映画

『室町無頼』の初日舞台挨拶

開催日:2025年1月17日(金)
会場:丸の内TOEI
登壇者:大泉 洋、堤 真一、長尾謙杜、松本若菜、入江 悠(監督・脚本)
『室町無頼』の初日舞台挨拶が1月17日(金)に丸の内TOEIで行われ、大泉洋、堤真一、長尾謙杜、松本若菜、入江悠監督が登壇した。

時は室町時代、“応仁の乱”直前の京―――。大飢饉と疫病が続き、路上には無数の死骸が積み重なる混沌とした世の中に、巨大な権力に戦いを挑む者たちが現れた。日本史上初めて武士階級として一揆を起こし、歴史に名を刻んだ男・蓮田兵衛。彼のもとに集った「無頼」と呼ばれるアウトローたちの知られざる戦いを描いた本作では、剣の達人であり、己の力と知恵で世を渡りながら倒幕と世直しを密かに企てる主人公・蓮田兵衛を大泉洋が演じる。

兵衛に拾われ、成長していく青年・才蔵役にはなにわ男子の長尾謙杜が抜擢。才蔵に棒術を教える老師役を柄本明、民を苦しめる贅沢な大名・名和好臣を北村一輝が演じる。また、男たちの間を漂う絶世の美女・芳王子役に松本若菜、300人もの手下を率いて治安維持を担う悪党の首領・骨皮道賢を堤真一が演じ、道賢と兵衛の悪友でありながら宿敵となる関係性が描かれる。

9年前に企画が動き出したという本作。大泉洋は「一度、『この映画は実現しない』と言われて非常に残念でした」と振り返りながら、その後堤真一と別の現場で再会した際、「残念やな、やりたかったな」と言われ、プロデューサーに「何とか実現しましょう」と訴えたエピソードを披露。「改めて、僕のおかげで実現しました」とユーモアを交えつつ、「このタイミングでなければ、このキャストが揃わなかったのかもしれない」と語り、会場から拍手が送られた。

見どころについて、長尾謙杜は「アクションが見どころですが、大泉さんとの師弟関係を描いたシーンにも注目してほしい」とコメント。大泉洋は「現場では彼を厳しく鍛えました。親指だけで腕立て伏せをさせたり、最終的には人差し指で逆立ちしていました」と冗談を交えながら話し、堤真一が「ジャッキー・チェンか!」とツッコミを入れると、会場は笑いに包まれた。

長尾謙杜は撮影中の思い出を振り返り、「夜にはご飯に連れて行っていただくこともありました。グループの話や撮影中のエピソードを共有しながら、みんなで楽しい時間を過ごしました」と述べた。しかし、大泉洋は「実は、撮影中に怪我をして8針縫った日があって、その日に全員で食事に行く予定だったんです。でも、私が行かないと誰も支払いをしないから、痛む足を引きずりながら食事に参加して、最後に泣きながら支払いを済ませて帰りました」と苦笑いしながら明かした。

さらに長尾は、「柄本明さんは『室町無頼』の撮影が終わった後も京都に滞在する予定があったようで、撮影終了後も遊びに来てくれました。本当に師匠のような存在でした」と話し、これに大泉は「すごく愛されてるよね」と感心した様子を見せた。

また、長尾が「顔合わせの前に柄本さんが僕たちのライブを観に来てくださったんです。それが初めての対面でした」と語ると、大泉は「TEAM NACSのライブは観てもらったことがないんだけど」と冗談を交え、会場を和ませた。

MCから本作の見どころについて問われた堤真一は、「殺陣の素晴らしさはもちろんですが、それぞれの人間関係にも注目していただきたいです。そして、やはり『無頼』という生き様が描かれているところですね」と語った。長尾謙杜も、「大泉さんとの師弟関係のシーンがたくさんあるので、ぜひ注目していただけたらと思います」とコメントした。

トークでは、才蔵に棒術を教え込む老師役を演じた柄本明の話題に及んだ。松本若菜は「柄本明さんが柄本明さんだと思えないほどの変貌ぶりでした。目を疑いましたね。これから作品を観る方は、誰が柄本明さんなのか当ててみてください」と驚きを語った。

長尾謙杜は柄本に多くの愛情を注がれたエピソードを披露。「別の撮影が終わった後に現場に遊びに来てくださったり、顔合わせの前にはライブも観に来てくださったんです。本当に師匠のような存在でした」と感謝の気持ちを述べた。これを聞いた大泉洋は、「柄本さんがTEAM NACSの公演に来てくれたことは一度もないですよ!」と冗談交じりに不満を口にし、会場を笑わせた。

イベントでは、本作にちなみ「今年逆転したいことは?」というお題がキャスト陣に出された。

入江監督は、学生時代の厳しい部活動の経験を振り返り、「暗黒の剣道部」と表現。「当時のつらい経験が人生で何の役に立つのか分からなかったのですが、今回の『室町無頼』の撮影で初めて役立つ瞬間がありました」と述べた。特に、殺陣のシーンで刀の構えを見る際に剣道の経験が活きたと語り、「ついに逆転しました」と感慨深げに語った。

