今春3月15日より、第2回新潟国際アニメーション映画祭が開催されます。
昨年3月の第1回映画祭は、世界で初の長編アニメーション中心の映画祭として、また多岐にわたるプログラムとアジア最大のアニメーション映画祭として、世界で大きな反響を呼びました。長編コンペティション部門の審査委員長を押井守氏がつとめ、大友克洋監督、片渕須直監督、りんたろう監督、渡辺信一郎監督、メカニック・デザイナーで漫画家、監督でもある永野護氏ら名だたるアニメ関係者がイベントに登壇するなど国内はもちろんのこと、アニメーション首都・新潟としての認知も世界へ広がり、今年の開催へ期待が高まっています。
この度、【FORUM フォーラム部門】と【オールナイト部門】のラインナップが決定しました。
<FORUM フォーラム部門>
アニメーションを学術的な観点から見直す【FORUM フォーラム】部門。今年は小特集として近年世界で注目されている、実写では不可能なテーマを映像化する「ドキュメンタリー・アニメーション」という分野をご紹介します。なぜアニメでドキュメンタリーを?
◆小特集:「ドキュメンタリー・アニメーション」上映と講演
講演:クリストフ・テルヘヒテ(ライプツィヒ・ドキュメンタリー映画祭)
上映:「戦場でワルツを」(監督:アリ・フォルマン 2008年 アメリカ他)「背の高い男は幸せ?」(監督:ミシェル・ゴンドリー 2013年 アメリカ他)
「ロックス・イン・マイ・ポケット」(監督:シグネ・バウマネ 2014年 アメリカ)
◆講演・シンポジウム・研究発表会
『Animation and Medicine』
漫画やアニメの訴求力は国内外でも教育に多く活用されてきた。昨今では、厚労省が働き方改革や医療健康の 啓蒙に積極的にアニメを利用しており、海外でも医療従事者による漫画作品なども増え、研究もされてきている。新潟医療福祉大学での子供の目の体操アニメや作業療法士アニメプロジェクトなどの具体例を通して、国内外のアニメの医療福祉への貢献と今後を語っていく。
出席者(予定):能村友紀教授(新潟医療福祉大学作業療法学科学科長)、石井雅子教授(新潟医療福祉大学) 司会:豊田典子(開志専門職大学)ゲスト:Alex Thomas(医師&漫画家)、Gary Ashwal(医療アニメプロデューサー Booster Shot Media) 、中垣恒太朗(専修大学教授、日本グラフィック・メディスン協会代表、小林翔(大阪大学非常勤講師、同理事)
『アニメ中間素材の保存と活用のためのアカデミアからの関与』
アナログ時代のアニメは、その制作過程のなかで紙やセルを用いた膨大な量の中間素材を生み出した。デジタル時代にはセル画が作成されることはなくなり、絵コンテや原画など従来紙媒体だった素材も減りつつあるなか、アナログ時代の中間素材は産業廃棄物か、それとも文化遺産かという問いの狭間にある。業界の当事者でもなく、ファンコミュニティーにも属していないアカデミアの視点から、アニメ中間素 材にどのようにアプローチできるのだろうか?その質問に対するこれまでの実践を議論する
『地方から拡がるアニメ産業のミライ・望ましい地方展開の姿とは?――政策・スタジオ・クリエイター・地域』
アニメーションの多様性は、それらが生み出される地域とも深い関係があります。人材不足も指摘される中、新潟をはじめとした地域で豊かな制作環境を整えるには何が必要なのか? 「アニメ産業レポート」の執筆陣と地元アニメスタジオの経営者が様々な角度からディスカッションします。(日本アニメーション学会 産業研究部会による公開研究会です。
登壇者:増田弘道、・森祐治、長谷川雅弘、松本淳(以上日本アニメーション学会会員)、内田昌幸(新潟アニメーション)・荒尾哲也(柏崎アニメスタジオ代表取締役/※打診中)
『ラサール芸術大学―新潟大学アニメーション研究交流2024』
新潟大学とLASALLE College of the Artsは、2018年に研究交流協定を結びました。以降、アニメ中間素材展やシンポジム等の学術イベントを多数共催し、アニメーション研究を推進してきました。今回は、両大学所属の、また両大学ゆかりの研究者が現在取り組んでいるアニメーション研究について発表し、意見交換を行います。
登壇者: Chris Shaw、GAN Sheuo Hui(以上LASALLE College of the Arts)、石田美紀(新潟大学)、鈴木 潤(開志専門職大学)
<オールナイトin新潟>
今年のオールナイト部門のテーマは<時代劇>!「鋼の錬金術師」の會川昇氏と「魔法少女まどかマギカ」の虚淵玄氏という時代劇アニメにも関わったことのある脚本家お二人をお迎えし、アニメファン必見の90分のスペシャルトークショーも開催します。
『少年猿飛佐助』
英題:The Adventure of The Little Samurai
制作年:1959年 作品時間:83分 ©東映
監督:薮下 泰司 脚本:村松 道平 美術:進藤 誠吾 音楽:船村 徹
