日時:2月3日(土)
会場:新宿武蔵野館
登壇:橋本 愛、仲野太賀、木竜麻生、山本英監督
本作品では、沙苗が愛した恋人を刺し殺そうとした過去を抱え、服役後に別の男性との結婚を経て、自分の愛し方を見つめ直そうとする姿勢が描かれています。主演の橋本は、沙苗の複雑な心情を見事に表現し、彼女の過去を知りながらも結婚する夫・健太を仲野、謎めいた女性・足立を木竜が演じています。
鑑賞後の観客に向けて、これが商業デビュー作となる山本監督は「最初は、脚本の(イ・)ナウォンさんと2人で始まった小さな企画だったのですが、キャスト、スタッフの多くの支えられて出来た映画を皆様に見て頂いたことで、本当の意味で、映画完成したんだなと思える日になりました。本日は、ありがとうございました」
「本当にいろんな年齢層の方だったり・男性女性関係なく観ていただける映画になったのかなと。どう受け取ってもらえるのか自分の中で公開までドキドキしていたので、いろんなこと考えながらこの日を待っていたので、見て頂いた皆さんのお顔が見られてうれしいです」と感謝の意を表しました。
沙苗の人物像は、2019年に発生した新宿ホスト殺人未遂事件にインスパイアされています。約5年ぶりの映画主演となる橋本は「沙苗の愛に対して、最初すぐに理解することはできなかったんですが、いろいろ準備を進めていく中で、初めて『沙苗の愛こそ本物の愛だ』と思えた瞬間があって」と回想し、「沙苗自身が世間から見たら沙苗は狂気をはらんでいるように見えたり狂気感じられるかもしれないけど、沙苗の目線に立つと、反対に周りのほうが狂っていんじゃないか。沙苗自身にとっては『この愛がなくて生きられるっておかしいんじゃないか、ある意味羨ましい』と、いたって正気だったんです」と述べました。橋本は続けて「そんなふうに狂気と正気が逆転したような現象が起きた時にすごく面白くて、沙苗を演じられたことで自分自身の視野も広がっり世界が広がったりする感覚があったので、すごくかけがえのない経験になりました」と伝えました。
MCから「どのような演技の準備をされたのか」の問いに対して
橋本は「いつも通りのことをしていたんですが、隼人とどうゆう時間を過ごしたのか沙苗の中に残り続けている隼人の言葉とか逆に健太とどのような日々を過ごしたのか、突き詰めていく内に彼女の愛は複雑ですが、もしかしたら愛は、数値化されるものではないのに、隼人と健太の愛にギャップがありそのギャップの間で、すごく苦しんでいた人じゃないかと思って、そのような気持ちを一つ一つ見つめていきました」と述べました。
仲野は役柄について「沙苗の過去が、これまでの人生が特殊というか、沙苗のような人と暮らすこと共に人生を歩むことができるか?最初の健太のキャラクターではないけれど掘り下げる必要があると思い、彼自身が愛の表現を辿っていく中で、彼自身が愛にこじらせていくとゆうか、健太のスタート時点はフラットで正気な所から物語が進むに連れて、ある種 狂気に見えてくる流れがあると演じるヒントになるのかなと思ってましたけど」と述べました。
またMCから脚本を読んだ際の感想を問われた仲野は「キャラクターそれぞれが持つている愛の価値観に三社三洋で違いがありつつ、どの立場も正しいのかもしれないと思える“愛の解像度の高さ”人間の多面的なに読んでいてぐんぐん引き込まれてた」と話しました。
木竜は「役柄の立ち位置として物語の真ん中にいる人たちをかき乱していく人物であり、これまであまり演じたことがなかったので、自分自身楽しみにしています。足立は内側にいろんなものを抱えていながら、根の明るさや丈夫さもある。彼女が今まで生きてきた中で得たフレンドリーさみたいなものを逃さずに表現したかった」と役への向き合い方を振り返りました。
「カメラが止まっているときは、できるだけ健やかに過ごそうとした」という橋本。その理由について彼女は「役者さんそれぞれなんですが私自身は“本体”が壊れてしまうと表現の精度が下がることがわかってきたので、本体は健康的・快活で居続けて、表現するときだけ突き抜けられるように準備をしていこうと決めていた。精神的にギリギリだったシーンも沢山あったけど、普段みんながすごく温かかったことに救われて、」と説明しました。ロケ地のペンションでキャスト・スタッフが集まって寝泊りや食事をすることもあったそうで、仲野は「『楽しいね』『映画って最高だね』って話す毎日で、(映画本編とは)全然違う空気感。青春でしたね」と笑顔を見せました。
撮影期間中、橋本・仲野・木竜の3人でボウリングに行ったエピソードもありました。橋本は「みんなスコアがザコすぎて……」、木竜は「まれに見る泥試合でした」と口にし、橋本・木竜がスコア60、仲野が55という結果を明かしました。さらに橋本は「太賀はカーブをめっちゃかけてガーターでした」と暴露。山本は「それを撮影が終わったあとに聞いて『誘われてないな……』って。でも僕が入っても泥試合になると思います」と言い、キャスト陣を笑わせました。
最後に山本監督は「この映画では分かりあえないことを描いているけれど、この映画を通して僕が考えていたのはどこかで誰かと分かりあいたいということでした。そんなメッセージが観客の皆さんに届いたら嬉しい」と期待のコメント。
橋本は「最初は監督からお手紙を頂いて、実際にその内容聞いて、演じるべきではないのでは?この映画作っていいのかな?と思って悩んだ部分も大きくて、誰かを傷つけてしまうかもしれないし、誰かの命を預かるような作品になるのではないかとも思いました。それでもこれは私の罪として最後まで責任を持ってやり遂げようと決めました」
「撮影後、監督からは『沙苗の愛をわからないから撮りたかった』、脚本家の(イ・)ナウォンさんからは『沙苗のような人のことを守りたくて作りたいと思った』と聞いて、なんて素敵な出発点なんだと。誰かのことをわかりたい・守りたいと思って始まった映画だから、きっとこれは大丈夫だと今日まで信じてこれたので。その切実さが少しでも伝わればいいなと思います」と呼びかけ、舞台挨拶を締めくくりました。
ストーリー
愛したホスト・隼人を刺し殺そうとした過去を持つ女・沙苗。
事件から6年の時が経ち、出所した沙苗は林業に従事する健太とお見合いで出会い、結婚する。健太は沙苗の過去を知り、受け入れた上で結婚に踏み切ったのだった。
平穏な結婚生活が始まったと思っていた矢先、2人の前に謎めいた隣人の女・足立が現れる。気さくに接してくる足立が抱える秘密とは。そして、全てを捧げた隼人の影に翻弄される沙苗がたどり着いた、“愛し方”の結末とは――。
『熱のあとに』作品情報
公開日 | 2024年2月2日公開予定 |
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キャスト | 監督:山本英 出演:橋本愛 仲野太賀 木竜麻生 坂井真紀 木野花 鳴海唯 水上恒司 |
プロデューサー | 山本晃久 |
脚本 | イ・ナウォン |
製作 | ねこじゃらし、ビターズ・エンド、日月舎 |
配給 | ビターズ・エンド |
制作国 | 日本(2024) |
年齢制限 | PG-12 |
上映時間 | 127分 |
公式サイト | https://after-the-fever.com/ |
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