俳優の池松壮亮(34)、水上恒司(25)、女優の三吉彩花(28)が4日、都内で行われた映画「本心」“公開直前!仮想空間トークイベント”に登場した。
原作は平野啓一郎氏の同名長編小説。今と地続きにある近い将来を舞台に、“自由死”を望んだ母の“本心”を知ろうとした青年(池松)が、AIで母をよみがえらせる物語。
イベントの前半では、俳優の池松壮亮と三吉彩花が登壇し、VRゴーグルを装着。ゴーグルには、事前にスキャンされた水上恒司さんのバーチャル映像が映し出され、そのまま3人でトークを行いました。
水上は「おはようございます!よろしくお願いします」と挨拶。池松は水上のアバターについて「鼻下はちょっと違うけど、目はそのまんま。すごいですね」と述べ、三吉も「黒目とかもリアルで不思議な感じ。手が届くところにいるような…不思議です」と驚きを表しました。
池松は、VRを使った舞台挨拶について「今後、ずっとこれでいいんじゃない?こういったことも日常化していくのかなと思う」とコメント。水上も「テクノロジーってすごい」と感心しつつ、「僕たちが生業としている人の心や感情に対して敏感に接している立場からすると、すごい怖い気持ちにもなる」と述べ、技術の進化に対する複雑な思いを明かしました。
その後、バーチャル映像からリアルの水上恒司さんが登場し、3名でトークが展開されました。原作小説の舞台は2040年代の未来でしたが、技術の進展に合わせ、映画は2025年から始まる物語へと設定が変更されています。
池松は、映画ではAI専門家の協力を得て話を聞いたことに触れ、「もし映画の公開が去年だったらまだ人々の認知が追いつかなかったかもしれないが、来年だと遅かったかもしれない、という話を聞いて衝撃を受けました。“今年がベストだろう”と言われ、これほどの速さで技術が進化し、日常化していくのだと実感しました」と語りました。
また、3人に「もしバーチャル空間で会いたい人がいるなら誰か?」という質問が投げかけられました。池松壮亮は、「会いたいのは豊臣秀吉」と、再来年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で演じる予定の戦国武将の名を挙げ、「来年から大河ドラマで豊臣秀吉を演じるので、直接会って話をしてみたい」と語り、秀吉の人物像について理解を深めたい意向を示し「どういう人物だったのか、2時間くらい話をしてみたい」と答えました。また、「リアルで会えてうれしかった人」としては、映画『ラスト サムライ』で共演した渡辺謙さんの名前を挙げ、21年ぶりの再会に「当時は色々教えていただき、餃子まで作ってくださった。再会できて“頑張ってるね、大きくなったね”と言っていただき、非常に自然体で素敵でした」と嬉しそうに語りました。
続いて、三吉は「お会いできて嬉しかったのはニコール・キッドマンさんです」と回答。3年前に出演したミュージカルの映画版にキッドマンが出演しており、「(パリのファッションショーで)ニコール・キッドマンさんをお見かけして、本物だとドキドキしていました」と、憧れの気持ちを明かしました。
トークの最後に、水上は「仮想空間で会ってみたい存在」として、漫画『北斗の拳』に登場するキャラクター、ラオウの愛馬「黒王」を挙げました。「ひづめがゾウの足跡くらい大きいと言われる黒い馬で、小学3年生の時に両親に買ってもらった黒い自転車に“黒王”と名付けて乗っていました。それくらい黒王が好きなんです」と語り、会場には笑いが広がりました。
本作『本心』は、リアルと仮想が曖昧になった世界を舞台に、池松演じる主人公・朔也が、急逝した母・秋子(田中裕子)の本心を知りたいと願い、彼女のパーソナルデータをAIに集約して仮想空間上に“人間”を再現するという物語。池松が原作を読んだ際、石井裕也監督に映画化を提案したことで実現しました。三吉、水上、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡、田中裕子らが共演しています。
池松は、遠く離れた依頼主の指示に従って動く“リアル・アバター”として働く青年・石川朔也役、三吉は、朔也の母のVF(バーチャル・フィギュア)作成に協力する親友・三好彩花役、水上は朔也にAI技術やリアル・アバターの仕事を紹介する幼なじみ役をそれぞれ演じています。