足立正生が監督・脚本を務めた、古舘寛治主演映画『逃走』の公開日が2025年3月15日に決定。あわせて特報映像と場面写真が公開された。
本作は、半世紀に及ぶ逃亡の末に2024年1月29日に病院で亡くなった、東アジア反日武装戦線元メンバー・桐島聡を描く人間ドラマ。
「偽名で生きた内田洋から桐島聡への回帰、そこには多くの謎があり、逃亡生活の終焉と自らの死を予感した“革命への確信”その証は、映画でしか描けない」と始まった本作のプロジェクトは、足立監督が自ら脚本も担当し、夏にクランクイン。早いスピードでの劇場公開となる。
撮影監督を、足立監督と日本大学芸術学部映画学科からの学友であり、是枝裕和監督作品や多くのテレビドキュメンタリー、記録映画などのカメラマンとして知られる山崎裕が務め、ロフトグループの創業者・平野悠がエグゼクティブプロデューサーとして参加。大友良英が音楽を手がけた。
社会運動が高揚していた1970年代の日本、新左翼過激派集団・東アジア反日武装戦線“さそり”のメンバーであった桐島聡。若き桐島は重要指名手配犯とされ、いつ逮捕されるかわからない緊張感の中、逃亡を続けていた。生活を繋ぐため日雇い仕事を転々とし、数十年前からは「内田洋」という偽名を使い、神奈川県藤沢市内の工務店で住み込みの仕事に就くようになる。1960年から1970年代のブルースやロックを好み、月に一度、音楽好きが集まる藤沢市内のライブバーに足を運んでいた。趣味を楽しむ一面があったものの、かつての仲間たちの存在が常に脳裏に影を落としていた。メンバーの獄中闘争、超法規措置により国外に出る仲間たち、自ら命を絶った者。桐島はそうした仲間たちの姿を思い浮かべながら、日本社会の欺瞞や凋落を孤独に見つめ続けていた。2024年、70歳となった桐島は末期がんと診断され、病院のベッドで生死の狭間を彷徨う。薄れる意識の中で浮かんでくるのは、東アジア反日武装戦線としての活動、仲間と逃亡を続けていた当時の記憶。彼が生涯を賭けて追い求めたものは何だったのか。半世紀にわたる逃亡生活の果てに、彼は何を得ようとしたのか。死の間際に「私は桐島聡です」と名乗り出て何を表現しようとしたのか。
足立監督が出演を熱望した古舘が主人公・桐島聡役を務め、若き桐島を『半世界』などの杉田雷麟が演じた。また、桐島と恋仲になる女性役で中村映里子、桐島とともに逃走する宇賀神寿一役でタモト清嵐が出演。そのほか、吉岡睦雄、松浦祐也、川瀬陽太、足立智充らが共演に名を連ねた。
公開された特報映像では、桐島(古舘寛治)の「私の本当の名前は……」というセリフから始まり、東アジア反日武装戦線のメンバーだった当時の様子や、偽名を使って別人として生き始めた過去から現代に至るまでが描かれている。
さらに、若き日の桐島(杉田雷麟)や晩年期の姿を捉えたシーンなどを捉えた場面写真も公開された。
『逃走』
2025年3月15日(土)ユーロスペースほか全国順次公開
出演:古舘寛治、杉田雷麟、タモト清嵐、吉岡睦雄、松浦祐也、川瀬陽太、足立智充、遊屋慎太郎、小橋川建、神嶋里花、永瀬未留、さいとうなり、伊島空、東龍之介、神田青、瓜生和成、宮部純子、大川裕明、小水たいが、浦山佳樹、枝元萌、木村知貴、内田周作、佐藤五郎、岩瀬亮、輝有子、信太昌之、大谷亮介、中村映里子
監督・脚本:足立正生
エグゼクティブプロデューサー:平野悠
統括プロデューサー:小林三四郎
プロデューサー:藤原恵美子
アソシエイトプロデュ―サー:加藤梅造
撮影:山崎裕
音楽:大友良英
挿入曲:「DANCING 古事記」(山下洋輔トリオ)
企画:足立組
企画協力:寺脇研
キャスティング:新井康太
製作:LOFTCINEMA、太秦、足立組
配給:太秦
2025年/日本/DCP/5.1ch/110分/英題:Escape
©「逃走」制作プロジェクト 2025
公式サイト:kirishima-tousou.com