだったりする。素晴らしいなと思った」と称賛の言葉が口を突いて出た。

本作は、第72回サン・セバスチャン国際映画祭の新人監督部門において、最年少で選出されました。また、第28回釜山国際映画祭やブルガリア最大規模の映画祭である第28回ソフィア国際映画祭などにも出品され、大きな反響を呼んでいます。

河瀨プロデューサーは、水川と村瀬監督と共に釜山国際映画祭に参加した際の印象に触れ、「会場にいる若いクリエイターたちやお客さんたちの熱気に感化された」と語りました。水川もまた、「本当に泣きそうになった」と告白。現地の若き映画クリエーターの「質問の深さ、映画への見方が日本とはちょっとちがう。上を言っていると感じた」といい、「映画に携わる私たちの課題」とかみしめていた。「頑張らなければいけないという思いが強くなりました」と述べました。

「堀田は俺にも、あったんだな、あの頃はと…。いつの間にやら、お迎えが近いような年になってしまった。新鮮…これから、どのように成長していくのだろうか」と思いを巡らせた。彼女の運について言及し、「彼女は幸運な存在だ。運も実力のうちであり、幸運に勝る才能はない。これから、彼女がますます成功していくだろう…そのとき、何か役割があれば、手を貸したい」と述べた。

河瀬エグゼクティブプロデューサーから「これまでに何本の映画に出演しましたか?」と問われた際、彼は自信を持って「テレビ、映画、CMを含めて61年間の俳優生活で、約2000本に出演しました」と答えました。そして、出演作品のリリース後に市場が拡大していくことに喜びを感じており、「今年も海外での舞台や映画の出演が予定されており、この作品が新たな機会をもたらしてくれていることに感謝しています。来年はさらなる挑戦をし、現役でいられるよう努力します」と語り、会場の観客の拍手が沸きました。

村瀬監督は、三宅の起用理由について述べると、「(三宅演じる)イヒカが映画の中で小学6年生から中学1年生までのお話なのですが、僕はちょうどその時、地元の小学校で働いていたんです」と述べました。彼は毎日小学校に行きながらシナリオを書いており、子どもたちとの接し方をリアルに感じていました。「みんな子どもたちが何かムスッとしていて。その怒りの原因が自分のなかで分からない中、いろいろな人をオーディションさせていただいたのですが、(三宅)朱莉ちゃんが入ってきたとき、一人だけ黒目が真っ黒で、そのとき『この子で撮るんだろうな』思ったんです」と述べ、三宅がイヒカ役に適任だと感覚的に思ったと説明しました。

最後に河瀨プロデューサーは「なら国際映画祭という地方都市で行われる映画祭。山村、深い深い山の中にもこんなに豊かな人々が暮らしていて、それを世界の監督たちが映画にしてくれるというプロジェクトを今後も続けていきたいと思っていますし、日本にはもっとたくさん魅力的な場所があり、人の営みがあるということ知っていただくことで、次の世代の人たちにバトンを渡していけるのかなと思っています」と、映画メディアの魅力について語った。

©2023“霧の淵”Nara International Film Festiva

『霧の淵』作品情報

公開日 2024年4月6日公開予定
キャスト 監督:村瀬大智
出演:三宅朱莉 三浦誠己 堀田眞三 杉原亜実 中山慎悟 宮本伊織 大友至恩 水川あさみ
エグゼクティブプロデューサー:河瀨 直美 プロデューサー:吉岡 フローレス 亜衣子
撮影:百々 武  録音:森 英司  照明:藤江 立  美術:塩川 節子  助監督:福嶋 賢治  制作担当:濱本 敏治  編集:唯野 浩平 音楽:梅村 和史 ヘアメイク:南辻 明宏 衣装:山上 順子 製作:なら国際映画祭
助成:奈良県、川上村、奈良市
配給 ナカチカピクチャーズ
制作国 日本(2023)
上映時間 83分
公式サイト https://kiri-no-fuchi.com/

(C)2023“霧の淵”Nara International Film Festiva

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