作品情報:信濃の山に姉と二人だけで住む、佐助の友達は山の動物たち。仔ジカのエリが大ワシにさらわれ、山中の無気味な湖に投げこまれた。あとを追ってきた母ジカは湖に飛び込み、身代わりとして、湖に棲む魔物のえじきとなってしまう。魔物は巨大な山椒魚であった。佐助は、刀を口にくわえると、山椒魚のあとを追うが、一撃のもとに撃退されてしまう。山椒魚の正体は、夜叉姫という妖術遣いだったのである。佐助は妖術を打ち破る術を習得するため、戸隠山の戸沢白雲斎という忍術の先生に弟子入りをする。辛い修行を重ね、佐助はついに忍術の奥義をきわめた。山を下りた佐助は、折りしもそのあたりを荒しまわっていた山賊を追う上田城の若殿・真田幸村にまみえ、幸村とともに山賊退治に向う。姉のおゆうが人質に取られていたため、佐助は山賊と手を組んだ夜叉姫に散々に痛めつけられるが、幸村によっておゆうは救われる。
『劇場版 戦国奇譚妖刀伝』
英題:WRATH OF THE NINJA THE YOTODEN MOVIE
制作年:1989年 作品時間:87分 ©フライングドッグ
監督:山崎 理
作品情報:OVA全3話に新作シーンを追加し、再編集した劇場版。里を滅ぼされた影忍の少女、綾女。男装して綾之介と名を変えた彼女は、自分と同じ神剣(妖刀)を持つ影忍の左近と龍馬に出会う。そして妖魔を裏兵として使う信長を倒すために立ち上がる三人。果たして、妖魔を倒すことができる三振りの妖刀に隠された秘密とは…。
『機巧奇傳ヒヲウ戦記(21話)』
英題:clockwork fighters hiwou’s war
制作年:2000年 作品時間:24分 ©BONES・會川昇 ©ヒヲウ製作委員会
監督:アミノテツロ
作品情報:時は幕末、三河の国の蓬莱村にからくり技術を使う“機の民”がいた。 一族の少年ヒヲウは、好奇心旺盛な8歳の少年。ある日彼は、からくりの使い方で長老に叱られ、家を飛び出してしまう。村の神社にやってきたヒヲウは、ご神体で巨大からくりロボットの炎(ほむら)を見つける。 丁度その頃、蓬莱村は風陣と呼ばれる忍者集団の襲撃に見舞われ、機の民を滅ぼそうとする風陣の手によって蓬莱村は焼き払われ、村の大人達は皆連れ去られてしまった。 炎(ほむら)を動かすことに成功したヒヲウたちは、村を脱出するが…。
『ストレンヂア -無皇刃譚-』
英題:Sword of the Stranger
制作年:2007年 作品時間:102分 ©BONES/ストレンヂア製作委員会2007
監督:安藤真裕
作品情報:戦乱の時代。明国の武装集団に追われる仔太郎という少年がいた。逃げこんだ荒寺で仔太郎は、名を捨て刀を封印した不思議な浪人「名無し」と出会う。赤池の領主と連携をとりながら仔太郎を追ってきた武装集団は、そこで名無しと対峙する。仔太郎に隠された秘密はあまたの野心を触発し、名無しはのちの宿敵となる男、羅浪と巡り会う。それぞれの思惑が一気に激流へと変化していく中、果たして仔太郎と名無しの運命は…。
【関連トーク】
3月19日(火)「時代劇アニメの魅力、ファンタジー全盛期のいま作られるべきものとは?」(仮)
會川昇氏(「鋼の錬金術師」脚本 「un-go」脚本)×虚淵玄氏(「魔法少女まどかマギカ」原作・脚本「PSYCHO- PASS」原案・脚本)
映画祭の情報はhttps://niaff.netで随時発表します。
【第2回新潟国際アニメーション映画祭】
英語表記:Niigata International Animation Film Festival
主催:新潟国際アニメーション映画祭実行委員会
企画制作:ユーロスペース+ジェンコ
会期:2024年3月15日(金)~20日(水)
公式サイト:
https://niaff.net
公式X(旧Twitter):
@NIAFF_animation
公式Youtube:チャンネル
■国際映画祭の舞台となる新潟市とは
19世紀、海外への窓口となる世界港をもつ新潟は、江戸を凌ぐ国際的な商業都市でした。また新潟は、多くの著名なマンガ家、アニメ・クリエーターを輩出し、2012年から10年間、「マンガとアニメを活用した街づくり構想」を実施、継続的なイベントとして「にいがたアニメ・マンガフェスティバル」(来場者約5万人)、1996年から全国対象で「にいがたマンガ大賞」も実施。また、「新潟市マンガ・アニメ情報館」や蔵書1万冊を誇るマンガ図書館「新潟市マンガの家」を運営、マンガ家志望者のための家賃補助施設「トキワ荘」、そしてマンガ雑誌編集部と結んだ無料「ON LINE添削」を実施するなど、日本有数の熱烈なアニメ・マンガ都市でもあります。そして──21世紀、本映画祭に集結したエネルギーを、グローバル・アニメーションの創造へのマグマとし、新潟は世界のアニメーションの首都を目指します。
■新潟アニメーション首都宣言
新潟はアニメーションやマンガ関連に従事する人々を約3,000名以上排出している、日本有数のアニメ都市です。世界に向けてアニメーションやマンガという日本特有の文化を発信していく拠点となる新潟が、世界のアニメーション作品が交差する文化と産業のハブとして発展していくことを目指すアジア最大規模の「新潟国際アニメーション映画祭」第2回の展開にぜひともご注目ください。