松本は「蚊」と書き、「昨年の夏はあらゆる蚊よけ対策を試したものの、多く刺されてしまいました。今年こそは絶対に刺されないようにしたいです!」と、意気込みを語った。

長尾謙杜は「大泉さんといろいろ逆転したい!」と答え、「大阪で生まれた大泉さんを見てみたいです。どれくらいおしゃべりになるのか(笑)。それに、歌もやられているので、アイドル活動をしている大泉さんも見てみたいです」とユーモアを交えて語った。

これに対し、大泉洋は「つまり、私がなにわ男子に入って、長尾くんがTEAM NACSに入るということですね」と解釈し、「なにわ男子に入れたらすごくうれしい。『大泉くん』って呼ばれたい」と冗談交じりに語り、会場を笑わせた。

堤は「結婚」と書き、「周囲の人々には結婚すると思われていなかった中で、まさかの結婚となり、大逆転でした」と、幸せな家族とのエピソードを語りながら、微笑ましいトークを展開した。

大泉洋は「今年は長尾謙杜に勝つ!」と宣言。IMAXでの先行上映後、SNSで感想を確認したところ、長尾に関するコメントばかりだったことを明かした。大泉は「『謙杜くぅん、すごいかっこよかった!』とか、彼のファンしか観ていないかのような反応でした。すぐにエゴサーチをやめましたよ。今年は絶対に長尾謙杜に勝ちます。『大泉くんがかわいい』『長尾くんがイマイチ』という流れを作ってみせます!」と意気込みを語り、笑いを誘った。

また、堤真一もエゴサーチをしたと明かし、「感想が謙杜くんの話ばかりでした……」と少し悔しそうに語り、場内を和ませた。

イベントの最後、大泉洋は「監督が最初に触れたように、この丸の内TOEIで上映される時代劇としては最後の作品になるということで」と感慨深い様子を見せながら、本作への思いを語った。彼は「時代劇には、現代劇では表現できない独自の魅力があります。この作品でも、“こんなことで人が死んでしまうのか”というような、時代劇ならではの人間の怒りや熱い魂が描かれています。また、民衆の力で世の中を動かしていく要素は、現代にも通じる痛快さを持つ映画です」と、時代劇としての本作の意義を強調した。

さらに、「改めて、“一揆”というものが流行っても面白いと思いますね。例えば、夕方のニュースで『何百年ぶりに“一揆”が起こりました』なんて報じられたら(笑)。この映画を観て、仲間と一緒に“一揆”してみてはどうでしょう」とユーモアを交えつつコメント。会場は笑いに包まれ、イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。

物語
1461年、応仁の乱前夜の京(みやこ)。大飢饉と疫病が同時にこの国を襲った。
加茂川ベリにはたった二ヶ月で八万を超える死体が積まれ、人身売買、奴隷労働が横行する中世の暗黒時代(ダークエイジ)。しかし、時の権力者は無能で享楽の日々を過ごすばかり。貨幣経済が進み、富める者はより一層富み、かつてない格差社会となっていた。
蓮田兵衛は、己の腕と才覚だけで混沌の世を泳ぐ自由人。しかし、ひそかに倒幕と世直しを画策する無頼漢。京とその周辺の悲惨な状況と窮民を見た兵衛は、立ち上がる時を狙っていた…!
一方、才蔵はすさまじい武術の才能を秘めながらも天涯孤独で夢も希望もない日々を送っていた。しかし、兵衛に見出され、鍛えられ、彼の手下となる。
やがて、決死の修行を生き延びた才蔵の武器となるのは、“六尺棒”。修行を終えた時、超人的な棒術を身につけた才蔵の前に敵は無い  。
時は来た  才蔵だけでなく、抜刀(後の居合)術の達人、槍使い、金棒の怪力男、洋弓の朝鮮娘ら、個性たっぷりのアウトローたちを束ねる兵衛。ついに巨大な権力に向けて空前の大暴動を仕掛ける。行く手を阻むのは、兵衛のかつての悪友・骨皮道賢率いる幕府軍。“髑髏の刀”を手に一党を動かす道賢を前に、兵衛は命を賭けた戦いに挑む。
この世の地獄をぶち壊せ! 京(みやこ)を覆う紅蓮の炎の中から明日をつかめ!!

『室町無頼』作品情報

公開日 2025年1月17日(金)公開
監督・脚本 入江悠
原作 垣根涼介『室町無頼』(新潮文庫刊)
キャスト 大泉 洋
長尾謙杜 松本若菜
遠藤雄弥 前野朋哉 阿見 201 般若 武田梨奈
水澤紳吾 岩永丞威 吉本実憂 土平ドンペイ 稲荷卓央 芹澤興人
中村 蒼 矢島健一 三宅弘城
柄本 明 北村一輝
堤 真一
配給 東映
制作国 日本
公式サイト https://muromachi-outsiders.jp/

©2025『室町無頼』製作委員会